・中国では、カドミウム汚染米をはじめとする汚染食物に関する不祥事が頻発する。

・中国はいまや「世界最大の電子機器の投棄場」だ。世界中にある電子廃棄物の約70%が最終的に中国に行き着く。
広東省貴嶼鎮の町は、電子廃棄物のリサイクルが非公式に行われている場所としては世界最大級かもしれない。
・毒性汚染の多くは、基盤回路やプラスチックなどを燃やすことや、銅や鉄といった価値のある金属を取り出すためにわれる塩酸での洗浄などで引き起こされる。
・中国では、カドミウム汚染米をはじめとする汚染食物に関する不祥事が頻発する。 『貴嶼鎮産』米とわざわざラベルを張ることはないし、別の場所で作られた米だと表記される。
・誰が重金属汚染農作物を食べるのか?



〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国は「世界最大の電子機器の廃棄場」、環境汚染も深刻  
古澤襄   2013.07.02
 中国の広東省貴嶼鎮は電子廃棄物の主要な集積場となっている。 投棄されたテレビや冷蔵庫、エアコン、旧式のコンピューターなど電子機器のごみの多くは、現地の人々に多大な健康被害を与える環境破壊を生み出している。
<(CNN) パソコンや携帯電話を捨てた後、それらがどこに行くか考えたことがあるだろうか。 使い古された電子機器の数々は、中国に行き着く。
 国連の報告書によれば、中国はいまや「世界最大の電子機器の投棄場」だ。 そして、それが現地の人々に多大な健康被害を与える環境破壊を生み出している。
 テレビや冷蔵庫、エアコン、旧式のコンピューターなど、こうした電子機器の多くは中国で作られる。 そして、世界経済の奇妙なところだが、こうした電子機器のごみの多くは処分のために再び中国に戻ってくる。
 国際環境団体グリーンピースの北京事務所は「国連のデータによれば、世界中にある電子廃棄物の約70%が最終的に中国に行き着く」と指摘する。米国のような先進国から中国やベトナムといった国々へ電子廃棄物を移送することは国連が禁じているため、こうした廃棄物の多くは違法なルートから入ってくるという。
 いま、こうした電子廃棄物の主要な集積場となっているのが広東省の貴嶼鎮だ。
 町中いたるところで人々がハンマーやドリルを使って家電製品の中身を分解していた。 道路の脇にはプラスチックやワイヤ、ケーブルといった廃棄物が束になっている。 部品はそれぞれ、価値や再販の可能性別に選別される。
 ある通りには緑の回路基盤が積み上げられ、別の通りにはデスクトップパソコンの金属ケースが並ぶといった具合だ。
 貴嶼鎮の町はもしかしたら、電子廃棄物のリサイクルが非公式に行われている場所としては世界最大級かもしれない。
 ここでの作業は汚く、危険だ。 グリーンピースは、中国で見られるような原始的な方法でリサイクルの作業が行われた場合、現地の環境に多大な悪影響を及ぼすと危惧する。 国連も報告書の中で貴嶼鎮がリサイクル業の影響で環境的にひどい状況に陥っていると指摘している。
 毒性汚染の多くは、基盤回路やプラスチックなどを燃やすことや、銅や鉄といった価値のある金属を取り出すためにわれる塩酸での洗浄などで引き起こされる。 作業している人々や周囲の環境が、鉛やベリリウムカドミウムといった重金属に汚染され、灰が空気中や水、土壌に飛散する。
 初めて貴嶼鎮を訪れた人は、目や鼻の穴が焼け付くような感じに襲われるはずだ。
 汕頭大学医学院の調査によれば、貴嶼鎮の子どもたちの多くは血中の鉛が平均よりも高い水準を示したという。  鉛は脳や中枢神経の発育阻害を引き起こす可能性がある。
 町の外にも廃棄物の山は広がっていた。 水牛が草を食べる水辺にはたくさんの電子部品が転がっている。 牛が踏みつけているのはビデオモニターから外された板ガラスだ。 フラットスクリーンにはたいてい非常に毒性の高い水銀が使われている。
 貴嶼鎮で電子廃棄物を処理している人の多くは貧しい地域からやってきた移民で、ほとんど教育を受けていない。  彼らの多くは廃棄物処理に伴う被害について、その危険性を甘く見ているようだ。
 ルーとだけ名乗った女性は、リサイクル業について「もちろん、健康的ではない」としながらも、「しかし、何世代にもわたりここに住んでいる家族がいるし、そうした人たちの健康への影響は小さい」と付け加えた。  移住労働者の中には、作業はつらいが、規則の厳しい工場の生産ラインで働くよりも、ここでの作業のほうが自由がきくと話すものもいた。
 貴嶼鎮の環境汚染については、以前よりも良くなっていると考えているものも多い。
 ワンという男性は「2007年に初めてここに来たときは、ごみの山だった。 金属を洗浄したり、物を焼いたりするせいで肺が深刻なダメージを受けていた。 しかし、今は、以前と比べれば、当局がかなり厳しく取り締まりを行っている」と語った。
 「電子機器の廃棄場」貴嶼鎮の様子しかし、リサイクル業に携わっていない人々は別の考えだ。
 移住してきて同地で農業を営んでいる人々はCNNの取材に対し、井戸水は飲まないと語った。 さらに、衣類などを水で洗うと黄色に染まると訴える。
 グループの代表者は「聞こえが良くないかもしれないが、私たちは自分たちが作った米を食べようとは思わない。 ここで作られたものは全て汚染されているからだ」と語る。 では、誰が農作物を食べるのかと尋ねると、「さあ、誰かな。 『貴嶼鎮産』とわざわざラベルを張ることはないし、別の場所で作られた米だと表記されるから」と答えた。
 最近のカドミウム汚染米をはじめとする食べ物に関する不祥事が頻発する中国では、こうした考え方も驚くものではないだろう。
 中国政府は電子廃棄物の流入を制限する取り組みを進めており、貴嶼鎮への流入量も減っているようだ。
 しかし、プラスチックを仕分ける仕事をしていた男性の言い分はこうだった。
 「なぜ、この町にごみが入ってくることを止めようとしているのだろう。仕事に影響が出るじゃないか」(CNN)>