・空海が生きたまま瞑想を続けているという信仰によって、高野山は大師信仰の山となった。

高野山は8つの峰々が取囲む東西約5キロ、南北約2キロの小盆地には、100余の塔頭(たっちゅう)寺院が立ち並ぶ。 その中心の壇上伽藍(がらん)には、宇宙の真理そのものとされる大日如来を祀(まつ)った根本大塔がそびえ立っている。
高野山は、全体がまさに立体的な曼荼羅を形成しているといわれている。空海は周囲の峰々を、密教で仏の悟りの境地を視覚的に表現した曼荼羅(まんだら)の蓮(はす)の花に見立てた。
空海が生きたまま瞑想を続けているという信仰によって、高野山は大師信仰の山となった。
・開創1200年記念大法会は、来年4月2日から5月21日まで50日間にわたって営まれる。 天空の宗教都市ではこの間、僧侶、一般を問わず、時代を超えた、壮大な祈りの光景が広がることになる。









〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
高野山奥の院は「日本人の来世への思い」詰めたタイムカプセル 
【総支局記者コラム】和歌山支局長・木村成宏  2014.10.13
 開創1200年を来年、迎える霊場高野山。聖地の奥の院には、多くの参拝客が訪れている=和歌山県高野町
 「まことに、高野山は日本国のさまざまな都鄙(とひ)のなかで、唯一ともいえる異域ではないか」
 作家、司馬遼太郎が随筆「高野山管見」で、こう記した真言密教の根本道場、高野山和歌山県高野町)は来年、弘法大師空海弘仁7(816)年に開創してから1200年を迎える。
 「異域」と評された高野山への道のりは今でも深い。 麓の街から山肌にへばりつくように走る登山電車とケーブルカーを乗り継ぎ、さらに路線バスで山内に入った。  海抜約900メートルにありながら、ふしぎなほど平坦(へいたん)な山上で、下界との空気の違いを感じるのは、標高差によるものだけではない。
 8つの峰々が取り囲む東西約5キロ、南北約2キロの小盆地には、100余りの塔頭(たっちゅう)寺院が立ち並ぶ。 その中心の壇上伽藍(がらん)には、宇宙の真理そのものとされる大日如来を祀(まつ)った根本大塔がそびえ立っている。
 空海は周囲の峰々を、密教で仏の悟りの境地を視覚的に表現した曼荼羅(まんだら)の蓮(はす)の花に見立てた。  高野山は、全体がまさに立体的な曼荼羅を形成しているといわれている。
 高野山のなかで、壇上伽藍と並ぶ二大聖地とされるのが、弘法大師御廟がある奥の院である。
 空海は承和2(835)年3月21日、入定(にゅうじょう)(宗教的な瞑想(めいそう)を行うこと)した。 空海は今も生きて、衆生(しゅじょう)を救済し続けていると、高野山では信じられている。  現在も高僧が、御廟に毎日の食事の膳や、季節の変わり目ごとに火鉢やうちわを届けるなどの世話を続けている。
 空海が生きたまま瞑想を続けているという信仰によって、高野山は大師信仰の山となった。 奥の院の入り口となる一の橋から御廟まで約2キロの参道の周辺には、空海を信仰する公家、大名から、高度経済成長期の大手企業の物故者まで、時代を超えたさまざまな人々の供養塔や墓碑が立ち並ぶ。
 高野山真言宗添田隆昭宗務総長は「千年以上にわたって時代ごとの供養塔や墓碑を蓄積してきた奥の院は、日本人の来世に対する思いの歴史を詰め込んだタイムカプセルとも言える」と話す。
 開創1200年記念大法会は、来年4月2日から5月21日まで50日間にわたって営まれる。
 天空の宗教都市ではこの間、僧侶、一般を問わず、時代を超えた、壮大な祈りの光景が広がることになる。