・北朝鮮はこれから中国に対し、核を脅しの材料に使ってくるだろう。

・中国は、日本は絶対に出てこない、撃ってこないとナメてかかってますから、まだしばらく好きなことをやる。
・中国の富裕層や高級官僚はどんどん海外に逃げている。海外逃亡者の数は約1万8000人と言われ、持ち出されたカネは8000億元と言われている。それも氷山の一角だ!
・飛行場で逃亡寸前に捕まった人たちが、別に約1万8000人いる。
ニューヨーク・タイムズが昨年、温家宝首相一族の蓄財が27億ドルあるとスッパ抜きましたが、中国国内ではみんな知っていた。
・中国の情報は、オフィシャルな情報と、ネット上の情報がある。
死の灰が飛んでくるのは、北朝鮮に一番近い遼寧省である。
・核爆弾の小型化によって、北朝鮮はその爆弾を中国に手で持っていって仕掛けることもできる。
北朝鮮はこれから中国に対し、核を脅しの材料に使ってくるだろう。




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国にとって北朝鮮核兵器は目の前の脅威   
宮崎正弘   2013.03.02
マット安川  日中関係をめぐる報道が相次ぐ中、ウオッチャー宮崎正弘さんを迎えて中国当局の内幕や新しい幹部の動向、経済状況や外交政策について、興味深いお話をたくさんご紹介いただきました。(「マット安川のずばり勝負」2013年2月22日放送)
▽ 中国から「アジア重視」へ。 日本の外交に地殻変動
宮崎 正弘  中国は今、アジアはもとより、世界中で暴れています。 特にアジアでは、勝手に自国の領土だと宣言して地図に書き込んだ上に、南シナ海の南沙など3諸島を管轄する行政区「三沙市」までつくった。
 このように好き勝手な振る舞いをしている中国に対して、領有権を争うフィリピンやベトナム、台湾などが反発している。  逆に言うと、日本の主導でこれらの国・地域をうまくまとめることができます。
 実際、フィリピンの外務大臣が昨年、英フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、日本が防衛力を強化することはアジアの安定につながるので歓迎する、と話しています。
  そういう流れの中で、日本の外交姿勢もガラっと変わり、アジア重視になりました。  1月、麻生(太郎)副総理がまっ先にミャンマーに行きました。  次に岸田(文雄)外務大臣がフィリピン、ブルネイ、オーストラリア、シンガポールを訪問し、安倍(晋三)総理もベトナム、タイ、インドネシアを訪問した。
 これは、実は地殻変動にも似た大きな日本外交の姿勢の変化なんです。
 日本は昨年秋の反日暴動以降、財界の合言葉も変わりました。
 「チャイナ・プラス・ワン」。  中国ともう1カ所かそれ以上ということで、今アジア諸国がブームになっています。
▽中国は日本とチキンゲームをやっているだけ
宮崎 正弘  尖閣諸島沖における中国の「ロックオン」については、あまり堅苦しく考えない方がいいと思います。 というのも習近平総書記が軍に対して最初に指示したのは、酒を飲むのをやめろということです。 禁酒令を出した。次に、送り迎えに赤絨毯を敷くのをやめろと。
 さらに、戦争の準備をしろと言った。 つまり、それまでダラけていた軍隊に、ちょっと緊張感を与えようというのが真意だったんです。
 ところが、現場の部隊とすれば、戦争の準備をしろと言われたわけだから、いろいろ考えますよ。  例えば成績を上げて、部隊長ならばその上に行きたいというようなことを考えたのかもしれない。  それでレーダーを照射してご覧にいれましたと。
 いずれにしろ、中国の軍隊だって軍人は戦争なんかしたいと思っていません。 サラリーマン化していますからね。  日本はその点も考慮しておかないといけません。
 今はお互いにチキンゲームをやっているだけです。 ただ中国は、日本は絶対に出てこない、撃ってこないとナメてかかってますから、まだしばらく好きなことをやると思います。
 それでも本当に戦争をする気はない。 だって日本の後ろにはアメリカがいますから。 アメリカに勝てないことくらい中国も十分承知しています。
▽富裕層や高級官僚が不正蓄財を抱えてどんどん国外逃亡 
宮崎 正弘   中国政府は国民に対しては、日本はけしからんなんて言っていますが、国民は納得していませんよ。
 だいたい中国の富裕層や高級官僚はどんどん海外に逃げていますからね。海外逃亡者の数は約1万8000人と言われ、持ち出されたカネは8000億元と言われています。それも氷山の一角だと思います。
 そのほかに、飛行場で逃亡寸前に捕まった人たちが、別に約1万8000人いる。 結局、みんなカネを不正に集めて、それを中国に投資しないで、逃げ出している。 こんな国は終わりじゃないですか。
 こうした事実を国民はもちろん知っています。 想像以上に中国は言論の自由があるんです。 インターネットが普及し、ブログの書き込みもスゴい。
 書き方も非常に高度なテクニックがあり、みんな暗号で書くんです。
  ユーザーたちはそれが誰を指しているのか分かる。  例えば、ニューヨーク・タイムズが昨年、温家宝首相一族の蓄財が27億ドルあるとスッパ抜きましたが、私に言わせれば、中国国内ではみんな知っていたことです。
 中国の情報は、オフィシャルな情報と、ネット上の情報があります。
 日本のメディアはもう少しそういうことを報道した方がいいと思いますね。
▽中国の軍事的脅威になり始めた北朝鮮  
宮崎 正弘  北朝鮮が核爆弾の小型化に成功したことは、中国にとっては軍事的に現実の脅威になったと考えていいでしょう。
  ただ、小型化した核弾頭を実際にミサイルに搭載できるかどうかなど技術的な課題がほかにもありますから、実際に脅威になるのは5〜10年先の話だと思います。
 興味深かったのは、中国国民の反応です。  核実験に対して、北朝鮮大使館のある北京や、領事館のある瀋陽や広州などで抗議デモが起きました。
  北朝鮮大使館前には100人くらいのデモ隊が押しかけ、瀋陽の領事館前にも5人がプラカードを掲げて押しかけた。  たった5人とはいえ、今までだったらあり得ないことです。
 彼らが訴えたのは、要するに汚染されるのは我われだということです。
 死の灰が飛んでくるのは、北朝鮮に一番近い遼寧省であるという論理です。
 日本で発行されている中国語新聞を読むと、北朝鮮金正恩第一書記について、中国の忍耐の限界まで挑戦している、あの恩知らず、生意気な、というような論調です。
 つまり北朝鮮は今まで自分たちの手のひらの上で踊ってきたはずなのに、言うことを聞かなくなったと。 中国にとっては不愉快千万なわけです。
 核爆弾の小型化によって、北朝鮮はその爆弾を中国に手で持っていって仕掛けることもできます。 北朝鮮核兵器を持って鴨緑江を渡ってくるというのは、距離の感覚で言うと、尖閣などよりすぐ目の前の脅威です。
 過去1500年の中国と朝鮮の関係を見ても、そういうことはよくあります。
 中国が圧倒的軍事力を持っている時は、朝鮮はペコペコするけれども、王朝末期でガタガタ揺れ始めると、途端に威張りだす。 北朝鮮はこれから中国に対し、核を脅しの材料に使ってくるでしょう。