・北との密約を国民の前に明らかにしない外務省とメディアの無責任に対して怒り心頭に達する!

・中国は原油の対北朝鮮援助を中断し、せっかく完成した鴨緑江をまたぐ大橋を開通させない。中国に刃向かい、核実験を強行し、「挨拶にこい」と要請しても北京に行かない三代目は、あろうことか、中国の権益を代表した張成沢を処刑した。
宗主国朝貢してきた家来を訪問したこと自体、中華思想からいえばあり得ないことだ。
・外務省高官にとって「拉致問題の解決」などは二の次で、国交回復が本音、そのために要らざる妥協を繰り返すのだ。その外務省の国益無視組が誰と誰か?
・『日朝正常化の密約』の著者:青木直人は、この日朝平壌宣言の見直しがない限り、北との正常化など急ぐべきではないとしている。
・日本に接近してきた背景は。命綱だった中国からの援助が激減したばかりか、支援とセットであった政策転換への圧力が強まっている事実だった。
習近平兵糧攻めの圧力は日々加速していた。これが対日接近の最大の理由だった。
・中国からの援助は労働党内において窓口にいた張成沢国防副委員長の政治的影響力を強め、金正恩「唯一指導体制」の最大の地雷原となりつつあった。
・外務省は北が喉から手が出るほどほしかった言葉、すなわち経済援助を保証した平壌宣言の再確認と遵守を早々と約束してしまった。
・「慌てる乞食はもらいが少ない」という。なんという稚拙な対応なのか?  日本外務省のこうした動向を見て、追いつめられていた北朝鮮は再び余裕を取り戻し、こう確信したはずだ。「これなら勝てる」と。
拉致被害者家族や救援団体、そしてほとんどの国民は今も日本の北朝鮮外交を拘束する平壌宣言の中身を知らない。
日朝平壌宣言は極めて問題の多い誓約である。まず、冒頭から長々と「日本の植民地支配への謝罪」の言葉が述べられ、その延長線上に「正常化以後は日本からの経済支援」が約束され、支援をどういう方法で行うのかまでが、実にこまごまと書き込まれている。
・肝心の拉致についてはどこにもそんな言葉はなく、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」とだけしか書かれていない。これがどうも「拉致」のことを指しているようなのである。
・自国民を不当に拉致、連行され、その数は警察庁の調査でもいまでは900人近い。
・バカが考えてもこれで北に勝てるわけがない。北が最も恐れるのは日本側が平壌宣言を無効であると公式に通達することであるからだ。日本外交は自分の両手両足を自分で縛りながら海に飛び込もうとしているのである。
・なぜ北が日本を舐め続けるのか。その理由はまさしくここにある。
・ 宣言のオリジナル文書は田中均元外務省アジア太洋州局長とミスターX間で30回の交渉を通じてまとめられた。 だが協議当初、日本側の交渉者は田中ではなく、前任の槙田邦彦であった。彼が最初にとコンタクトしたことで水面下の交渉が始まった。
・槙田邦彦とは、どういう男なのか。外務省チャイナスクールの代表的人物で、李登輝台湾総統の来日を徹底的に妨害したばかりか、「たった10人の(拉致被害者)ために、北朝鮮との国交正常化が止まっていいのか」とも公言した外務官僚だ! 媚中朝外交官の典型がこの槙田だ!
・槙田は天安門事件の際のエピソードを引用することで、中国を批判するな、そんなことをすればマイナスになるぞ、と恫喝したのだ!
・北との密約を国民の前に明らかにしない外務省とメディアの無責任に対して怒り心頭に達する!


















〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
書評 「日朝正常化の密約」    
宮崎正弘  2014.11.01
■なぜ拉致問題が解決しないのに、北朝鮮への援助プロジェクト話が先行しているのか
 中国は怒りを以て北朝鮮を見限り、韓国に力点を移した背景を検証
青木直人『日朝正常化の密約』(祥伝社新書)>
  中国のネットの殴り書きで、最近もっとも目立つのは北朝鮮の独裁王朝三代目、金正恩への辛辣な批判である。
「金三ぱん」(金三代目のブタ)という渾名が定着している。 <註「ぱん」は月篇に「半」>。中朝蜜月はとっくに終わり、両国は敵対的とも言える緊張関係にある。
  中国は原油の対北朝鮮援助を中断し、せっかく完成した鴨緑江をまたぐ大橋を開通させない。なにもかも、中国に刃向かい、核実験を強行し、「挨拶にこい」と要請しても北京に行かない三代目は、あろうことか、中国の権益を代表した張成沢を処刑した。
 これで両国の政治対立は決定的となり、習近平は「われわれが望むのは北朝鮮の安定であり、あの政権の安定ではない」と露骨な発言を繰り返している。この恐喝のような発言は、親中派の軍事クーデターを示唆しているかのようだ。
 また習近平は朴権惠の北京訪問の答礼としてソウルを訪問し、韓国をほめあげた。 サムソンは西安に7000億円もの投資を決定した。
 宗主国朝貢してきた家来を訪問したこと自体、中華思想からいえばあり得ないことだ。
 かくして孤立を深める北朝鮮は、日本にすり寄って、カネを巻き上げる算段を日増しに強くしている。
 ところが。ここからが本書の独壇場、誰も言わなかった実情と背景を、それも実名をあげてルポするのである。
  拉致問題が解決すれば、日本はおそらく一兆円という援助をむしられる。 すでに、その近未来の利権を読み込んで、日本企業が密にたかる蟻のように、北朝鮮コネクションを頼り、秘密の工作費を工面し、アンタイドローンをまとめると称するロビィストまがいもまた、日本で暗躍しているのだ。
  元凶は2002年9月17日の小泉訪朝時、取り交わされた「日朝平壌宣言」である。 これをよりどころに、日本が「拉致の調査報告が遅れている」と不満を言えば、それなら「中間報告を聞きに来い」と平壌側が日本を呼びつける。
 その態度には誠意のかけらもなく、本気で調査しているとも思えない傲慢さ、その出鱈目ぶりも、この条約でもない「平壌宣言」にあるために北は強気なのである。
「日朝平常宣言」の内容を誰もが忘れているが、とんでもないことが書かれているのだ。屈辱的な案文なのである。
  外務省高官にとって「拉致問題の解決」などは二の次で、国交回復が本音、そのために要らざる妥協を繰り返すのだ。その外務省の国益無視組が誰と誰か、マスコミでも田原総一朗など、北に甘い評論家。財界でも企業名、財界人の名前を実名で列挙する。
  著者は、この日朝平壌宣言の見直しがない限り、北との正常化など急ぐべきではないとしている。
青木直人氏の「日朝正常化の密約」・誰も知らない日朝平壌宣言の亡国
●拉致と平壌宣言
2002年日本の小泉純一郎総理が北朝鮮を訪問、金正日総書記との首脳会談の結果、両者の間で交わされたのが日朝平壌宣言である。 日本人と拉致家族が最も強い関心を持っていた拉致被害者の消息については、生存者は5名(のちに帰国)、横田めぐみさんや田口八重子さんら8人は死亡あるいは入国の記録がないと北は発表した。 日本国民の大きな憤怒にもかかわらず、宣言は締結され、同時に25万トンの食糧支援と100万ドルに医療品が北朝鮮に供与された。
横田めぐみの「遺骨」
小泉総理の帰国後、拉致日本人の象徴的な存在であった横田めぐみさんの遺骨なるものを北朝鮮は送ってきた。 これらが他人の骨であったことが日本側の調査で明らかにされた。 国民の怒りと不信は倍加したが、にもかかわらず、これほどの国家的冒とくにあおうとも日本政府から宣言を破棄するという言葉はついに聞かれなかった。
●今年5月、日朝外務省局長間で日朝平壌宣言を踏まえて、拉致問題などについての合意が成立、さらに7月には解決を目指して特別調査委員会も発足した。 事態の進展に、日本側は大きな期待をもった。  政府認定被害者ばかりか、特定失踪者の新「発見」もあるのでは、と考えたからだ。 日本政府もまた調査委員会が立ち上がったことを理由に、まだなにひとつ北から具体的な回答がないにもかかわらず、早々と制裁の一部を解除。
 それをうけて、朝鮮総連議長・許宋萬は晴れやかな顔で羽田空港から平壌に飛び立った。
●なぜ北は対日政策を変更したのか
 だが、ここで立ち止まって考えるべきだった。
 それは北がなぜそれまでの頑なな姿勢を転換し、日本に接近してきたのか、を、である。 背景にあるのは命綱だった中国からの援助が激減したばかりか、支援とセットであった政策転換への圧力が強まっている事実だった。「軍師官兵衛」が毛利側を水攻めにし、城中を飢餓に追い込んだように、「軍師」習近平兵糧攻めの圧力は日々加速していたのである。これが対日接近の最大の理由だった。
  国連制裁下の北朝鮮にとって、最後の頼りは中国。だが、金正恩は中国製の「餌」に巧妙に毒が塗り込められていたことに気付いた。それが張成沢国防副委員長の粛清である。
  中国が援助に塗り込めた毒とは金日成以来の国策「チュチェ」の放棄である。 援助はする。 だから市場経済を進めろ、中国資本を入れろ、そして核実験を中止せよ。 中国はこう迫ったのである。
  中国からの援助は労働党内において窓口にいた張成沢国防副委員長の政治的影響力を強め、金正恩「唯一指導体制」の最大の地雷原となりつつあった。
  中朝両国の関係冷却化。それは「売国奴」「中国の犬」張成沢の粛清劇で決定的となった。 これがこの1年の北朝鮮の姿であった。
 だから、張処刑の直後、北の国家安全保衛部は日本にアプローチしてきたのである。 理由は日本が平壌宣言で経済支援を約束していたからである。これが事実の全てである。
  冷静に考えれば、追い込まれていたのは北の方であり、日本側ではなかったのである。
 ならば、北が体制の生き残りをかけて対日接近をしてきたことをうけて、日本側はこれを好機として、さらに交渉のハードルを上げて北を拉致解決に一挙に追い込むことだったはずである。 だが、外務省はそうはしなかった。 彼らは北が喉から手が出るほどほしかった言葉、すなわち経済援助を保証した平壌宣言の再確認と遵守を早々と約束してしまったのである。
 俗に「慌てる乞食はもらいが少ない」という。なんという稚拙な対応なのだろうか。日本外務省のこうした動向を見て、追いつめられていた北朝鮮は再び余裕を取り戻し、こう確信したはずだ。「これなら勝てる」と。
 それほど平壌宣言は北にとっておいしい。だからこそ、最後の最後まで温存すべき外交カードだったのだ。
 ではその宣言には何が書かれているのか。ここが最も重要な点なのだ。 拉致被害者家族や救援団体、そしてほとんどの国民は今も日本の北朝鮮外交を拘束する平壌宣言の中身を知らない。
 それでいて、12年前に締結され、拉致が北朝鮮の巨大な国家犯罪であることに世界が気づいた今でも、宣言は日本外交を束縛している。その内容を詳細に明らかにしたのが拙著『日朝正常化の密約』である。 私はこの取材にほぼ5年の歳月を費やした。フェイスツーフェイスで直接お話をお聞きした方も少なくはない。そのうえでこう言い切ることができる。

宣言は極めて問題の多い誓約である。まず、ここには冒頭から長々と「日本の植民地支配への謝罪」の言葉が述べられている。その延長線上に「正常化以後は日本からの経済支援」が約束され、支援をどういう方法で行うのかまでが、実にこまごまと書き込まれているのである。
 それでいて、肝心の拉致についてはどこにもそんな言葉はなく、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」とだけしか書かれていない。これがどうも「拉致」のことを指しているようなのである。自国民を不当に拉致、連行され、その数は警察庁の調査でもいまでは900人近い。
 それでいて、日本の外務省当局は拉致のらの字もない誓約を問題解決の気配すらないにも関わらず、見直しも破棄もしないというのである。
 バカが考えてもこれで北に勝てるわけがない。北が最も恐れるのは日本側が平壌宣言を無効であると公式に通達することであるからだ。日本外交は自分の両手両足を自分で縛りながら海に飛び込もうとしているのである。
 なぜ北が日本を舐め続けるのか。その理由はまさしくここにある。
  拉致の報告は「夏の終わりから秋の初め」だと当初は確認されていたはずだ。 だが秋風が吹き始めても北からは何の回答もない。だから、ついに外務省高官が平壌に足を運んで、事情を聴かせていただくというありさまなのである。
  北からこれを見れば、少なくても政府は拉致よりも正常化が念頭にあると判断して当然である。 安倍総理拉致問題の解決が最重要課題であると繰り返し口にする。その言葉にウソはないと信じたい。
 だが、それなら宣言が強調している「まず国交正常化ありき」という文言は書き改めるべきだろう。 繰り返す。 宣言にはこの12年間に明らかにされた拉致の底知れない深い闇への怒りも非難も何ら反映してはいないからである。
 拉致被害者家族の方たちは長い北との戦いの中で不誠実さや狡猾さをいやと言うほど味わってきた。
 その教訓が何の交渉の武器にもなっていない。家族会が外務省の甘さに警戒感と不信感を持つのは極めてまっとうな感覚である。

宣言のオリジナル文書は田中均元外務省アジア太洋州局長とミスターX間で30回の交渉を通じてまとめられた。 だが協議当初、日本側の交渉者は田中ではなく、前任の槙田邦彦であった。彼が最初にとコンタクトしたことで水面下の交渉が始まった。

●槙田邦彦と言う男の正体
槙田はどういう男なのか。彼は外務省チャイナスクールの代表的人物で、李登輝台湾総統の来日を徹底的に妨害したばかりか、「たった10人の(拉致被害者)ために、北朝鮮との国交正常化が止まっていいのか」とも公言した外務官僚である。媚中朝外交官の典型がこの槙田である。
 彼は退任後、中国政府との良好な関係を財産に、総合商社「丸紅」の中国ビジネスの顧問(アドバイザー)のポストに天下りしている。
 丹羽宇一郎前中国大使が伊藤忠出身なら、こちらは丸紅顧問というわけだ。
●中国政府の代理人
槙田はかって日本経済新聞紙上でこう言い切っている。
「中国政府は天安門事件時に撤退した企業よりも、残った企業のほうを大事にした」。これは2010年、中国石家荘で、日本のゼネコン・フジタの現地日本人スタッフ3名(別に中国人1名)が人民解放軍の軍事施設に対してスパイ行為を働いたとして、中国当局に逮捕された際のコメントである。
事件は在中日系企業に不安を与え、彼らは中国側の恣意的な逮捕劇に警戒感を強めた。 それに対して槙田は天安門事件の際のエピソードを引用することで、中国を批判するな、そんなことをすればマイナスになるぞ、と恫喝したのである。露骨な話である。

●次は金正恩のスポークスマン?
 いずれ日本が北と国交を樹立し、経済支援が始まれば、槙田はこう言い出すだろう。「円借款を日本政府がいくら供与しても、裁量権北朝鮮側にあるのだから、彼らを怒らせたら援助プロジェクトの受注はできませんよ。だから。もう拉致の話は言いっこなし」と。(なぜ日本の北朝鮮支援の案件に北が一方的な影響力を持つのかはこの本の中で繰り返し指摘している。そういう構図になっているのである。理由はこの本を参考にしてほしい)。
●亡国の外務省
槙田〜田中そして外務省。彼らは拉致された自国の同胞の運命には何の関心もなげに、ひたすら外交関係樹立だけを目的に、宣言をまとめ、さまざまな援助手形を乱発した。この公約は今も生きている。援助の中身がどれほどおいしいのか、詳しくは本書を参考にしてほしい。この信じがたいほどの「経済支援」には、いずれも私たち国民の血税が充てられるのだ。
●日本政府をほめたたえる秘密警察のトップ
 日朝協議第1日目。特別調査委員会の徐大河委員長は次のような挨拶を行っている。
「皆さんの我が国訪問について日本ではいろんな食い違う主張があると承知しています」「そのような中で皆さんが平壌を訪問したのは日本政府の意志を反映したものであり、日朝平壌宣言に従って、日朝政府間のストックホルム合意を履行しようとする日本政府の意思の表れとしてよい選択だと考えている」。
徐委員長は実にフランクに北側の思いを表明している。「日本ではいろんな食い違う主張」があった。それは拉致被害者家族会からの反対と危惧の声だった。
 にも拘らず、日本政府は代表団を北に派遣した。「それは(家族会の反対にもかかわらず)日本政府の意思を反映したもの」だった。
 そうした日本政府の意思とは「日朝平壌宣言に従って、日朝政府間のストックホルム合意(ここで平壌宣言が再確認されている)を履行しようとする内容である。これは北朝鮮にとって「よい選択」なのだと秘密警察のトップ徐大河は褒めて見せたのである。
  彼らの最大の不安。それは再び拉致被害者家族会の反対で政府の訪朝が頓挫し、批判と怒りの標的が日朝平壌宣言に及ぶことだったのである。 だが9月までの拉致報告を無視した北は再び日本側の足元を見た。日本の側から訪朝団がやってきたのである。宣言の破棄もない。このまま拉致でひっぱれば、日本政府が交渉のテーブルを去ることはない。関心のある方は徐委員長の発言を動画で再度見直してほしい。彼の言いたいのはこういう意味なのである。

売国なのか、それとも愛国なのか
 長い解説はこれで終わる。最後に。私は怒りの中で本書を書き上げた。北との密約を国民の前に明らかにしない外務省とメディアの無責任に対してもそれは向けられている。

まだまだ闘いは終わらない。闘いは情勢の正確な理解から始まる。この国と同胞を愛する全ての方に強く一読願うものである。