・原子炉内部は実際に目で確認できる状況では無いので、実際はどうなっているのか? 格納容器の底を突き抜けて落下した可能性が高いが真相はどうか判らない!

・政府は6月、国際原子力機関IAEA)への報告書の中で1〜3号機でメルトスルーが起きた可能性を明記した。
・「欧米で懸念されたように圧力容器の底が一気に抜け落ちるというより、溶けた燃料がパイプを伝わって赤い雨のように音もなく落ちていったと考えられる」
・「溶けた核燃料は、ペデスタルのコンクリートの上で冷えて固まっている状態ではないか」
・さらに下の格納容器の底を突き抜けて落下したとみる推察もある。
・原子炉内部は実際に目で確認できる状況では無いので、実際はどうなっているのか? 格納容器の底を突き抜けて落下した可能性が高いが真相はどうか判らない!


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
核燃料のメルトスルー放っておくと…地下水まで突き抜けず固まる
2011.7.31 18:00

 「東京電力福島第1原発は核燃料が溶け出す『メルトスルー』が起きたと報じられていますが、それでも冷却水を掛けているのはなぜ? メルトスルーを放っておくとどうなるのか。また冷却水の水蒸気は汚染されていないのでしょうか」=東京都江戸川区の自営業、有川克之さん(50)

音もなく滴る赤い雨:
 原子炉の中心にあり、炉心を納めた圧力容器の内側は通常、水で満たされ、核燃料の過熱を防いでいる。しかし、政府や東京電力によると、今回の震災で、福島第1原発の1〜3号機では、注水装置が停止。燃料の熱で水がどんどん蒸発して燃料が露出した。
 冷やされなくなった核燃料はさらに過熱し、2800度に達すると、圧力容器の底に溶け落ちる。これが「メルトダウン」(炉心溶融)だ。
 「メルトスルー」(溶融貫通)はより深刻で、鋼鉄製の圧力容器も1500度を超えると溶けてしまうため、核燃料が圧力容器の底を突き破って下に落ちて堆積する状態をいう。
 政府は6月、国際原子力機関IAEA)への報告書の中で1〜3号機でメルトスルーが起きた可能性を明記し、にわかに注目されることになった。
 圧力容器の底には、核燃料の制御棒を出し入れしたりするための無数のパイプが備え付けられている。
 原子炉内部は実際に目で確認できる状況にないが、北海道大学の奈良林直(ただし)教授(原子炉工学)は「欧米で懸念されたように圧力容器の底が一気に抜け落ちるというより、溶けた燃料がパイプを伝わって赤い雨のように音もなく落ちていったと考えられる」と話す。
 圧力容器の下には、容器を支えている「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の構造物がある。コンクリートは鉄より熱に強いため、大阪大学の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は「溶けた核燃料は、ペデスタルのコンクリートの上で冷えて固まっている状態ではないか」とみている。
 さらに下の格納容器の底を突き抜けて落下したとみる専門家もいる。
 宮崎名誉教授は「水を掛けて冷却しなければ、溶けた燃料が外まで突き抜ける『チャイナ・シンドローム』と呼ばれる現象も起きかねなかった」と指摘した上で「水を掛ければ、それ以上進展することはなく、今回の事故の対策として水を掛け続けた措置は極めて重要だった」と説明する。

チャイナ・シンドローム
 チャイナ・シンドロームとは、核燃料がメルトスルーによって原発施設の外にまで溶け出すことを指す。1979年に、原発事故を描いたこの題名のサスペンスアクション映画が米国で公開され、「地球の裏側の中国まで突き抜ける」と映画で使われたジョークから広まった。
 映画のジョークのように地球の裏まで貫くことはあり得ないが、水による冷却をすることもなく、メルトスルーを放っておくと、溶けた核燃料が地下深くに浸透し、地下水まで汚染することはないのか−。
 宮崎名誉教授は「地下深くまで行くわけではなく、自然に放熱され、どこかで冷え固まる。噴き出した溶岩が自然に固まって止まるのと同じだ」と指摘する。
 特に原子炉は、高い耐震性を維持するため、鉄筋とコンクリートでできた地中の分厚い「人工岩盤」の上に建てられており、「地下水まで突き抜けるものではない」と分析する。
 奈良林教授も、86年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故の例を挙げ、「チェルノブイリでは、何の対処もできず、(溶けた核燃料が)コンクリートの床部分に広がった」と指摘。これと同様に「コンクリート上に水平に広がるうちに冷え固まり止まるだろう」との見方を示した。
 チャイナ・シンドロームのような最悪の事態を避けるために続けられている水による冷却作業だが、蒸発した水蒸気で大気が汚染されることはないのか−。
 宮崎名誉教授は、事故当初であれば、放射性物質が「多少は水蒸気に付いて運ばれる可能性がある」としながらも「海水が蒸発してもほとんど塩分を含まないように、水素爆発が起きたときのように放射性物質が周囲にまかれるような状況ではない」と解説する。
 その上で、冷却が進む現在の状況では「風呂場の水蒸気が壁に付いてしずくになるように原子炉建屋内の壁で冷やされ、水として下にたまっていく」と説明している。(桜井紀雄)