・中国と良好な関係を結ぶように努めつつ、アジア諸国と海洋同盟関係を強化することによって、中国の膨張政策を阻止することを、はからなければならない。

・アジアにおいて、中国が力を大きく増して、習近平国家主席が「5千年の中華文明の偉大な復興」「中国の夢 強軍の夢」を繰り返し唱え、露骨に往年の中華帝国を再現して、中華秩序を復活しようとするなかで、どのアジア諸国も脅えていた。
・アジアの2つの主要国であるインドとオーストラリアとの絆を強め、アジア諸国と安保協力を進めることによって、日本に対する期待感を高めたことは、高く評価される。日本は第2次大戦が終わってから、はじめてアジアを束ねる、リーダーとなった。
・アジアが直面する最大の課題は、中国が中華帝国の野望を露わにして、長い爪をアジア各地に伸ばしていることだ。中国は中華意識を振りかざして、平成25年末には尖閣諸島の上空に、傍若無人防空識別圏(AZIZ)をかぶせるかたわら、ベトナム、フィリピンなどの諸国に属する島嶼や、海洋権益を奪ったために、南シナ海の緊張がたかまった。
・安倍首相が中国に対して媚びることなく、毅然たる態度をとってきたことによる、勝利だった。
 外交に当たって、自尊がいかに大切であるか、示している。これを境にして、韓国の朴槿恵大統領は安倍首相に対して、微笑むようになった。
・中国と良好な関係を結ぶように努めつつ、アジア諸国と海洋同盟関係を強化することによって、中国の膨張政策を阻止することを、はからなければならない。
・ 日台は地理により、戦略的に一体である。
 万一、台湾が中国に呑み込まれることがあったら、日本の安全を保てない。 日台は一蓮托生であるから、日本として台湾を陰に、日向に支援するべきである。
















〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
外交は毅然たる態度と“自尊”で    
加荑英明  2015.01.14
 安倍内閣が登場してから、2年たたないうちに、日本は久しぶりに全世界が認めるリーダーを、持つようになった。 私はワシントンに通っているが、オバマ政権を含めて、アメリカの対日観が大きく変わった。この1年で、安倍首相の存在感が大きなものとなったことを、アメリカも認めざるをえないようになっている。
 アメリカは安倍内閣が平成24(2012)年に成立してから、1年あまりは安倍首相を「ナショナリスト」「反動(リアクショナリー)」「撥ねあがり」として嫌って、抑えつけようとしてきた。 安倍首相が平成25年末に靖国神社を参拝すると、国務省の指示により、駐日アメリカ大使館報道官が「アメリカ政府が失望した」という、非常識なコメントを発表した。
 オバマ大統領の国内外のリーダーシップが揺らぐなかで、安倍首相が積極的に「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を進めて、2年間に50ヶ国を訪問して、行く先ごとに高く評価されると、アメリカも安倍首相がドイツのメルケル首相、イギリスのキャメロン首相、フランスのオランド大統領と並ぶ、“世界のリーダー”の1人として、認めるようになった。
 アジアにおいて、中国が力を大きく増して、習近平国家主席が「5千年の中華文明の偉大な復興」「中国の夢 強軍の夢」を繰り返し唱え、露骨に往年の中華帝国を再現して、中華秩序を復活しようとするなかで、どのアジア諸国も脅えていた。
  安倍首相は「積極的平和主義」と「法の支配」を掲げて、日本がアジア諸国の先頭に立つ決意を示すことによって、アジア諸国をまとめてきた。
 アジア諸国との安保協力は、防衛情報の交換から、巡視船、防衛技術の提供、共同訓練までわたっている。画期的なことだ。
 なかでも、アジアの2つの主要国であるインドとオーストラリアとの絆を強め、アジア諸国と安保協力を進めることによって、日本に対する期待感を高めたことは、高く評価される。日本は第2次大戦が終わってから、はじめてアジアを束ねる、リーダーとなった。
 いまや安倍首相は“日本の顔”だけでなく、“アジアの顔”となっている。
  安保外交によって、日米関係とアジアの様相が、何と大きく変わるようになったことか。
 安倍首相はアジアをはじめ50ヶ国を訪問し、行く先々で歓迎され、高い評価をえた。 ところが、この事実は日本国民にとって、きわめて重要な意味をもっているのにもかかわらず、日本のマスコミが報道することが、まったくなかった。
 アジアが直面する最大の課題は、中国が中華帝国の野望を露わにして、長い爪をアジア各地に伸ばしていることだ。中国は中華意識を振りかざして、平成25年末には尖閣諸島の上空に、傍若無人防空識別圏(AZIZ)をかぶせるかたわら、ベトナム、フィリピンなどの諸国に属する島嶼や、海洋権益を奪ったために、南シナ海の緊張がたかまった。
  中国は平成25年まで攻勢に立っていたのにもかかわらず、アジア諸国が中国に対して結束し、アメリカが中国に対して警戒心を強めるようになったために、守勢に転じるようになった。
  昨年11月に、北京でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が、中国によって国家イベントとして盛大に催された機会に、日中サミットが実現した。 それまで中国は、日本が靖国神社への首相参拝を行わないことを約束し、尖閣諸島をめぐって領土権紛争が存在することを認めないかぎり、首脳会談に応じないという、頑な態度をとってきたのにもかかわらず、中国が孤立化することを恐れて、安倍首相と25分間という短い時間であったが、会談に応じざるをえなかった。
 これは、安倍首相が中国に対して媚びることなく、毅然たる態度をとってきたことによる、勝利だった。
 外交に当たって、自尊がいかに大切であるか、示している。これを境にして、韓国の朴槿恵大統領は安倍首相に対して、微笑むようになった。
  習主席はこの時、オバマ大統領と10時間にわたって会談し、中米関係を「新型大国関係」とすることを提案したが、オバマ大統領は一顧もしなかった。
 もっともアメリカも、日本も、かつて冷戦時代はソ連を明白な敵として位置づけることができたが、中国と経済的に深い相互依存関係を結んでいるために、中国を敵とすることができない。
 ソ連とのあいだに、このような関係は存在しなかった。
 そこで、中国と良好な関係を結ぶように努めつつ、アジア諸国と海洋同盟関係を強化することによって、中国の膨張政策を阻止することを、はからなければならない。
  安倍首相は第1次内閣の時から、中国に対して「戦略的互恵関係」を結ぶように呼び掛け、11月の日中首脳会談においても強調した。日中関係については、この1語に集約されよう。
 アメリカはアフガニスタンイラク戦争による深い傷を癒すために、内に籠る周期に入っており、2017年に新政権が発足しても、当分は内向きとなろう。
  安倍政権としては、集団的自衛権の行使を柔軟に解釈して、日米同盟の深化をはかりつつ、アジア諸国との海洋同盟関係をいっそう強めることに努めるべきである。
  中国の太平洋への進出を阻む海洋同盟の鎖に、致命的に脆い点がある。台湾だ。アメリカは良好な米中関係を維持するために、このところワシントンで台湾へ関心が向けられることが、ほとんどない。
  日台は地理により、戦略的に一体である。
 万一、台湾が中国に呑み込まれることがあったら、日本の安全を保てない。
 日台は一蓮托生であるから、日本として台湾を陰に、日向に支援するべきである。