・有効活用するためには、買い取り制度に対する不断の見直しが必要だ。

太陽光発電制度に伴い、家庭や企業が支払う電気代に上乗せされる賦課金は、今年度だけで1兆3千億円にのぼる。
・「早い者勝ち」を許していては、利用者の負担軽減にはつながらない。
・すでに政府から認定を受けた太陽光の発電設備は、昨年8月時点で8千万キロワットを突破。政府が計画する2030年度時点の6400万キロワットを大幅に上回る水準だ。
・これらすべての設備が実際に発電を始めれば、買い取り費用は4兆円を超える恐れがある。
・買取費用4兆円を超えては、安全性を確認した原発が再稼働しても、電気代は高止まりしたままで値下げは期待できない。
・有効活用するためには、買い取り制度に対する不断の見直しが必要だ。










〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2016.1.10 05:02更新   【主張】
太陽光発電 早い者勝ちを放置するな

 太陽光など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がようやく見直されることになった。
 この制度に伴い、家庭や企業が支払う電気代に上乗せされる賦課金は、今年度だけで1兆3千億円にのぼる。
 新規参入が集中した太陽光は、発電コストの安い事業者から優先的に買い取る入札を導入するという。事業者の競争を通じて買い取り価格を引き下げる取り組みは一歩前進といえるが、国民負担の抑制にはまだ不十分だ。
 とくに問題なのは、見直しが新たな契約分に限られていることだ。高い買い取り価格が今後も続く既存契約の見直しにまで踏み込むべきである。「早い者勝ち」を許していては、利用者の負担軽減にはつながらない。
 現行では要件を満たす買い取り申請は、原則としてすべて認定している。見直し案では、大規模な太陽光発電所には入札を実施し、安い価格を提示した事業者から電力会社が買い取るようにする。
 住宅での太陽光や風力、地熱などの再生エネは毎年、一定比率ごとに価格を引き下げるという。関連法を今国会で改正し、再来年度に実施する。太陽光偏重を是正し、バランスの取れた再生エネ普及を図るのは妥当といえる。
 しかし、すでに政府から認定を受けた太陽光の発電設備は、昨年8月時点で8千万キロワットを突破している。これは政府が計画する2030年度時点の6400万キロワットを大幅に上回る水準だ。
 これらすべての設備が実際に発電を始めれば、買い取り費用は4兆円を超える恐れがある。これでは安全性を確認した原発が再稼働しても、電気代は高止まりしたままで値下げは期待できない。

 新たな認定の要件を厳格化するだけではなく、すでに買い取りを始めている既存契約の見直しも躊躇(ちゅうちょ)すべきではあるまい。
 一定規模以上の太陽光発電には、年限を区切って新規契約と同じような入札を実施し、買い取り価格の引き下げを促す仕組みなども考えたい。
 環境負荷が小さな再生エネをめぐっては、発電コストが高く、供給安定性にも欠けるが、貴重な国産電源としての役割に加え、地域の産業振興につなげたいとの期待もある。有効活用するためには、買い取り制度に対する不断の見直しが必要だ。