・今や日本の対中、対韓外交の主戦場は米国だ! 対米アプローチを立て直すときだ!

・民間航空機については中国の要求する飛行計画書の提出を認めた米国は事態の重要性を認識し、発言を修正する政治決断を行うことが肝要だ!
・米国はその発言を「ただし、単にこの空域を通過して他の国に向かう航空機は飛行計画を提出する必要はない」と補足すべきだ!
・「アジアにおけるアメリカの最も重要なパートナーはどこか?」の回答は、米国の54%の人々が「中国が最も重要」と答えているのだ!
1990年代には、80%だったのが40%に激減していう。
・今や日本の対中、対韓外交の主戦場は米国だ! 対米アプローチを立て直すときだ!



〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国の日米分断に乗るな
MITシニアフェロー・岡本行夫  2013.12.8 03:06
 尖閣諸島上空を含めた中国の防空識別圏設定に対して、日本政府は毅然(きぜん)と対応した。 米国も自身の国防の観点から直ちに反応し、戦略爆撃機B52を飛行させた。 しかし米国は、民間航空機については中国の要求する飛行計画書の提出を認め、中国を大喜びさせている。
 中国外務省スポークスマンは、「米国の航空会社の建設的態度を称賛する」と述べる一方、「日本は誤ったやり方と不合理な非難をやめるべきだ」と胸を張った。
 日米民間機とも飛行計画書を提出していなければ、いかに中国とて日本の航空機だけを「防御的措置」の対象にはできない。  かといって、米国民間機に何かをすれば、米国世論は激高し、米中関係は一挙に悪化する。 結果的に、中国は日米双方の民間機に手出しできない。
 しかし、今や中国には、米国民間機を除外するれっきとした理由ができて、日本機だけを狙うことが可能になった。
 軍用機に警告されれば、民間機は要求に従わざるを得ない。
 日本の民間機は大きな不安の中におかれることになる。 米国の国防政策と外交政策が乖離(かいり)して生じた今回の方針だが、このように外に見える形で米国が日本の安全保障上の利益を害した例はない。
 日本政府は方針変更を米国に要求すべきだし、それを聞かない米国でもあるまい。
 やり方はあるだろう。今回の米政府の方針は、記者会見での質問を受けての「一般的には、航空会社が各国の通告に従うことを期待する」という発言にすぎない。
 米国はその発言を「ただし、単にこの空域を通過して他の国に向かう航空機は飛行計画を提出する必要はない」と補足すべきだ。
 他にも方法はあろう。 要は、米国が事態の重要性を認識し、発言を修正する政治決断を行うことである。
 私が籍を置くマサチューセッツ工科大学は世界の大学ランキングで第1位だが、ここでも中国や韓国の存在感が日本を圧倒する。  日本の留学生は学部全体に僅か3人だけ。  キャンパス中に英語版の人民日報が無料で積まれ、学生の多くは尖閣を「ディアオユウダオ」と中国名で呼ぶ。 日本政府は、「日中間に領土問題は存在しない」として、長いあいだ国際世論へのPRを行ってこなかったが、中国のキャンペーンはものすごい。 
 日本に絶対的な分がある事例なのに、アメリカでは「日本と中国、どっちもどっち」という意識が広がる。
 深刻な数字がある。  外務省がギャラップ社と共同で数十年間継続している「アジアにおけるアメリカの最も重要なパートナーはどこか」という質問への回答だ。  1990年代半ばには、「日本が最も重要」と答えた米国有識者が8割に達したが、現在は40%に下がっている。
 そして、実に54%の人々が「中国が最も重要」と答えているのだ。
 もし米行政府内の国防関係者以外の人々に日米同盟への意識の希薄化があり、今回の軽率な方針の遠因となっているのであれば深刻だ。
 今や日本の対中、対韓外交の主戦場は米国である。対米アプローチを立て直すときだ。(おかもと ゆきお)