・世論に迎合して、結果として非科学的な神話を生み出し、復興を遅らせていることを野田首相、細野豪志前原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣らは猛反省し、責任をとるべきだ!

・藤村官房長官は過日、「さっさと月曜日(10日)に打ち上げてくれるといい」と発言したが、政府中枢に在りながら、北朝鮮弾道ミサイルが日本にどのような脅威を及ぼすかなど安全保障上の危機を全く理解できていない証左だ!  恥ずかしくもなく官房長官の座にいるのは、昼行灯と言われる所以か。
・いま福島には、野田佳彦政権の残した1ミリシーベルト神話が浸透し、それが復興を妨げている。 細野豪志原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣が年間1ミリシーベルトを超える地域はすべて除染すると確約したことに始まる!
・2011年4月に国際放射線防護委員会(ICRP)の基準に従い、ひと月以内に避難を完了させるべき地域として計画的避難区域を設定したとき、その基準を年間20〜100ミリシーベルトの幅にしたということは、20ミリシーベルト以下なら避難は不要ということだ!
・洞察力の無いポピュリズムの細野は1ミリシーベルト以上の場所は除染すると確約してしまった! この責任は取り返しが効かないほど大きい!
福島県の避難者は11月末現在で約15万8千人、その多くの人が放射能汚染が心配される双葉郡8町村などからの避難である。
・世論に迎合して、結果として非科学的な神話を生み出し、復興を遅らせていることを野田首相細野豪志原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣らは猛反省し、責任をとるべきだ!



〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
万事に危機読めぬ政府
2012.12.13 03:17
 12月12日午前9時49分、北朝鮮弾道ミサイル1発を発射した。北朝鮮はミサイル発射で人工衛星が軌道に乗り、実験は成功したと発表した。
 日本政府は藤村修官房長官が記者会見し、「極めて遺憾。容認できるものではなく、厳重に抗議する」と非難した。だが、容認できないと言いながら、藤村氏は過日、「さっさと月曜日(10日)に打ち上げてくれるといい」と発言したのではないか。政府中枢に在りながら、北朝鮮弾道ミサイルが日本にどのような脅威を及ぼすかなど安全保障上の危機を理解できていないゆえの発言であろう。
 国家の危機を警告する情報の意味を読みとれず、情報に対して高(たか)を括(くく)るかのような姿勢が透視されるが、それでは危機回避などできようがない。
 危機管理能力を欠くその姿勢は他の事柄においても同じである。 最たる例が福島の放射線問題であろう。
 いま福島には、野田佳彦政権の残した1ミリシーベルト神話が浸透し、それが復興を妨げている。
 神話は、1ミリシーベルトを安全か危険かを分ける限界値ととらえ、それ以上であれば故郷にも戻れないかのように思い込む傾向を指す。これは細野豪志原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣が年間1ミリシーベルトを超える地域はすべて除染すると確約したことなどによって生まれたと言ってよいだろう。
 3・11から1年と9カ月が過ぎ、深い喪失感の中にありながらも、人々は前進しようと努力している。 その前に、いまだに、1ミリシーベルトの壁が立ちふさがり、戻れる状態になっているにもかかわらず故郷に戻らない人々や、かつての集落が急速に壊滅に近づきつつある様子を見るにつけ、野田首相や細野氏の責任は大きいと思う。
 このような論議がいかに不合理で国際社会の常識に反しているかは、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準を見ても明らかだ。
 ICRPは、年間100ミリシーベルト以下の低線量被曝(ひばく)の健康への影響は疫学的に認められていないとの立場に立ちつつも、被曝線量はできるだけ少ない方がよいという考えから、一般の人々の被曝を年間1ミリシーベルトにとどめるのがよいとしている。  ただし、緊急事態や、医療現場など職業上放射線を浴びやすい人々については、5年間で100ミリシーベルト、あるいは1年間で50ミリシーベルトまでは許容されると定めている。
 緊急事態からの復旧過程の基準は年間20ミリシーベルト以下とし、できるだけ早く1ミリシーベルト以下にするとも定められている。
 日本政府も同基準に従い、昨年4月に、直ちにではないがひと月以内に避難を完了させるべき地域として計画的避難区域を設定したとき、その基準を年間20〜100ミリシーベルトの幅にした。逆に言えば20ミリシーベルト以下なら避難は不要ということだ。
                   ◇
 この時点で、民主党はこうした点をきちんと説明すべきだった。 だが、放射線を恐れる住民の心情に反応して、細野氏は1ミリシーベルト以上の場所は除染すると確約し、自ら、土の表面を5センチはがす除染作業までしてみせた。 これこそポピュリズムであろう。
 12月8日、私は原発被災地の双葉郡8町村議会議長会に招かれ、郡山市福島県農業総合センターを訪れた。 8町村はいずれも全住民に避難命令が出された区域だ。 なぜこのような会に招かれたか、少し説明が必要だろう。
 私は3・11後、福島にボランティアで足を運ぶことが多くなった。
 私にできることのひとつが、専門家の話をきき、資料を読み、放射能に関してより正しい情報を伝えることだ。  危険を過小評価も、過大評価もせず、科学の知見に基づいて合理的対処策をとることが問題解決の役に立つと考え、会を重ねる内に議長会からの要請を受けたのだ。
 会場には、いずれもまだ全域、あるいは大部分が警戒区域とされ、誰も住んでいない双葉町富岡町、あるいは浪江町に加え、大熊町楢葉町広野町川内村葛尾村の8町村の議長、議員ら約200人に加えて一般の人々も集まっていた。
 福島県の避難者は11月末現在で約15万8千人、その多くの人が放射能汚染が心配される双葉郡8町村などからの避難である。 住民が戻らなければ故郷再生は不可能だ。 仮設住宅などでの生活で心身共に健康を害し、家族が分散してしまう事例も少なくない。
 そこで私はこれまでどおり、1ミリシーベルトの壁を打ち破る理性と勇気が必要だと、地方自治体の政治を動かす議員を前にして語った。
 会に集まった議長の中に政府がICRPの基準を受けとめて、20ミリシーベルト以下でも大丈夫だと示してくれればどれほど復旧につながったかと、内々に語った人もいた。
 他方、1ミリシーベルト以上は許し難いと論難する声もあった。議員の一人はこう語った。
 「信じられるのはICRPの意見だけ。日本のメディアや学者の言うことは信じられない」
 非難を発した人の気持ちは実は、現地に行けばよくわかる。  結局、皆、一所懸命なのである。  それでもいま大事なのは科学の情報に向き合うことだ。  ICRPの情報しか信じないというが、私が指摘した数字や基準はすべてICRPのもので、それを啓発しない政府が悪いのだ。
 世論に迎合して、結果として非科学的な神話を生み出し、復興を遅らせていることを首相らは猛反省すべきである。

 人々の心情を思いながらも、政治はこの悪しき世論への迎合から抜け出さなければならない。