・政府が農業、その他関係者のTPPショックを緩和する政策を練り上げることも必要でこちらの対策が先決で、対応がある程度固まってから慌てず参加すれば良い。

・どんなに優れた自動車、製品を作ろうと、輸出できなければ今日ほど豊かになっていなかったでしょう。自由に輸出できることが第一だ!
自由貿易は国に利益をもたらすものである。
・今や韓国の貿易全体に占めるFTAの比率は、交渉中案件を含めると90%超であるのに対し、日本はわずか30%程度だ!
・9カ国が参加交渉中のTPPはすでに紛糾しており、日本にこれ以上ややこしくしてほしくないという見解もある。
・過去10年間、アジアにおいて2国間の自由貿易協定(FTA)が推進されてきましたが、日本国内では農業界の反対によりほとんど進展していない。
・政府が農業、その他関係者のTPPショックを緩和する政策を練り上げることも必要でこちらの対策が先決で、対応がある程度固まってから慌てず参加すれば良い。


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
日本は一刻も早くTPP交渉への参加を
(日本ビジネスプレス)
中山 日本が国際競争において先んじた経済外交を展開するうえで、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加が不可欠であると思いますが。
竹中 参加が遅れるほど、日本の国益は損なわれる。そう認識すべきでしょう。
自動車を例に挙げると、日本は「自由に輸出させてもらえる」から高い利益を手にしています。逆にどんなに優れた自動車を作ろうと、輸出できなければ今日ほど豊かになっていなかったでしょう。
この事実だけでも、自由貿易は国に利益をもたらすものであることが明らかです。過去10年間、アジアにおいて2国間の自由貿易協定(FTA)が推進されてきましたが、日本国内では農業界の反対によりほとんど進展していません。
韓国でもFTA反対の声は上がりましたが、李明博大統領が農業団体を「世界で勝てる農業にする」と説得し、財政支援を行うことで理解を得ました。
今や韓国の貿易全体に占めるFTAの比率は、交渉中案件を含めると90%超であるのに対し、日本はわずか30%程度です。
例えば、韓国のサムスン電子がヨーロッパ市場に液晶テレビを輸出する場合の関税はゼロです。対して日本メーカーの場合は関税が15%。ただでさえ日本の電機メーカーはサムスン電子に後れを取っているのに、これでは差は広がる一方でしょう。
日本はそんな事態に耐えられないため、アメリカと協定を締結したいところですが、アメリカは2009年に突然、多国間協議のTPPにしか参加しないことを表明しました。
もはや日本に残された道は1つ、TPPしかありません。農業が厳しい問題を抱えているのは、どの国も同じです。アメリカもつい先日まではピーナツに800%の関税をかけていましたが、今は関税撤廃の例外品目として交渉しています。
日本もまずは交渉に参加して、その上で自国に有利な条件を認めさせればいいのです。

中山 10月下旬にペルーでの第9回拡大交渉が迫っていますし、残された時間は僅かですね。
竹中 アメリカは、11月に開催されるAPECアジア太平洋経済協力会議)首脳会議で結論を出したいと考えています。
先日ワシントンの関係者と話す機会がありましたが、米国通商代表部(USTR)は、実のところ日本にTPPへ参加してほしくないのが本音だそうです。
なぜなら、現在9カ国が参加交渉中のTPPはすでに紛糾しており、日本にこれ以上ややこしくしてほしくないから。つまり、我が国はそこまで見限られつつあり、一刻も早い行動が政策として喫緊の課題だと思います。

中山 李明博大統領のように、政府が農業関係者のショックを緩和する政策を練り上げることも必要ですね。
竹中 その点で、民主党が推進する「農業者戸別所得補償制度」は完全に矛盾しています。
本来、農業を強くするためには、零細農家ではなく大規模農家をしっかりと支える必要があります。しかし、本制度は零細農家を助ける性格を持っており、明らかに辻褄が合いません。根本的な政策の誤りが、奥底にトゲのように刺さっています。(以下略)