今何よりも重要なのは、先を見通そうとする気迫だ!

・中国の海洋戦略が第2段階に入って、尖閣諸島は中国から太平洋へのゲートウエイの真ん中に位置し、尖閣への中国の攻勢は本格化しよう。
・日本は、かつて自由貿易の旗手だったが、今や旗振りどころか環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加すらできない。
白川方明日銀総裁の就任時に1ドル103円だった円レートは無為無策の中で75円まで進み、日本企業は競争力を失った。
・6重苦と呼ばれる日本産業の重荷のほとんどは、政府がもたらした人災だ!
・多様な教育や文化や価値観や思考の相克の中から知恵と競争力が出てくることが常識となった。
・この時代に、今何よりも重要なのは、先を見通そうとする気迫だ! 人口が幾何級数的に増加し、資源が希少化し、情報量が大爆発してビッグデータ処理が必要となる。




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
先を見通す気迫が最重要
MITシニアフェロー・岡本行夫 2012.12.31 03:03
 昨年の大みそかの本欄に、世界中で民主主義や経済発展や安全保障の道しるべが失われていると記した。 今年の大みそかも、状況は同じだ。 依然として、世界は行きつ戻りつだ。 欧州の通貨危機は崖っぷちに立ちすくんだまま。  「アラブの春」は、人々がはやした民主化よりも、混迷をもたらした。  イランの核武装化が現実味を増し、アフガニスタンの混迷もあって、中東は再び爆発の危険にさらされる。
 北朝鮮は、米本土への核攻撃能力を持つまでミサイルと核の実験を続けるだろう。  中国の海洋戦略が第2段階に入って、尖閣諸島は中国から太平洋へのゲートウエイの真ん中に位置することになった。  尖閣への中国の攻勢は本格化しよう。  日韓関係の改善は可能だろうが、長期的には日本側に歴史問題に向き合う覚悟が必要になる。
 北方領土は、プーチン大統領が今年3月に球を投げてきたが、日本は無視した。  このまま交渉の窓が閉まれば当分開くことはないだろう。
 普天間移設はまったく進展していない。  普天間飛行場が継続使用されているために、日米双方に切迫感がない。  米国の知日派普天間問題の比重を軽減させたおかげで時間を稼いだが、放置すれば取り返しのつかない事態になる。
 日本は、かつて自由貿易の旗手だった。 今や旗振りどころか環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加すらできない。「貿易立国」だったのは過去。 輸出入総額のGDP比率を見れば、日本はOECD加盟34カ国中のなんと最下位だ。
 日本の自閉が進んでいる。 ドイツのDHL社が発表する各国のグローバリゼーションの度合いでは、日本はベトナムやサウジより劣る世界第42位。
 もちろん先進国の中で最低である。
 白川方明(まさあき)日銀総裁の就任時に1ドル103円だった円レートは無為無策の中で75円まで進み、日本企業は競争力を失った。  6重苦と呼ばれる日本産業の重荷のほとんどは、政府がもたらした人災だ。  特にこの3年間。  民主党チームは、仕分け人会議のように、大事な案件を少数の未経験の人々でさばこうとした。  排除された官僚たちは、遠巻きにして眺めていた。
 八方塞がりの日本だったが、新政権が誕生し、経済に明るさが出てきた。
 しかし自民党が正しいわけでもない。  日本の後退は、財政悪化にしても、ODAや防衛費の削減にしても、すべて自民党が始めたことである。
 私がいるマサチューセッツ工科大学(MIT)は、今年、世界の大学ランキング第1位になった。  ここでは「国籍」は意味を持たない。  MITの学生の半分は外国人。  世界中の人材が個人として集まる。  多様な教育や文化や価値観や思考の相克の中から知恵と競争力が出てくることが常識となった。
 世界が向かう方向は明らかだ。人口が幾何級数的に増加し、資源が希少化し、情報量が大爆発してビッグデータ処理が必要となり、中国、ブラジル、トルコ、南ア、インドネシア、アフリカなどの成長が続く。
 この時代に何よりも重要なのは、先を見通そうとする気迫だ。 安倍政権にそれができるか。まずは期待して新年を迎えよう。(おかもと ゆきお)