・「時代の変化から目を背け、立ち止まるのはもうやめよう!」

・「厳しい現実から目を背けることはできない。日本人の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う」
・法案の主眼は、この「切れ目」をふさぎ、あらゆる事態に直面しても国家と国民を守れる防衛体制を構築することだ。
・日本に迫る中国と北朝鮮の脅威に対し、抑止力を高めるには、集団的自衛権行使の限定的な容認をはじめ自衛隊の役割を拡大し、米国との同盟関係をより強固にすることが唯一の解だ。
・国民に訴えるべきことは、関連法案の意義のはずだ。日本人の命と平和な暮らしを守るための法制に反対する国民がどれほどいるだろうか?
・「時代の変化から目を背け、立ち止まるのはもうやめよう!」





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2015.6.18 07:00更新  【安倍政権考】
東アジア情勢下で安保法制整備は待ったなし 現実を直視し「リスク」と「歯止め」の国会論戦にピリオドを
 
 集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案をめぐる国会審議は、この国をいかにして守り抜くかという根本的な視点を欠いたまま、堂々巡りが展開されている。安倍晋三首相が先の訪米で公約したように今夏までに成立させたい政府・与党に、民主党をはじめ野党は廃案に追い込もうとすることだけを狙った論戦を仕掛けているからだ。
堂々めぐりの議論
 「厳しい現実から目を背けることはできない。日本人の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う」
 安倍首相は5月14日の臨時閣議で関連法案を決定した後、記者会見に臨み、法制化の必要性を強調した。確かに日本の防衛法制にはいくつもの「切れ目」が存在する。関連法案の主眼は、この「切れ目」をふさぎ、あらゆる事態に直面しても国家と国民を守れる防衛体制を構築することだ。
 軍事的膨張を続ける中国と北朝鮮が東アジア情勢を緊迫化させ、地球規模で国際テロや紛争が起きるリスクが高まっていることなどが背景にある。そうした日本に迫る脅威に対し、抑止力を高めるには、集団的自衛権行使の限定的な容認をはじめ自衛隊の役割を拡大し、米国との同盟関係をより強固にすることが唯一の解だ。
 しかし、関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会では、自衛隊の活動拡大による「リスク」や、自衛隊の手足を縛る「歯止め」ばかりが焦点になり、堂々めぐりになっている。
 そして、衆院憲法審査会で自民党推薦を含めた3人の参考人全員が関連法案を「憲法違反」と発言したことで、野党側は昨年7月に政府が閣議決定した憲法解釈見直しの問題まで蒸し返そうとしている。
 もちろん、自衛隊のリスクを極小化することは政治に課せられた責任だ。自衛隊を派遣することで得られる国益と、自衛隊が現地で背負わなくてはならないリスクとを慎重に検討し、派遣すべき明確な理由がなければならない。
 一部の野党が問題視する「歯止め」については、それが強すぎれば、自衛隊の行動を過度に制限するばかりか、力による現状変更を試みようとする相手を利することにならないだろうか。
与党の責任とは
 野党の追及に与党は腰が引けていないだろうか。野党が批判する「自衛隊のリスク」や「歯止め」に対する懸念を払拭することに執着しすぎているように見える。与党が国民に訴えるべきことは、関連法案の意義のはずだ。日本人の命と平和な暮らしを守るための法制に反対する国民がどれほどいるだろうか。
 関連法案が成立すれば、徐々にではあるが、自衛隊は同盟国の米軍に加え、オーストラリア、インドといった友好国とも、集団的自衛権を行使すべき事態を見据えた共同訓練を行うことができる。急速に悪化するアジアの情勢を踏まえれば、この地域の抑止力を高めるために、自衛隊と友好国軍の戦術技量向上は急務となっている。力による現状変更の試みを止めるため、関連法案の成立は一刻の猶予もない。そうしたことを堂々と訴えるべきだ。
 首相の祖父、岸信介元首相は1960(昭和35)年、日米同盟をより対等に近づける日米安全保障条約改定を成し遂げた。当時、安保改定反対のすさまじいデモが起きた。アイゼンハワー米大統領来日を断念せざるを得ず、岸氏は退陣を決断した。これ以降、自民党は安全保障をタブー視するかのような後遺症を引きずっている。
 安倍首相が記者会見で「時代の変化から目を背け、立ち止まるのはもうやめよう」と呼びかけたように、欠陥だらけの防衛法制を放置することはもはや許されない。これまで安全保障に臆病だった日本が本気になった、と思わせることも抑止力の一つだ。与党にはその責任が課されている。(峯匡孝)