民主党は 年金に関しても公約した2009年の衆院選マニフェストをも外そうとしている。

・三条 健です。
民主党は 2009年の衆院選マニフェスト政権公約)で示した「最低保障年金の財源は消費税」「保障額は月7万円」などの具体案を抜け落としている。
これは「年金改革に必要」として消費税率アップを打ち出し、自民党増税の「共犯」に仕立てようという腹づもりだろうか。
・今の制度は「社会保険方式」といい税と保険料半々でまかなう制度だが、民主党は 基礎年金部分は全額税を充てる「税方式」を打ち出していた。
・7原則と同時に「社会保障・税の番号制度」が発表された。 民主党は「社会保障・税の番号制度」に賛成だったのか。
・2009年の衆院選マニフェスト政権公約)で示した「最低保障年金の財源は消費税」「保障額は月7万円」は、軌道修正というか、修正どころでは無く、違う道を走ろうとしているとしか想定しかねる。税方式で実施しようとすれば20%近い消費税アップが必要だからだ!
民主党は 年金に関しても公約した2009年の衆院選マニフェストを外そうとしている。



〜〜〜メディア報道の一部<参考>〜〜〜

年金改革7原則 消えた「税方式」 民主案封じ野党誘う
 ◇超党派議論、消費増税「共犯」狙い
 政府が29日公表した年金改革の7原則からは、民主党が昨年の衆院選マニフェスト政権公約)で示した「最低保障年金の財源は消費税」「保障額は月7万円」などの具体案が抜け落ちている。抽象的な表現にとどめた背景には、野党を年金改革の議論に誘い込もうという民主党の思惑がある。「年金改革に必要」として消費税率アップを打ち出し、自民党増税の「共犯」に仕立てようという腹だが、奏功する保証はない。【鈴木直】

 29日朝の「新年金制度に関する検討会」。出席者は関係閣僚ら政府側の面々ばかりなのに、菅直人首相は「党派を超えた国民的議論に基づき、改革を進めるのが望ましい」とあいさつし、自民党など野党側に協議への参加を呼び掛けた。

 民主党が主張してきた改革案は、納めた保険料に応じて受給する所得比例年金を基本としつつ、消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、すべての人に月額7万円以上の年金を給付するというものだ。国民年金(基礎年金)の保険料未納率が4割近い点を踏まえ、基礎年金部分は全額税を充てる「税方式」にするとしている。

 この点が、税と保険料半々でまかなう今の制度「社会保険方式」と最も違う。ところが、7原則は「最低限の保障がある」とするだけで金額は示さず、税方式とするか否かにも触れていない。

 今回、首相が民主党案を封じたのは、税方式に批判的な議員が多い自民党にも議論に加わってもらう意向があるためだ。平岡秀夫国家戦略室長は「野党に呼び掛ける際、困難が生じるので明示的に書いていない」とあけすけだが、菅政権は「年金改革には増税が必要」との認識を野党とも共有し、消費税増税を決める場に自民党を引き込むことを狙う。

 08年11月、旧自公政権下の社会保障国民会議は基礎年金改革でどの程度の増税が必要かを試算した。高齢化のピークを迎える2025年度、税方式なら消費税換算で最大8%程度引き上げる必要があり、社会保険方式でも最低保障機能を強化するなら1%弱のアップとした。医療、介護、少子化対策の充実に要るとした4%分も含めると、消費税は税方式なら12%増の17%に、社会保険方式でも5%増の10%とはじいた。

 この試算には、与党だった自民党が「税方式なら相当の増税が必要」と示すことで、民主党を税率アップの議論に巻き込む意図もあった。現に自民党は05年4月、民主党に呼び掛けて年金改革の超党派協議会を発足させた。同年9月の衆院選への思惑から民主党は離脱したが、政権交代を経て、今度は自ら自民党に秋波を送る。

 それでも民主党の思い通り運ぶとは限らない。自民党側には「いずれ与野党で議論せざるを得ない」(幹部)との本音はあるものの、参院選を前に融和路線には乗れずにいる。

 民主党も腰は定まらない。菅首相が「自民党の消費税10%案を参考にする」と口にした途端、内閣支持率は急落し、増税に否定的な小沢一郎前幹事長の巻き返しが始まった。

 政府案として税目や給付額を示せば、政府の責任で必要な増税幅の試算を迫られる。7原則からは衆院選マニフェストにあった最低保障年金の給付額ばかりか、「消費税」の文字も消えた。

 ◇実現に高いハードル
 今の年金制度は、自営業者は国民年金、会社員は厚生年金、公務員らは共済年金と職業によって三つに分かれている。国民年金加入者の中心は、かつての自営業者から無職者や非正規雇用労働者に移り、定額保険料(月額1万5100円)の負担感は増している。

 それなのに平均給付額は月4万9000円程度で、若い世代を中心に保険料納付意欲を失わせているとされる。記録漏れ問題発覚などによる年金不信も重なり、政府の検討会は29日、「現行制度の存続は困難」と断じた。

 ただ、政府がまとめた7原則の実現は容易ではない。

 筆頭の「年金一元化」は、国民年金など今の三つの制度を一本化する構想だ。転職など生活の変化に影響されない半面、自営業者の所得把握ができない限り不公平が生じかねなかった。この点は、7原則と同時に発表された「社会保障・税の番号制度」が具体化すれば一歩前進する。

 とはいえ、厚生・共済年金は保険料の半分を事業主が払っているのに、自営業者にはそうした恩恵がない。自営業者らの保険料水準をどう設定するかという難問は依然残る。

 税方式に全面転換する場合は、移行期間が問題となる。新制度には数十年かけて移行するため、その間は現行制度も併存する。現行制度で保険料を納めた人と未納だった人に同じ条件で年金を給付することはできず、未納だった人に十分な最低保障額を担保するのは困難なのが現状だ。

 「最低保障」などの原則達成には、安定財源が必要となる。自公政権の試算では、税方式を導入するなら社会保障全体をまかなうのに消費税を17%程度にアップする必要がある。長妻昭厚生労働相は29日の会見で「現行制度がしばらく併存するのでただちに消費税が大きく必要になるわけではない」と強調したが、菅首相の言う「10%」では到底足りず、「持続可能」の原則も揺らいでいる。