・中国海軍力の向上ぶりは目を見張るものがある!

・中国海軍力の向上ぶりは目を見張るものがある!
・中国軍の実力誇示は近未来の台湾への軍事恫喝と、心理的にいかに結びつくかというポイントに暗い方面の問題がある。また東日本巨大地震に関して中国は海軍艦船の日本派遣を北沢防衛大臣に打診したという。
・中国政府はリビア情勢緊迫化に伴い、陸海空軍の軍事力を運搬手段へと転用する方針を迅速に固めた。
 ソマリア沖海賊退治のため、たまたまアデン湾にいた軍艦(フリゲート艦「徐州」)に命じてスエズ運河を通過させ、地中海への移動。これを「徐州作戦」と名付けた。」
・見落とせない側面は、いずれもが台湾海峡を越えて、マラッカを渡り、インド洋を超えての作戦を展開したという瞠目すべき海軍力の向上ぶりである。



〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国人の日本大脱出作戦 
宮崎正弘
2011.03.17 Thursday

 リビアにいた中国人三万四千人を中国政府は如何に脱出させたか。軍艦と軍の大型輸送機が大車輪、国家総動員法が円滑化した奇跡的な実績。
 東日本巨大地震津波被害が甚大だったが、つぎに襲ったパニックは福島原発破損、放射線被曝を恐れて四十万人が半径二十キロの外側へ出た。物資不足と停電、買い占め、ガソリン不足。医薬品払底。

 ドイツ人、フランス人の逃亡に続いて中国人の大脱出作戦が始まり、被災地から成田空港や東京、関西方面へ逃れられない人たちは中国大使館が用意したチャーターバスで新潟空港などへ向かう。中国行きの航空券は相場の三倍。この周章狼狽は、いかなる心理的恐慌が動機なのだろう?
 筆者はすぐさまリビアのことを連想した。つい先日、中国のリビアから三万四千人の大脱出作戦はつぎのように展開した。

 歴史を画期するような壮大な作戦実地の強い動機は在リビア中国企業の現場があちこちで暴徒の襲撃を受けたことだ。日頃から現地人を雇用せず、労働現場にも夥しい中国人を投入していることにリビア人の反感が募っていた。
 中国政府はリビア情勢緊迫化に伴い、陸海空軍の軍事力を運搬手段へと転用する方針を迅速に固めた。
 ソマリア沖海賊退治のため、たまたまアデン湾にいた軍艦(フリゲート艦「徐州」)に命じてスエズ運河を通過させ、地中海への移動。これを「徐州作戦」と名付けた。」
 次に軍用機(イリューシン76大型輸送機)を四機、スーダンハルツームからリビアに連続飛行させた。親中派スーダン政府は躊躇なく中国の軍用機離発着を許可した。
 加えて民間の航空機をチャーターし、エジプトに向かわせた。 地中海を航行中だった中国籍大型貨物船合計四隻をベンガジに向かわせる。これら四隻は中国遠洋運輸集団(COSCO)所属二隻と中国海運集団(CCS)所属が二隻。
 さらにギリシアのフェリーボート四隻をチャーターし、ギリシアとマルタの中国大使館はこのほか現地のクルーザー客船も輸送用に確保した。
 エジプトの中国大使館はリビアとの国境に大型バスを百台チャーターし、チュニジアの大使館は30台以上の大型バスを国境付近まで派遣し、中国人の脱出に備えた。
 リビアに滞在していた中国人は、このときに一万数千人ではなく、ゆうに三万人を超えている事実を掌握していた。主に建設現場で働く人々で、各地の中国大使館との連絡網は携帯電話だったという。

▼米国保守系シンクタンクも「快挙」と称賛した軍事作戦:
 「この大脱出作戦を成功させた中国は、画期的な歴史の一ページを刻んだ」と称賛するのは米国保守系シンクタンク「ジェイムズタウン財団」で、その中国情報分析誌「チャイナ・ブリーフ」(2011年3月10日号)は、「従来型戦争パターンを超えた軍民共同作戦の実現は、次の中国軍の存在価値、有り様を示唆するに十分だった」として次のような分析をした。

 「チャーター機の一部はトリポリ空港にも着陸、軍用機はサブハからハルツームへむかった。このイリューシン76型輸送機四機は2月28日にスーダンハルツームへ向かって長距離飛行を続け、スーダンで燃料補給を受け、3月2日から輸送作戦に従事した。リビアから合計1700名を運んだ」。
 民間の貨物船、チャーター船はベンガジへ。「これら非軍事活動に軍事力が大規模に転用され、また中国商務部、国家公安部、交通部などが外交部と円滑に連携できたという実践と実力発揮による成功は中国人民解放軍初の実績となった」。
 とりわけ欧米軍事筋が瞠目したのは中国空軍の大型輸送機四機がスーダン空港を何回も離着陸使用したことだ。スーダンは決して中国の軍事基地を許可したわけでもなくアドホックな認可だが、背後にはハルツーム空港近代化プロジェクトに中国が12億ドルの融資付きでオファーをかけている事実があり、将来、同空港にはエアバス380型の就航も可能になるという算盤勘定も大きかった。

▼中国人の「国際貢献」という意識改革がどれほど作用したか:
 また同財団は「中国の人権意識向上」という伏線にある中国人の意識変化要因を重視した。一般市民を救出するという近代国家としての意識が拡充している状況を前向きに評価して同誌は次のようにいう。
 
 「近年、中国は国連のPKO活動に多くの軍人を割くようになり、2011年一月末現在で合計1900名が世界各地に展開している。運搬、兵站に従事するとはいえ海外へ軍隊を派遣する政治意図の変化、国際社会への協力という意識改革のステップアップ志向は軍、政府、国有企業のあいだに合意がみられるからでもある」

 従来の中国は外国の騒擾、紛争には軍事介入しない方針だった。エチオピアの採掘現場で暴徒に襲われ、中国人九名が死亡した事件も、パキスタンでの中国人拉致、殺害事件の頻発があったときも中国は軍隊を救出には向かわせなかった。
 リビア脱出作戦にかくも長距離を空軍と海軍が派遣され共同作戦が可能となった背景に国連PKOの経験とソマリア沖海賊退治に軍艦六隻を派遣した”國際経験”が活かされたからでもあろう(これらは現在も継続中)
 
 しかし見落とせない側面は、いずれもが台湾海峡を越えて、マラッカを渡り、インド洋を超えての作戦を展開したという瞠目すべき海軍力の向上ぶりである。

 この中国軍の実力誇示は近未来の台湾への軍事恫喝と、心理的にいかに結びつくかというポイントに暗い方面の問題がある。また東日本巨大地震に関して中国は海軍艦船の日本派遣を北沢防衛大臣に打診したという。