・韓国政府は 外交使節に対する警護には万全を期すべきだ!

・韓国政府は相当ショックを受けているのではないか。 外交使節に対する警護には万全を期してほしい。重大な教訓をふまえてしっかりやっていただきたい。
・リッパート氏を襲撃した金基宗(キム・ギジョン)容疑者は反日、反米集会の常連で、警察当局ではいわくつきの「要注意人物」だった。
・テロにつながりかねない過激なデモに朴政権が“寛容”であり続ける以上、テロの再発は阻止できまい。いかに背伸びしようが「安全性」では日本に絶対に追いつけないのである。










〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
大失態「米大使襲撃」誰も責任とらぬ韓国   
古沢襄   2015.05.17
■日本では考えられない“弛緩統治”…韓国こそ日本の歴史に学べ
  ソウルで3月5日早朝、リッパード駐韓米大使が「愛国者」を自称する暴漢に顔を切られるテロ事件が発生した。
 リッパード氏は80針を縫う重傷を負い、一歩間違えば動脈切断で生命の危機があったとされる大事件だった。
  朴槿恵(パク・クネ)政権の同盟国要人に対する警備体制の緩さが招いたものだが、いまのところ警備担当の責任者が処分されたとは寡聞にして聞かない。  朴大統領は身内に甘いのか、どうも事件の重大さを十分に認識していないようだ。
 リッパート大使襲撃事件発生の翌6日、日本の外務省幹部はこう語気を強めた。
「外交団の長に対する暴力行為でテロ行為だ。そういうテロ行為を防ぐだけの警備体制をとっていなかった韓国側の手抜かりは弁解の余地はない。
 しかも前歴のある犯人だ。今、韓国政府は相当ショックを受けているのではないか。 外交使節に対する警護には万全を期してほしい。重大な教訓をふまえてしっかりやっていただきたい」
  今回の朴政権の失態は、その言葉に集約されている。朴大統領にとっては大嫌いな日本の高官からの頂門の一針にさぞ悔しい思いをしているだろう。
 ソウルからの報道によれば、事件を受け韓国大統領府の金寛鎮(キム・グアンジン)国家安全保障室長が5日、国家安保会議を緊急開催し、今後の対策と対応を協議した。
  李完九(イ・ワング)首相は関係当局に対し、米国など各国の大使館・施設の警備と要人の警護に万全を期すよう指示した。中東歴訪中だった朴大統領はオバマ米大統領にお見舞いのメッセージを送り、リッパート氏にも謝罪の電話を入れたという。
  当然の対応だが、問題はなぜ、少なくとも「先進国」を名乗る国ではあり得ない、過激なテロを許してしまったかということだ。
 リッパート氏を襲撃した金基宗(キム・ギジョン)容疑者は反日、反米集会の常連で、警察当局ではいわくつきの「要注意人物」だった。
  2010(平成22)年、講演中だった日本の重家俊範駐韓大使(当時)にコンクリート片を投げつけたほか、大統領府前で焼身自殺を図ったこともある。
  05(10)年に島根県が「竹島の日」の条例を制定した際、本籍を独島(竹島の韓国での呼称)に移した。韓国メディアによれば、前科6犯だという。
朴政権はこんな過激な活動家を事実上、野放し状態にしていたのである
 韓国警察の調べに対し、金容疑者はリッパート氏を「米国を代表する象徴的人物だから狙った」と供述しているという。
 また、米韓合同軍事演習のために南北関係が悪化し、2月の旧正月に合わせた南北離散家族再会事業が実現できなくなったのは米国に責任があると考えたため犯行を思い立ったと説明。
 さらに「韓国には金日成(主席)に匹敵する指導者はいない」「韓国は米国に隷属した半植民地社会だ」と主張し、“親北活動家”の素性をにじませているという。
 そうした「供述」を現段階では額面通りに受け止めるわけにはいかない。「北の仕業」というシナリオにするための韓国当局による情報操作の可能性もゼロではないからだ。
  日本でも同盟国である米国の大使が襲撃された事件があった。50年余前の昭和39年3月の白昼ことだ。  当時のライシャワー駐日大使が東京・赤坂の米国大使館前で、暴漢に刃渡り16センチの刃物で太ももを刺され、重傷を負った。犯人は統合失調症患者だった。
 ライシャワー氏は約3カ月入院した後、大使職を続けた。しかし治療の際の輸血がもとで持病の肝炎が悪化し、平成2年に79歳で息を引き取った。
 ライシャワー大使襲撃事件に政治性は全くなかったが、発生当時の池田勇人首相は速やかに早川崇国家公安委員長自治相を更迭し、国を挙げて米国への謝罪を表明した。
  同盟国の要人や大使館の警備の不備に対する責任を痛感しての措置だった。 早川氏は辞表提出に抵抗したが、池田氏の毅然(きぜん)とした姿勢に抗しきれなかった。警察庁関係者はこう言う。
「いま、東京で米大使に対するテロ事件が起きたら、国家公安委員長だけでなく、警視総監、警視庁警備部長、警察庁警備局長の更迭は不可避だ」
  翻って今回の韓国の対応はどうか。なぜか朴政権が警備担当の閣僚クラスや高官を更迭する気配ない。
  「捜査の結果を待って」ということかもしれないが、仮にそうであれ悠長すぎるだろう。そもそも、いとも容易に「政治テロ」を許してしまうほど警備体制が弛緩(しかん)していた事実は重いのである。
  朴大統領は政権に対する責任論に、ほお被り決めこんでいるようだが、韓国メディアも「日本も同じだ」と“宣伝”することに憂き身をやつしているかの如くだ。
 たとえば有力紙「朝鮮日報(日本語版)」は3月6日、「米国大使の受難の歴史/2012年にはリビアで米国大使が武装勢力に襲われ死亡/日本でも1964年に負傷」という見出しでこう報じた。
  「リッパート駐韓米国大使襲撃事件をきっかけに、これまで米国大使が各国で襲われた事件についての関心が高まっている。米国大使に対する攻撃は、主に中東や北アフリカなど反米感情の強い国々で主に起こってきた。しかし米国の友好国であっても決して安全なわけではない」
 その上で、ライシャワー大使襲撃事件に言及し「白昼に首都東京の米大使館前で起こった衝撃的な事件だった」と書き、ことさら韓国だけのことではないと強調してみせたのである。
 いま韓国に言われる筋合いはない。
 ライシャワー大使襲撃事件の際に日本の池田政権はしっかり事後処理を行ったし、その後50年余にわたり同盟国の米国のみならず外国の要人に対するテロ行為を許したことはないのである。
  次元は違うが昨年11月には朴大統領の名誉を毀損(きそん)したとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対する公判当日、裁判所敷地内で前支局長の乗った車が右翼団体の構成員らに囲まれ、卵を投げつけられる事件も起きている。
 まひする韓国の警備事情を如実に物語る示す事例であり、日本ではありえないことだ。
 リッパート氏を襲った金容疑者も「政治団体代表」を名乗っていた。近年、反日や反米を背景に“民族”を前面に出した主張や活動に対し、当局が厳しく取り締まる姿勢に欠ける韓国のことだ。
 テロにつながりかねない過激なデモに朴政権が“寛容”であり続ける以上、テロの再発は阻止できまい。いかに背伸びしようが「安全性」では日本に絶対に追いつけないのである。
  市民団体による日本大使館前の「慰安婦少女像」の設置は不法にもかかわらず黙認されている国である。そもそも「法治国家」と胸を張って言えないのだ。
  不幸中の幸いでリッパート氏は10日、入院先の病院から退院し公務復帰を果たしたが、オバマ政権のアジア外交の大立者を痛め傷つけた代償は韓国にとって非常に大きいものとなるだろう。
 リッパート氏といえば、オバマ氏の上院議員時代に外交顧問を務め、2009年の政権発足後は国家安全保障会議(NSC)首席補佐官、国防次官補(アジア・太平洋安全保障問題担当)、国防長官首席補佐官を歴任した。
  北東アジアでの安全保障問題に精通し、日本政府の集団的自衛権の行使容認も歓迎してきた。
  昨年10月に駐韓大使に任命された。オバマ氏と直結し、キャロライン・ケネディ駐日大使、元上院議員のボーカス駐中国大使と並ぶアジア外交のキーマンの一人である。
  自らへの襲撃事件についてリッパート氏は8日、「自分だけでなく米国への攻撃だ」と語ったが、その言葉にはオバマ政権の韓国への強い怒りがにじみ出ている。
  外交筋によれば、事件を受けて朴政権はオバマ政権の対韓戦略が変化しないか注視しているという。
  朴大統領は3月9日、リッパート氏を病院に見舞った際に「私も胸が痛い」とか「私も似たような経験をした」などと語ったというが、のんきに人ごとのような言葉を口にしている場合ではない。
  米大使に対するテロを惹起(じゃっき)させたことへの重大性をしっかり認識し、真っ先に警備担当の閣僚クラスを更迭するなり、厳しく処分するなりして“誠意”を示さないと、米国は納得しないだろう。
  折しも戦後70年の節目である。朴大統領は相も変わらず日本に対し、政治的にも金銭的にも決着しているはずの慰安婦問題を執拗(しつよう)に持ち出すなど歴史問題で日本に言いがかりをつけ、安倍晋三首相との首脳会談にも背を向け続けている。
  朴政権はそんな不毛なことに血道を上げるのではなく、今こそ、50年余も前の米大使襲撃事件で素早くまっとうに対応し、事件を教訓に外国要人へのテロを一切封じ込めてきた日本の「歴史」を見習った方がいい。(3月26日産経・掲載)(政治部編集委員 高木桂一)