・重要なのは、二大温室効果ガス排出国の米国、中国に実効性ある温暖化対策を迫る枠組みづくりを急ぐことだ!

穀物市場の動向はパンや食用油に加え、トウモロコシなどを飼料とする牛肉や乳製品などの価格に跳ね返るため、欧州債務危機や中国、インドなど新興国の景気減速などに悩む世界経済には大打撃だ!
・米国のトウモロコシ、大豆、ロシアやウクライナの小麦など大幅な生産減少が予想されて価格が上昇、トウモロコシは史上最高水準となった。
・2010年の干魃で小麦などの輸出禁止・制限を実施したロシアやウクライナが今回も同様の構えを見せると、投機的動きは一段と強まろう!
・米海洋大気局の調査では、2012年4月から4カ月連続で北半球の陸地の平均気温は過去最高だった。地球温暖化の進行に伴う気候変動の被害ととらえるのが妥当か?
・重要なのは、二大温室効果ガス排出国の米国、中国に実効性ある温暖化対策を迫る枠組みづくりを急ぐことだ!





〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
干魃と不作 食糧危機の足音が近づく
2012.8.24 03:28 [主張]
 世界の穀倉地帯が天候異変に襲われている。 米国は本土の約6割が干魃(かんばつ)状態という56年ぶりの事態に陥り、ロシア、インドも深刻な雨不足だ。
 米国のトウモロコシ、大豆、ロシアやウクライナの小麦など大幅な生産減少が予想されて価格が上昇、トウモロコシは史上最高水準となった。
 穀物価格の急騰はリーマン・ショック以来の日米欧の金融緩和であふれた資金が穀物市場に流れ込んでいるのも一因だ。
 一昨年の干魃で小麦などの輸出禁止・制限を実施したロシアやウクライナが今回も同様の構えを見せると、投機的動きは一段と強まるだろう。
 穀物市場の動向はパンや食用油に加え、トウモロコシなどを飼料とする牛肉や乳製品などの価格に跳ね返る。  欧州債務危機や中国、インドなど新興国の景気減速などに悩む世界経済には大打撃だ。
 20カ国・地域(G20)が近く緊急会合を開き、生産国に輸出制限などせぬよう要請するという。 当然の対応であり、同時に投機的取引に目を光らせる必要がある。
 高騰の原因は生産減だけではない。 巨大な人口を抱える中国の経済成長で食肉の消費が急増し、飼料用穀物の消費量が増えた。 
 地球温暖化対策などから米国がトウモロコシなどを原料とするバイオ燃料の普及を義務づけていることも大きい。
 一昨年のロシア、昨年の東アフリカ、中国、欧州と毎年のように天候不順による記録的な不作が続いていることも見逃せない。
 米海洋大気局の調査では、今年4月から4カ月連続で北半球の陸地の平均気温は過去最高だった。地球温暖化の進行に伴う気候変動の被害ととらえるのが妥当ではないか。世界気象機関が干魃対策で閣僚級会合の来春開催を決めた。実効策が問われている。
 日本人の台所や食卓への影響も心配だ。  日本政府は今後の穀物不作の頻発、価格高止まりはもちろん、食糧危機の到来も念頭に置いて、調達先の多様化や、40%を切った食料自給率の回復に取り組む必要がある。
 国際社会も、もはや排出量取引バイオ燃料は数字上のつじつま合わせ、補助的手段にすぎぬことを認識すべきだ。
 重要なのは、二大温室効果ガス排出国の米国、中国に実効性ある温暖化対策を迫る枠組みづくりを急ぐことである。 危機の進行は想像以上に速い。