・国家百年の計を立て、日本を立て直す「基礎工事」が必要。教育、エネルギー、国防

・いま日本が抱える問題は 尖閣靖国、TPP、原発歴史認識であり、この連続する国難を如何に克服し、伝統ある祖国を保守するか
・最終的には、「自主防衛で強靭な国家を選択する以外に道はない」
・独立国家に外国の軍隊がなぜ居るのかという議論が殆ど為されていない。
・国家百年の計を立て、日本を立て直す「基礎工事」が必要。
・第一に人口減少社会の対処。第二がエネルギー問題。第三は教育。
・第一が教育、第二がエネルギー、第三は国防 とは宮崎氏。
・人口バランスを取るための「移民奨励」などは愚の骨頂である。
・「ソ連崩壊により冷戦が終わった。日本は赤化からなんとか逃げられた。が、今度は、その事が日本の保守派を、また油断させた」
・論壇は保守全盛となったが、文壇は未だに左翼全盛なのである。






〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
書評 『最後の勝機』(PHP研究所)     
宮崎正弘  2014.09.21
保守主義を理論化する必要あり、祖国再建の青写真を急ごう 混沌とした日本の思想界、「なんとなく保守」という現状を憂うる
<<小川栄太郎『最後の勝機』(PHP研究所)>>
  副題に「救国政権の下で、日本国民は何を考え、どう戦うべきか」とある。
 しかし「危機は勝機」とは昔から言われてきた箴言、いま日本が抱える問題は尖閣靖国、TPP、原発歴史認識であり、この連続する国難を如何に克服し、伝統ある祖国を保守するか、著者は真剣勝負にでた。
 まず著者は「保守主義」とは何かを模索する。
  評者(宮崎正弘)に言わしめれば、現代日本の保守は三つのカテゴリーに区分けができ、まことの保守、体制保守、そして生活保守である。
 これらが、しかし冷戦終結前までは、おおざっぱに「反共」という陣営にあって、左翼と戦っていた。左翼が昔日の面影もなく後退して、左翼の牙城=朝日新聞が命脈を絶とうとする今、保守は明確に分裂している。
  著者は最初に、摘菜修や中野剛志とか、「保守」の新星を批判しつつ、保守とは生活そのもののなかにあり、とした小林秀雄福田恒存江藤淳らの思考の軌跡をたどる。
 そして保守論壇の現況に言及し、こう言われる。
「国際的なネットワークやグローバリズムへの反感が、今の保守には大変強い。 幕末で言えば攘夷だ。 しかし、結局、日本が幕末を生き延びられたのは攘夷の情念を超克して、尊皇開国を決断したからです。 それから大騒ぎになりそうなTPPでもそうなのですが、どうも今の保守の議論は、攘夷を小さくした、旧来の自民党保護主義に、根性が似ている」。
  女々しい議論が横行するが、「自主防衛で強靭な国家を選択する以外に道はない」。
 そうだ。そもそも独立国家に外国の軍隊がなぜ居るのかという議論が殆ど為されていないのである。
 また評者もつねづね言ってきたことだが、論壇は保守全盛となったが、文壇は未だに左翼全盛なのである。 大江が大御所で、グローバルをいう村上春樹が偉そうに振る舞い、左翼崩れは論壇では論理が破産したが、論理を無視する世界、つまり文学では左翼がいまも圧倒的に強い。
 文芸家協会は保険の相互援助組合化しており、ペンクラブは左翼の吹きだまりとなった。
 このゆゆしき現状について小川氏はいう。
「日本の出版界は、歴史に残る文豪を一人も世に出せなくなった。大碩学もいなくなった。 幸田露伴泉鏡花谷崎潤一郎柳田国男小林秀雄白川静・・・。
  商売を度外視した世界だったからこそ、逆に長い目で見れば末永く商売になる」にもかかわらず「目先のビジネスだけに血道を上げ、出版界を枯れ果てた土壌にしたのは、グルーバリズムでもアメリカの日本収奪でもなかった」のだ。
 したがって国家百年の計を立て、日本を立て直す「基礎工事」をなすには、次の三つが最も大切だと著者は言う。

第一に人口減少社会の対処。第二がエネルギー問題。第三は教育である。
基本的に賛成である。ただし、評者は第一が教育、第二がエネルギー、第三は国防であり、人口減少は歴史教育が復活し日本人がもとのような「人間」になれば自然に増えるので楽観視している。
人口バランスを取るための「移民奨励」などは愚の骨頂である。
 それよりも、保守とは何か、日本の保守は何をしなければならないかの前提として、著者は下記の分析を展開されている。

保守主義イデオロギーではなく、日本人は古来より自然に親しみ、「自国の伝統を創造し続けられた事が、日本で保守の理論化が進まなかった根源的な要因」である。
 また戦前は「保守思想が成立する意味も余地もなく、国民一丸となって富国強兵に専念する一方、戦後初めて左翼への言論嬢の防御が必要となったときには、防戦一方となったため、理論化が進まなかった」と分析される。その通りだろう。
第三に理論家を推進できなかった理由はアカデミズムの怠慢だった。
 かくするうちに「ソ連の崩壊により冷戦が終わりました。日本は赤化からなんとか逃げられた。ところが、今度は、その事が日本の保守派を、また油断させてしまった」のである。保守主義を考える格好の問題定義が並んだ。
 まことに祖国再建への道のりは遠い。
           


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(読者の声)貴誌前号の「樋泉克夫のコラム」にあった下記の文章は印象的でした。

「(引用開始)良くも悪くも中国の近現代史を彩った女性を思いつくままに拾いあげてみると、孫文宋慶齢からはじまって蒋介石宋美齢毛沢東江青林彪の葉群、劉少奇の王光美、周恩来のトウ頴超、トウ小平の卓琳、近くでは温家宝の張培莉、薄熙来の谷開来を経て習近平の彭麗媛まで。彼ら夫婦の歩みを政治的側面から追い掛けてみるなら、やはり『外觀は格別であるけれど、實際は案外女尊男卑と云つてもいい位である』といえないこともない」(引用止め)。

飜ってフェミニズムの国、アメリカの大統領夫人、如何でしょう?(HU生、京都府
 
宮崎正弘のコメント)同文は次にこう続いています。「歴史に「もし」はありえない。だが宋慶齢が存在しなかったら、晩年の孫文があれほどまでに左傾化しただろうか。宋美齢が得意の英語を駆使してルーズベルト以下のワシントン要人を丸め込み、アメリカ社会に同情心を喚起しなかったら蒋介石の対日戦略は大いに違っていたはずだ。

江青が政治権力の亡者でなく貞淑な妻だったら、毛沢東の尻を引っ叩いて文革なんぞをおっぱじめることもなかったろう。王光美がハデに振る舞うことなく江青の嫉妬心を逆撫でしなかったら、劉少奇文革で無残な仕打ちを受けはしなかったに違いない。

張培莉が超弩級の金銭亡者でなかったなら、温家宝だって2千数百億円規模の“不正蓄財”に励みはしなかっただろう。谷開来が怪しげな英国人に“籠絡”されなかったら、今ごろ薄熙来は党中央常務委員として北京で権力を恣にしていた・・・かも」(引用止め)と。

「一将功なって万骨枯る」とは真逆の皮肉でしょうか?

さて女権が強いアメリカ、おそらく現在の趨勢がつづけば次期大統領はヒラリー・クリントンでしょうね。

戦後、男女同権とはいえ、アメリカの政治は男が引っ張った。出しゃばる夫人は90年代まで目立たない。アイクもJFK、ジョンソン、ニクソン、フォードと夫人は淑女でした。

JFK夫人があばずれぶりを発揮するのはJFK死後。それもJFKが無類の女好きで、マリリン・モンロー、オートリー・ヘップバーンらを愛人にしていたことを知って、オナシスと再婚する。

で、夫人が出しゃばり始めるのはカーターから。レーガンのときのナンシー夫人は占い師に凝って、しかしブッシュ二代は夫人は粛々と家事をこなし政治に口を挟まなかったでしょう。夫人が夫の大統領よりしゃしゃり出てきたのは、やっぱりヒラリーからではありませんか。

(読者の声)貴誌前号の書評にでてきた中国でのジョーク。その辛辣さに思わず吹き出しました。曰く。「中国人はなぜモラルが世界最低になってしまったのかね」。「そりゃそうさ、モラル最低の人間が中国のトップにいるから」座布団十枚!(JJセブン)

宮崎正弘のコメント)でも、小生なら座布団十枚は石平さんの次の言葉ですね。小生と石平さんとの最新作『2015 中国の真実』(ワック)のなかで、石平さんが述べているのは、

「中国は結局、同盟国をひとつも作れないんですよ。逆説的にいえば、我々の立場からは、習近平さんのこの1年間を高く評価しなければならないですね。中国を潰すのにそれほど頑張ってきたという業績を」

じっさいに習近平は軍に宴会禁止、贅沢禁止を言い渡してから軍の評判がたおち、徐才厚を失脚させ、軍幹部も反感が強くなり、財界は石油派と鉄道利権を奪われて逆恨み、江沢民派との対決は決定的で、ここで戦略があれば、団派を味方にするしかないのに、団派の幹部も粛正胃始めた。孤立無援の状態が、いまの習近平で、しかも周囲にブレーンがいなくなった。何処へ行った? 海外へ逃げたのです。
 
(読者の声)西村真吾先生のブログ、面白いです。その一部を紹介しますと、

朝日新聞は、活字でその宣伝をする。しかし、NHKは映像でする。女優の嘆き悲しむ涙を誘う演技でそれをする。よって、NHKは、朝日新聞よりも、より深く反日のウイルスを視聴者である国民の心に浸透させる。従って、NHKは、従軍慰安婦虚偽報道を活字で続けた朝日新聞よりも悪質で巧妙な反日宣伝機関である。

本日の「花子とアン」は、息子を戦場で失った花子の友人が、花子が戦時中にラジオで「兵隊さんがんばってください」とか言ったのを非難し、涙を流して身を振るわせて、「息子を返せ」と詰め寄るシーンを放映していた。このシーンによってNHKは、学徒動員で出征して戦死した息子は、アメリカ軍によってではなく、悪い日本によって、悪い日本軍国主義によって殺されたという被害者意識を視聴者に伝えていた。

これは、いつもながらの、戦争の悲劇を見せ付けるために使われる場面設定であるが、実に見事に、占領軍最高司令官司令部(GHQ)の「War Guilt Infomation」そのものであった。

エボラ出血熱スコットランド住民投票、そして、NHKとその近くのデング熱媒介の蚊にご注意を」冴えてますね。NHKへの抗議活動、ますまる大きく続いています。(FF子、小平)