・「海から魚が消える・・・」前に、日本人は、これから魚とどのようにつきあっていくかを、根本的に問い直さなくてはならない!

・三条 健です。
・「海から魚が消える・・・」前に、日本人は、これから魚とどのようにつきあっていくかを、根本的に問い直さなくてはならない!

・多くの海産魚、特に大型の高級魚が激減しているのは、専門家の間では周知の事実である。
・日本の漁業生産は90年代以降、激減し、現在はピークの38%まで落ち込んでいる。
・世界の海の漁業生産を調べたところ、1980年から、2000年にかけて日本の周辺海域から、魚が激減したことがわかった。
・日本は国産魚の減少を、輸入魚によって補ってきた。現在の管理体制では、今後も国産魚の減少は不可避である。日本の魚食の未来は、輸入魚の確保にかかっているといっても過言ではない。
・FAOは、今後10年で水産物の需要は3割増えると予測している。限られた水産物を世界中で奪い合いの時代に突入したのだ。 20年前までは、水産物を買いあさる先進国は日本のみであり、世界中から水産物を集めることができた。経済力を背景に途上国の食卓から、魚を奪ってきたのである。
・成田空港における水産物輸入取扱額は、平成6年の1414億円から、平成19年の634億円へと半減した。国産魚の減少を輸入魚で補うという、今までのやり方は、見直す必要があるだろう。
・世界の水産物の生産は限界に達している。我々が経済力を背景に、世界中から魚を買い集めてくれば、それだけ貧しい人々の食卓から魚が消える。安ければ、何を買っても良いというのは、単なる消費者エゴである。きちんと管理された魚を、適正な価格で購入し、残さずに全部食べることが、魚を消費する際の最低限のモラルである。


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
〜次世代に海を引き継ぐために〜
「海から魚が消える・・・」

 日本人は世界でも魚をよく食べる国民です。私たちの国はその需要を支えるため、国内生産と同量の年間約600万トンもの魚を国外から輸入し、世界約40カ国と漁業協定を結ぶ事によって遠く離れた海から魚資源を獲得しています。
 しかし、その世界中の魚資源の現状について私たちはどのくらい理解しているのでしょうか?もし本当に世界で魚が減っているのであれば、それは私たち日本人にもその責任があるのではないでしょうか?
 私たち日本人を含め世界の人々が、次世代にこの資源を引き継ぐ事が出来ないとしたら、これは重大な問題です。

 日本財団は、『次世代に海を引き継ぐ』事業の一環として、2009年よりシンポジウム、セミナーなどを通してこの魚資源の問題に関わってきました。
 国境のない海において魚の資源管理は一国だけの努力ではなく、国際的な連携による取り組みが求められています。
 その中で魚の消費大国に住む私たちが世界にアンテナを張り巡らせて、正しく現状を理解することが問題解決の第一歩だと考えています。
 魚の問題は国際的な問題であると同時に、一般家庭の食卓を守るという身近な問題でもあります。
 海を守り、私たちの食卓を守る。そして次世代に豊かな海を引き継ぐために、食べるべきか、それとも、食べざるべきか。
 食べ続けたいなら知っておくべき世界の魚資源の事実を把握していただき、今後、どのような行動をとっていくのかを考える契機となれば幸いです。


日本財団    2010-04-05