「カードを持っていきたくなければ、持たなくてもいい。その分だけ減税はない」と本当に言ったのか!

麻生太郎財務相は「カードを持っていきたくなければ、持たなくてもいい。その分だけ減税はない」と述べた。
・還付の申請が少ないに越したことはないという発想が露骨だ。
・複数の税率が混在すれば、取引ごとに税額を記すインボイス(税額票)が必要となり、事業者の負担が重くなると政府・自民党は主張してきた。
インボイス(税額票)を導入することが先決だ!
・急ぐべきは、還付方式ではなく、軽減税率の具体策である。









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2015.9.12 05:02更新  【主張】
消費税の「還付」 負担も手間も強いるのか

 痛税感の緩和につながらず、何よりも仕組みが煩雑で国民に手間を押しつけるばかりである。
 平成29年4月に消費税率を10%に引き上げる際の負担軽減策として、酒を除く飲食料品を対象に増税分の一部を還付するとした財務省案は、あまりに問題が多く、導入は現実的でない。
 とりわけ、税と社会保障の共通番号(マイナンバー)カードを買い物時に持ち歩き、パソコンなどで自ら還付を受ける手続きをしなければならないことが問題だ。納税者は増税負担だけでなく事務手続きまで強いられる。
 食料品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入こそが本筋である。それが増税の負担軽減に最も有効だ。
 財務省から還付案の提示を受けた自民、公明両党の税制協議会は、この案をたたき台に議論を進め、年末までに具体的な制度設計をまとめる予定という。
 重大な懸念は、還付方式では消費への影響を抑える効果が見込めないことだ。購入時には10%分の消費税を支払う必要がある。軽減税率が設けられないことで消費意欲が大きく減退しかねない。
 マイナンバーカード利用もどれだけ真剣に考えたのか疑問だ。
 買い物時に店頭の読み取り端末にカードをかざし、購入データを記録する。後日、増税分の還付を受ける作業が必要だが、高齢者を含めた国民に複雑な手続きを求めるのは現実味に欠ける。そもそも増税までの限られた時間でカードを普及させ、すべての食料品店などに端末を設置できるのか。
 税や社会保障などの個人情報が記録されるカードを日常的に持ち歩くことにも不安が残る。
 麻生太郎財務相は「カードを持っていきたくなければ、持たなくてもいい。その分だけ減税はない」と述べた。還付の申請が少ないに越したことはないという発想が露骨だ。
 軽減税率に慎重な政府・自民党は、複数の税率が混在すれば、取引ごとに税額を記すインボイス(税額票)が必要となり、事業者の負担が重くなるとしてきた。
 だが、還付方式では国民全体の手間が増える。それなら欧州などと同様にインボイスを採用し、軽減税率を導入した方が国民負担も抑制できる。与党が急ぐべきは、還付方式ではなく、軽減税率の具体策である。