大震災で国力が弱くなるときにこそ、外部からの脅威には注視するべきだ!

・第一にその中国の軍拡の疾走していく方向にはどうもアメリカ自体が標的として位置づけられているような構図が浮かぶ。
・第二には中国の軍拡は日本や台湾に大きな影響を及ぼし、その背後のアメリカのアジア政策とぶつかり、さらにはアメリカが主導する現行の国際秩序への挑戦ともみえる。
・・・・のがポイント。
・中国の大軍拡がいま世界を揺さぶるといっても、過言ではない。
秘密のベールに覆われた中国の人民解放軍の兵器や兵員の動きは注視・警戒しなければならない。 大震災で国力が弱くなるときにこそ、外部からの脅威には注視するべきだ!

〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国はなぜ大軍拡に走るのか
古森義久
2011.04.26 Tuesday

 大震災で国力が弱くなるときにこそ、外部からの脅威には注視するべきでしょう。中国やロシアの日本の領海、領空への侵犯ぎみの軍事動向をみていると、そのことを痛感させられます。
 先方からみれば、日本の国力が弱くなり、国内の窮状への対応に手一杯というときにこそ、北方領土でも、尖閣諸島でも、日本の領土を収奪しやすい、ということになるでしょう。東シナ海の領有権のからむ経済資源の収奪にしても、同様です。
 どの国家にとっても安全保障もまず外部とのかかわりのあり方です。利害や価値観のぶつかる外部の他国が日本に対し安全保障上、軍事上、どんな動きをとってくるかが、日本の国家安全保障のカギだといえます。

 そんな認識を踏まえて、中国の軍事力の実態に光を当てる連載を雑誌「SAPIO」で始めました。中国の軍事動向に関しては全世界でも最も多くの情報を得ているアメリカの専門家たちの見解を聞くという方式のレポートです。
 レポートの総論の冒頭を以下に紹介します。
 それは1996年「台湾海峡危機」から始まった。「中国の標的にされた」とアメリカは自覚した。アメリカの首都ワシントンでいま最も重厚な論題といえば、中国の軍事力だろう。
 もちろん日本の大震災や中東での政治動乱も切迫した緊急大テーマではある。だがここ一年ほどの中期のレンジでは、なんといっても中国の軍拡こそが最も広範かつ頻繁に、しかも熱をこめ論じられてきた課題だといえる。
 連日のように議会での公聴会、政府高官の記者会見、官民の研究所での討論会など、多様な場で中国の軍事力問題が取り上げられてきた。

 アメリカがこれほど中国の軍拡を気にかけるのはまず
 第一にその軍拡の疾走していく方向にはどうもアメリカ自体が標的として位置づけられているような構図が浮かぶからだ。
 第二には中国の軍拡は日本や台湾に大きな影響を及ぼし、その背後のアメリカのアジア政策とぶつかり、さらにはアメリカが主導する現行の国際秩序への挑戦ともみえるからだ。
 中国の大軍拡がいま世界を揺さぶるといっても、過言ではないのだ。中国の軍事の実際の動向についてはアメリカの情報収集力は抜群である。

 秘密のベールに覆われた中国の人民解放軍の兵器や兵員の動きを人工衛星や航空機での偵察、通信傍受、さらには古典的なスパイ活動などの手段で察知する。スーパワーパワーたる由縁でもあろう。
 だから中国の軍事動向は中国領内にいてはかえってよくわからず、ワシントンのほうが公開情報が多いという実態なのである。
 中国の軍事を研究する専門家も官民で数を増してきた。東西冷戦の長い年月、アメリカの国際問題研究ではソ連の軍事力が最大の課題であり、人材もその分野に集中していた。
 だがいまその集中が中国の軍事研究へと移ってきたという感じなのだ。いまでは中国の軍事についての情報や分析は全世界でもワシントンが最も豊富な宝庫となったといえる。
 このレポートではそれらアメリカの専門家の代表的な人物たちにインタビューして見解を聞き、中国の軍事力という課題に多方面からの光を当てることを努めた。
 さらに彼らの言葉に私が別個に得てきた情報や分析を加えて、アメリカが中国の軍事をどうみるのか、そして中国の軍事力の実態とはなんなのか、を立体的に報告することとした。
 最初に総論として、中国はそもそもなぜ軍拡を進めるのか、その長期の目標や戦略はなんなのか、を探査することにする。