・対米外交を強化し、中国とはそこそこ付き合う路線が確定した。

・対米外交を強化し、中国とはそこそこ付き合う路線が確定した。
・教育面の改革、「内閣人事局」、農協、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)大筋合意、特定秘密保護法国家安全保障会議(NSC)の創設、安保法 この実績は今後30年、50年と長く評価される。
・日米同盟があるのに三木武夫元首相は「等距離外交」を唱えた。全面講和派の流れだ。短命は当然だ!
・異形の経済圏に入っていくのだから、リスクは自分で負ってもらいたい。日本企業は中国に2万3千社が進出し、1千万人を雇った。ところがすでに3千社以上が撤退した。 長居は無用。撤退は難しいと知らしむべし。
・安倍首相は日本の今後の対米外交、対中外交の方向性を固めた。
小選挙区比例代表並立制をとっている国は与野党の政策は常に近似している。
民主党は 旧社会党系(連合系)と反旧社会党系とに分裂し、野党再編になろう!





〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2015.10.20 05:02更新   【正論】
安倍長期政権と野党の地殻変動 評論家・屋山太郎

 安倍晋三政権が多くの課題を次々に解決している。教育委員会、大学など教育面の改革は何十年も前からの懸案だった。官僚主導の政治をただすため幹部人事を政治の側が握る「内閣人事局」を設置した。
 60年にわたって、農政を牛耳ってきた農協も、その元締のJA全中の改革に踏み切った。近い将来、農政は劇的変化を遂げるだろう。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)大筋合意も安倍政権でなければできない芸当だった。
 何よりの成果は国防面の整備である。特定秘密保護法の制定、国家安全保障会議(NSC)の創設、安保法の成立だ。これによって対米外交を強化し、中国とはそこそこ付き合う路線が確定した。
≪方向性固めた対米中外交≫
 対中関係は聖徳太子の頃から「対等外交」を貫いてきた。中国と深くかかわるべきではないとの方針を破ったのがつまずきの始めだった。自民党は内政外交の両面にわたっていまやまっとうな政党の姿になってきた。
 自民党は長い間、政権を独占してきた。このため自民党政治家は親米も親中も必要と考えてきた。日米同盟があるのに三木武夫元首相は「等距離外交」を唱えたものである。全面講和派の流れだ。
 そういう思想があるために、いまだに「安倍政権が終わったら対中外交をやり直さねばならない」と思っている党幹部がいる。
 小泉純一郎政権の時代、財界の大物が首相に「商売に差し障るから靖国参拝をやめてくれ」と陳情したものである。
 異形の経済圏に入っていくのだから、リスクは自分で負ってもらいたい。日本企業は中国に2万3千社が進出し、1千万人を雇った。ところがすでに3千社以上が撤退した。引き揚げは続いているが、いかにそれが難しいか知らしむべきだ。
 中国や韓国は日本に「歴史認識」を迫っているが、中国は共産党独裁を正当化するために、日本を使っているだけだ。安倍首相は4月に訪米した際、上下両院での演説で「日米は不動の同盟関係だ」と説いた。
 8月14日の戦後70年談話は安倍首相自身の「歴史認識」を示すもので、オバマ政権に支持された。
 これで安倍首相は日本の今後の対米外交、対中外交の方向性を固めたといえるだろう。
≪追随する官僚、業界団体≫
 自民党では一党支配だったためか「振り子の原理」と称して、党内の右派が政権をとれば次は左派と、バランスをとるのを常とした。このために日本の外交方針が定まらなかった。
 教育改革、農協改革、外交方針の決定など、これまで何十年も言われてきた大問題が、なぜ履行できたか。一言にしていえば首相のリーダーシップと長期政権のおかげだ。
 いくら与党の方針が決まっても任期が短い首相では、役人は気に入らないことはやらない。無視して次の首相を待つ。しかし3年も4年も持ちそうだと思うと、官僚も業界団体も言うことをきかざるを得なくなる。
 今回、総裁選で安倍首相が無投票で選ばれたのは自民党議員が“長期政権の効用”を感じたからだろう。安倍首相のあと、自民党が左に振れることはないだろう。安倍政権の安定こそが野党各党に地殻変動をもたらしている。自民党が右側に定着すると野党も右側に寄らざるを得ない。
 小選挙区比例代表並立制をとっている国は与野党の政策は常に近似している。
 ≪政権狙える新しい野党とは≫
 民主党岡田克也代表はこれまで通り、組合の連合の協力も得たい、旧社会党のメンバーも抱えていくという路線である。これに対し前原誠司細野豪志長島昭久氏らは連合や旧社会党イデオロギーと縁を切るべしとの考えだ。
 また橋下徹大阪市長の「おおさか維新の会」は連合に担がれた民主党とは手を組まないと断言している。橋下氏と対立している松野頼久江田憲司氏らが中心の「維新の党」は民主党との連合を模索して分裂した。
 野党再編の動きに乗じて共産党志位和夫委員長は岡田氏に「安保法廃止」の一点で選挙協力をする。共産党の候補を降ろしてもいいと持ちかけたが、「安保法廃止」の一点ばりで、他の政策がないというのは“革命”のようなものである。
 岡田氏は若干、引いているが、生活の党と山本太郎となかまたち小沢一郎代表はこの際「オリーブの木」方式で、共産党も入れて自民党に対抗すべしと言っている。イタリアで「オリーブの木」が成功したのはベルリンの壁が崩れたころからで、共産党は「左翼民主党」と名を変えた。さらに共産党独特の「民主集中制」もやめた。要するに普通の政党に変身したからこそ、国民は「オリーブの木」を受け入れたのである。
 政界再編の動きの中で、共産党と小沢氏の出てくる余地はない。政権をとれる新しい野党は、旧社会党や連合のイデオロギーと手を切った側が浮上してくるはずだ。(ややま たろう)