菅首相はカナダでの胡主席との会談で選挙公約「中国軍事力の透明性」に何故言及しなかったのか?

・三条 健です。
・軍国独裁国家である中国に対する外交戦略は日本の国益に重大な問題であるにも関わらず参議院選挙の争点になっていないのは一体どういう訳だ!  中国の国防費は21年連続で2ケタの増強を続け、2009年は1000億ドルと米国の6610億ドルに次ぐ世界2位となっている。 中国はアメリカに次ぐ軍事大国だ!
菅直人首相は先月下旬のカナダでの胡主席との会談で選挙公約に掲げた「中国軍事力の透明性」には言及しなかった。
民主党は「中国の国防政策の透明性を求めつつ、防衛交流など信頼関係を強化します」と透明性要求を明示しているのに、何故、菅直人首相は先月下旬のカナダでの胡主席とのフェース・ツー・フェースの場で公約に掲げている事項を堂々と主張しないのか? 特別機で赴いておきながら、公約実行のチャンスをこうもやすやすと逃すとは日本を代表する総理として、これほどの外交の失態は無いのではないか。



〜〜〜メディア報道の一部<参考>〜〜〜

【主張】中国の軍事力 目をそらさず戦略を語れ
2010.7.6 03:03
 日本の国益を左右する重大な問題が参院選で置き去りにされている。軍拡を続ける中国に対する外交戦略である。

 中国の国防費は21年連続で2ケタの増強を続け、スウェーデンストックホルム国際平和研究所によると、2009年は1000億ドルと米国の6610億ドルに次ぐ世界2位となった。6位の日本(510億ドル)の2倍、しかも、その内訳は不明だ。

 景気対策社会保障などの論戦を深めるのは当たり前だが、日本の安全保障に直結する中国の軍事力から目をそらすことはできない。対中姿勢は日本の国のあり方とも直結しており、国政選挙で問うべき課題だ。各党は対中戦略をもっと語るべきである。

 とくに中国海軍の最近の動きは目に余る。参院選公示後の今月3日、中国海軍のミサイル駆逐艦フリゲート艦の計2隻が沖縄本島西南西の公海上東シナ海から太平洋に向け航行した。今年4月には同じ海域を潜水艦を含む計10隻が通過し、警戒・監視にあたった海自護衛艦に中国海軍の艦載ヘリコプターが異常接近している。

 各党のマニフェスト(公約)の中では、民主党が唯一「中国の国防政策の透明性を求めつつ、防衛交流など信頼関係を強化します」と透明性要求を明示した。また、連立与党を組む国民新党が中国や北朝鮮の軍事的脅威を指摘し、「放置すれば取り返しのつかない軍事力格差が生じることになる」と訴えた点は評価したい。

 野党第一党自民党の公約の中に安全保障や主権問題にからんで「中国」への言及がないのは残念だ。交渉中の東シナ海ガス田開発問題を念頭に「今後とも毅然(きぜん)とした姿勢で対処し、東シナ海を『真の友好の海』とすることに努めます」というだけでは、最近まで政権を担った責任政党の気概が何も伝わってこない。

 問われるのは、公約通りの外交の実行力である。4月の中国艦載ヘリ異常接近の事案では、日本側の発表がワシントンでの鳩山由紀夫前首相と胡錦濤国家主席の会談後に行われた。しかも鳩山前首相は日中首脳会談でこの問題を取り上げなかった。

 また、菅直人首相は先月下旬のカナダでの胡主席との会談で選挙公約に掲げた「中国軍事力の透明性」には言及しなかった。

 公約実行の絶好の機会を失ったと言わざるを得ない。