・放射線管理区域……という場所は人々が立ち言ってはいけない場所にしなければいけない、汚染が広大に広がっている。

東京電力が原子炉建屋に入って原子炉水位計の調整をしてみたら、2号機の炉心の中にも水がなかったと発表した。2号機も1号機と同じようにメルトダウンをすでにした。外の格納容器内に核燃料が落ちている。
・使用済み核燃料の中にキュリウムがありますので。自発核分裂はそこで起きている。使用済燃料プールの中の使用済燃料からでももちろん自発核分裂は起きている。
再臨界というのはウランの核分裂の連鎖反応が続くということで、今まで以上にまた放射性物質が生み出されてしまうので好ましいことではないし、発熱もするので抑える努力をしなければいけない。
放射線管理区域……という場所は人々が立ち言ってはいけない場所にしなければいけない、汚染が広大に広がっている。





〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
2011年11月05日13:22
原発「自発核分裂の意味するもの」再臨界があるかもという疑いはまだ消えていない 小出裕章 2011年11月4日(金)

神保哲生「こんにちは。神保哲生です。えー福島の第一原子力発電所でですね、11月1日になって、放射性キセノン133、135といわゆる放射性物質が検出されたと。で、これが果たして、まあこれは第一発電所のえー第一原発の2号機なんですが。2号機が最臨界を起こしている可能性があるんではないか、ということが指摘されています。であの、一昨日ですね、東京電力は、これは再臨界ではなく『自発核分裂』、えー、の可能性が高いと。これは原子炉の温度がそれほど上がってないということから「自発核分裂」の可能性のほうが高いという見解を示していますが。えーまあ世の中は安定してると思っていた、原発のですね2号機が、すわ再臨界だ、ということになって。えーまあ多くの方が不安を思ってられると思います。
 そこで今日はですね、久々に京都大学原子炉実験所の小出裕章助教にですね、今回のキセノン133,135の検出の意味するところ…まあこれ、あの、小出先生がそれほど心配ないって、多分心配ないだろうと、いうふうに思っていいと思いますので。まあいつものようにですね、最悪のシナリオとして、想定として、今のから何が導かれるかということを聞いてみたいと思いますので、えー小出先生を電話で読んでみたいと思います。小出先生」
神保「あのー、先生とご無沙汰だったら多分そんなに悪いことが起きてないんだろうと思ったらまたお話を伺うことになってしまって」
神保「あの、早速なんですけどね。先生あの、もう世の中では結構情報出まわってますけれども。えー小規模臨界の可能性、まあキセノンが見つかったということで。えー一再臨界かと言われていたら、東電のほうで再臨界はないというようなことを今説明してるんですが。先生今回のキセノンが見つかった件、これ、先生はどうごらんになってますか」
小出「はい。えーっと。いくつか私は疑ったことがあってですね。これまでにも東京電力はクロル38を検出したとか」
神保「ありましたねえ」
小出「ヨウ素の134を検出したとか言ってですね。そのたびに私はそれならば再臨界を疑う必要があると発言をしたのですが。えーしばらくすると東京電力が間違っていましたと言って撤回してしまった、ということが何度も何度もありました」
神保「ありましたねえ」
小出「今回もひょっとするとそうかも知れないとまずは思いました。」
神保「はあはあ」
小出「ただし、事故が起きてからずいぶん年……年月が経っていてですね。えー東京電力の方もずいぶん落ち着いている……きているはずだし。これまでデーターを間違えて公表したという、ま、経験もしているわけですから。今回は多分キセノンの検出というのは本当だろうと私は思いました。そしてそうであれば、「自発核分裂」かあるいは再臨界か、どちらかだと思っていたのですが。えー東電の検出したキセノンが自発核分裂で説明がつく濃度だということですので、私はそれでいいと思います」
神保「いいと思う。はあはあ」
小出「はい」
神保「具体的にその違いというのはどう、一般の人間は理解したらいいですか。臨界と自発核分裂の違いですが」
小出「はい。えーと。自発核分裂というのはですね、原子炉が動いて核分裂生成物が出来てしまうと、いうのと同じように、ま、私たちが一番問題にしてるのはキュリウムという放射性核種なんですが、それが出来てしまうとですね、もう勝手に核分裂をするという、そういうものなんです。
ただし、あのー……核分裂すると言っても非常に単発的にしかしませんので。たしかにキセノンとかは出来てくるのですけれども。えー、大したことだとは私は思いません。えーこんなあの大変な事故が進行しているときにですね、自発核分裂があるということは、あのー事故の進展にとってたいした意味はないと思います。」
神保「なるほどー。うんー」
小出「はい」
神保「そしたらこれはやはりあれですか。2号機、実は2号機の中の状況っていうのは、小出先生がなんども指摘されましたが、実際わかってないわけですよね。どうなってるのかは」
小出「そうですね。ただしあの、最近になって東京電力が原子炉建屋に入って原子炉水位計の調整をしてみたら、2号機ですね。やはりあの2号機の炉心の中にも水がなかったというそういう発表になっていますので。えー2号機も1号機と同じようにメルトダウンをすでにしてしまっていると思います」
神保「メルトダウンしている……」
小出「はい」
神保「え、まあ圧力容器内、場合によっては更に外の格納容器内に核燃料が落ちている……」
小出「はい。あの圧力容器は必ずもう穴が開いて、えー格納容器に落ちていると思います」
神保「落ちている……」
小出「で、格納容器がどこまで損傷しているかということに関しては、今のところは私にはよく分かりません」
神保「んーんー。なるほど。そうするとあの今回の自発、えー核分裂ですか」
小出「はい」
神保「っていうのはあのーその、落っこった核燃料がそのようなことを起こしているということなんですか?」
小出「えーと、落っこちようが落っこちまいがとにかく自発核分裂は起きているのです」
神保「起きている……」
小出「はい。ですから原子炉が通常運転時の時も起きていますし。原子炉が何事も無く停止したとしても使用済み核燃料の中にキュリウムがありますので。自発核分裂はそこで起きている、のです。ですから使用済燃料プールの中の、えー使用済燃料からでももちろん自発核分裂は起きています」
神保「起きている……はあはあはあはあ」
小出「はい」
神保「じゃあ、まあ、小出先生の見解としては今回はその、あのなんか見つかったからといって、」
小出「はい」
神保「特に何か今まで想定しないような状況が原子炉内で起きている風に考える必要はないということですか?」
小出「はい。あのー……自発核分裂であればもちろんそうですし。えー……そうです。ただ、再臨界ということがひょっとしたらばあるかもしれないという疑いはまだ消えてるわけではないので、注意はしておかなければいけないと思います。」
神保「はい。それが再臨界という場合は、結局あの、それはどういう、あの何が問題なんですか。再臨界というのは結局コントロールしない形で連鎖反応が起きてしまうというそういう理解でいいんですか?」
小出「そうです。えーっと、ただ、皆さん再臨界というとですね、なんか原子炉がまた爆発するんではないかというそういう恐れを抱かれているようなのですが。」
神保「はい」
小出「そんなことにはならないと私は思います」
神保「はあはあ。」
小出「はい。ただし再臨界というのはウランの核分裂の連鎖反応が続くということですので。えー今まで以上にまた放射性物質が生み出されてきてしまうということですから。好ましいことではないし、発熱もしますので。えーそれを抑えるという努力をしなければいけません。」
神保「なるほど……」
小出「そのために東京電力はホウ素というものを入れているわけですが。どこまで有効かということも、その……どこに炉心があるということと、関係していてですね。これから注意深く作業とその結果を見て良く必要があると思います」
神保「なるほど。ここまでのですね、原子炉の状況の現状認識して。あの、どこに落っこっているかともかくとして。一応何らかの形で水がかかって、」
小出「はい」
神保「あの……まあ小出先生、前あんぱんという言い方を以前されたと思いますが」「まあ中の方は熱くても外側はちょっとゼリー状のような形で」
「ある程度冷えた、あの、核燃料がちょっとこう、落っこってる状態ではないかというのが」
小出「はい。多分格納容器の底に落っこってる状態だと思います」
神保「はい。んで、あの、その認識は今回このような自発核分裂等々の話が出てきても、その認識はまだ変えなくていいんですか」
小出「はい。あの変える必要はないと思います」
神保「んー。じゃあ一応、まああの、まかりなりにも安定はしてるという、ことじゃない……」
小出「(笑)えーと。安定というのはですね。どれを安定というのかよくわからないんですが。例えばその……今神保さんおっしゃったように、格納容器の底にアンパンのような形で溶けた炉心があるのであれば、まだいいのですが。そのあんぱんの中身がですね、格納容器のコンクリートを突き破っていって、格納容器の鋼鉄製の容器自体を破って下に沈んでいってるということになってしまっているとですね、あとは地下……地下に汚染を広げてしまいますので、早めに遮水壁、というような地下のダムをですね、つくっていかなければいけないと私は思いますし。えーその可能性がある限りは一刻も早くやって欲しいと願っているのですが。東京電力の動きはずいぶん遅いと思います」
神保「うーん。あのー今後のことでちょっと、あの、どのへんを注意しなければいけないのか、アドバイスを頂きたいのですが。」
「例えばあのえー、今後核分裂が、その、今のレベルならそれほど心配はないということですが」「それが促進されるような懸念とかですね」
「あるいは、あの、まあその、今のところは炉内の温度はまあ変化してないという、事ではあったんですが」
小出「はい」
神保「例えばその水温がまあその、逆に下がると、えー、中性子が減速されてですね、核分裂が進む可能性があるのかどうか、そのへんのちょっと、今後のですね、まあ注意しなきゃいけない点というのを教えていただけますか?」
小出「はい。あのー、今神保さん正しくおっしゃったように、水温が下がるとえー核分裂の連鎖反応を進める方向に行きますので。えー……もちろん注意をしなければいけませんし。」
神保「はい」
小出「ホウ素というものを、ちゃんと融けてしまって崩れ落ちてる炉心のところにいかせるようなですね、配慮(※配路?)というのをやらなければいけないと思いますし。そのためには注意深く温度、圧力、あるいはキセノンの量のようなもの、を見ながら、これから冷却作業をやって行くべきだと思います。」
神保「なるほど。わかりました。あの、ついで、ついでで申し訳ないんですが」「あの、この情報が出た時も本当は小出先生におはなしを伺いたかったんですけれどもね」「あのー、プルトニウムが、飯舘で、あの、微量ながら検出されましたよね、」「んで、45キロ(メートル)だということです」
「あのー原子炉から。」
小出「はい」
神保「それでまあプルトニウムは先生からなんども伺ってるように。まあ、α線しか出さないのでなかなかガイガーカウンターなかで検出されにくいんですね。難しい」
小出「はい。全くできません」
神保「わかんない」「どこまで広がってるか非常に心配してたら。」
「少なくとも45キロまでは飛んでたということで。まあわかった、ということなんですよね」「でその後、あまりそのことが話題に上ってないんですけども。」
小出「はい」
神保「ちょっと小出先生のですね、そのプルトニウムが少なくとも45キロ先までは飛んでいたということが意味する所っていうのを、ちょっと最後お話伺わせていただいていいですか」
小出「はい。えーと。それはですね、むしろ45キロということを問題にするようなことではなくて。すでに地球上全部にまあ第一原子力発電所からのプルトニウムは飛んでいると私は思います」
神保「全地球に」
小出「はい。ですから米国で検出したという、えー環境保護庁のデーターももうすでに出ていますし。微量という意味……まあ微量ではありますけれども、もうどこにでも飛んでいってしまっていると覚悟しなければいけません。ただし、ですけれども、えー、福島第一原子力発電所から環境に放出されてきた放射性物質の量ということをきちっと見るのであれば、えー私たちが被曝を受ける量は、圧倒的にセシウムが多い」
神保「セシウム
小出「はい。えーですから、プルトニウムあるいはストロンチウムという、放射性物質は猛毒ですので、注意を怠ってはいけませんけれども、今現在私たちが注意をしなければいけないのは、何よりもやはりセシウムだと私は思います」
神保「んー。なるほどー。わかりました。あのー、今回まあ、えー統合本部あるいは政府の方はですね、」「まあ原子炉の中、ずいぶん安定してきているので、」「まあ避難解除であるとか、色々とまあ工程表に沿って順調に、っていうふうに言ってますが。」「あのーそのあたりは小出先生は同ご覧になっていますか」
小出「(笑)。えー……国とですね、東京電力というのは、今回の事故を起こした最大の責任者だし。私から言えば犯罪者なんですね。でその最大の犯罪者二人が、えー事故が収束してるとかですね、もう人々がかっていいとかいうようなことを言ってるわけですけれども。私から見ればとんでもないことなのであって。えー本来は放射線管理区域……という場所、つまり人々が立ち言ってはいけない場所にしなければいけない、汚染が広大に広がっているのですね。でそのことを国も東京電力も、ハッキリと表明しないまま、なにかもう安全なんだ、なにかもう事故は収束に向かっているというようなそういう宣伝を繰り返しているのですね。そういう宣伝に騙されないようにしていただきたいと私は思います」
神保「あのー放射線の……今先生がおっしゃった、放射線何区域でしたっけ?」「管理区域でしたっけ」「あのー小出先生の実験所にお伺いした時も」
「そのサインが出てましたけど」「もう、あの、要するに私たちが普通は入れない……」「状況よりも今の福島の、例えばその20キロ圏とかのほうが、はるかに……」
小出「遥かにひどいです」
神保「放射能、汚染濃度という意味で遥かに高いわけですね。
小出「そうです。福島市、市だって高いです」
神保「市だって、それはあの、」「実験所の立ち入り禁止区域より高いと」
小出「はい。そうです。」
神保「なるほど。分かりました」