・「後進性を免れない慣行がさらに根本的な問題。安モノ・ぼったくり・不親切慣行は相変わらず」

・2015年の訪韓外国人観光客は1323万1600人で前年(1420万1500人)に比べ6・8%減った。
・日本が好調だった背景には、円安で買い物の魅力が増したことに加え、ビザ発給要件や免税対象を緩和するなど訪日客誘致に積極的に動いたことなどがある。
・「従来のような安値の観光ツアーやショッピング主体のツアーではなく、外国人客が魅力を感じる観光商品を開発し、長期戦略を立てるべきだ」「そうしなければ、韓国観光が奈落の底に転落しかねない」
・「後進性を免れない慣行がさらに根本的な問題。安モノ・ぼったくり・不親切慣行は相変わらず」
・アリババの顧客情報を活用し、オーダーメード型の旅行商品を推薦するビッグデータマーケティングなどでハナツアーを支援していく」








〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2016.2.8 11:00更新    【経済裏読み】
「韓国には行きたくない!」中国人観光客の書き込みやまず 「安モノ・ぼったくり・不親切」
ソウルの繁華街、南大門市場。訪れる中国人観光客は増えるか

 今年は中国における「韓国観光の年」だという。韓国の朴槿恵大統領は1月に北京で開かれた開幕式に寄せた映像メッセージで「中国国民の皆様を韓国に招くことになりうれしく思う」と述べた。ただ、昨年の訪韓外国人観光客は約1323万人で、前年より6・8%減った。上客の中国人も2・3%減り、600万人を割り込んだ。韓国政府は相変わらず中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大のせいにする。
 一方でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)には「ホテルだと思っていたが地方のモテルだった」など、中国人観光客による不満の書き込みも目立つ。
訪日中国人観光客100%増の衝撃:
 韓国にとって何よりも悔しいのは、昨年の外国人観光客の数で7年ぶりに日本に負けたことだろう。朝鮮日報(電子版)など韓国メディアによると、2015年の訪韓外国人観光客は1323万1600人で前年(1420万1500人)に比べ6・8%減った(韓国観光公社まとめ)。外国人客が減少したのは03年以来、12年ぶりという。
 一方、日本は昨年、外国人客の誘致で過去最高を記録した。政府観光局によると、訪日客数は1973万7000人で、過去最高だった前年(1341万3000人)に比べ47・1%増加。
13年に初めて1000万人を突破し、わずか2年で倍増したのである。
 さらに日本にとっても、韓国にとっても上客である中国人観光客が驚きの動きを見せた。訪韓客が598万4170人で前年に比べ2・3%減ったのに対し、訪日客は499万3800人と数でこそ下回ったが、前年比では107・3%増を記録。
 実に前年の2倍以上の中国人が日本を訪れたことになる。
 すでに各方面で言い尽くされてはいるが、日本が好調だった背景には、円安で買い物の魅力が増したことに加え、日本政府がビザ発給要件や免税対象を緩和するなど訪日客誘致に積極的に動いたことなどがある。
 その一方で、韓国政府は訪韓客不調の主因をMERS感染の拡大で片付けようとする。韓国経済新聞(電子版)は「中国人観光客、日本だけに行って」と題したコラムで、「MERS事態で旅行先に行き詰まった中国人観光客は『隣国』である日本に集まっていった!」と自虐的に書いた。

奈落の底に転落しかねない韓国の観光産業:
 朴大統領と中国の習近平国家主席は14年に開催された首脳会談で15年を「中国観光の年」、16年を「韓国観光の年」とすることで合意していた。
 聯合ニュース(電子版)によれば、朴氏は1月20日、北京市内のホテルで開かれた「2016年韓国観光の年」開幕式に映像メッセージを寄せた。
 それによれば朴氏は「今年、われわれの友情を確かめ、心を交わすため、中国国民の皆様を韓国に招くことになりうれしく思う」とした上で、「数千年にわたり文化交流し、歴史を共有してきた両国の国民が『韓国観光の年』を機により親しい隣人になり、近い将来に2000万人交流時代が来ることを期待する」と述べた。
 さらに韓国経済新聞によれば、韓国政府はこの開幕式の場で、「800万人中国人観光客の訪韓」という目標が掲げたという。
 昨年の訪韓客が600万人を割り込んだばかりなのになお強気である。
ただ、こうした政府の“楽観的”な目算に対し、韓国メディアの慎重姿勢は際立つ。
 元韓国観光学会長のキム・ギョンスク江陵原州大教授(観光経営学)は朝鮮日報の取材に対し、「従来のような安値の観光ツアーやショッピング主体のツアーではなく、外国人客が魅力を感じる観光商品を開発し、長期戦略を立てるべきだ」と指摘。「そうしなければ、韓国観光が奈落の底に転落しかねない」と警鐘さえ鳴らしている。

アリババは助け舟になるか?:
 この国の観光産業の危機をめぐっては、韓国メディアが再三にわたり根本的な問題が背景にあるとしてきた。「後進性を免れない慣行がさらに根本的な問題。安モノ・ぼったくり・不親切慣行は相変わらず」(朝鮮日報)などである。
 韓国経済新聞はコラムで中国人観光客がSNSに残した書き込みを紹介。「ホテルだと思っていたが地方のモテルだった」「観光用の飲食店ではなく運転手用の食堂だった」…。まさしく、安モノ、ぼったくり、不親切慣行である。
 中国人客を呼び込むためには、キム・ギョンスク氏が指摘するように、安値の観光ツアーやショッピング主体のツアーからの脱却が急がれる。
 そんな中、中国の電子商取引(EC)最大手、アリババ(阿里巴巴)グループが助け舟を出した。
 朝鮮日報によれば、傘下のインターネット旅行会社、アリトリップ(阿里旅行)が、韓国旅行業界最大手のハナツアーと提携する形で中国人客に韓国の観光商品を販売するというのだ。
ソウルで行われた記者懇談会の場でアリトリップの段冬東副社長は、中国人客の旅行先が韓国から日本にシフトしているのを受け、「アリババの顧客情報を活用し、オーダーメード型の旅行商品を推薦するビッグデータマーケティングなどでハナツアーを支援していく」と説明したという。
 にわかにタッグを組んだ中国と韓国。この「対日包囲網」の行く末が注目される。