大臣、首相は海外口蹄疫先進国の動向をいち早く把握して、国益になる適切な指導をしてもらいたい!

・三条 健です。
・ウイルスに罹っていない牛を「殺す事に意義は無い」と思う。
貴重な種牛を殺さないでとあれだけ頼んでいるのに聞く耳を持っていない大臣、首相は 即刻、国会議員のバッジを外せ! 
蔓延防止のための初動対策時に、やむなく殺処分するというのが根拠であって、蔓延しきっている宮崎の今の状況では、ウイルスに罹っていなければ殺す必要は何も無い。
・イギリスは、殺処分の対象を緩和することし、「明らかに健康だと思われる牛に関しては、殺すか殺さないかは農家の決断にゆだねる」との見解を出している。
・2010年6月28日、オランダ政府は、「今後FMDの流行の際、殺処分は2度と行わない」という声明を発表した。

・大臣、首相は国益のために働く意味でバッジをつけているのであって、国益にならないことを言ったり、やったりするのは許されない。殺処分は目的では無い。
大臣、首相は海外口蹄疫先進国の動向をいち早く把握して、国益になる適切な指導をしてもらいたい!


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜

口蹄疫家畜の殺処分に科学的根拠はない   石岡荘十
2010.07.16 Friday
「すぐ殺処分にせよ」
「いや特例で殺さないで下さい」

口蹄疫のおそれがある種牛の処分をめぐる農林水産大臣と宮崎県知事とのやり取りである。

ところがここへ来て、現役の厚労省医系技官であり、政府の新型インフルエンザ対策を終始批判し続けてきた感染症の専門家・木村盛世さんが、「口蹄疫蔓延防止のための殺処分に科学的な根拠はない」とする論文を医療関係者を読者に持つメールマガジンMRIC)に発表している。

殺処分は間違っているというのである。論文の一部を引用しながら、その主張の要旨を紹介する。

まず口蹄疫(Foot and Mouth disease:FMD)とはどういった疾患か。(以下、引用)

<【FMDの特徴】
1.蹄が2つに割れている動物が罹る、感染力(他にうつす力)が強い感染症
2.牛の成体の場合、死に至ることは殆ど無く、通常動物は2週間程度で回復する(豚は牛よりも致死率が高い)
3.罹った動物の他、carrierと呼ばれる生物や風等、不特定多数によって伝搬されるため封じ込め不可能は少ない

4.人にうつったという報告はない
5.感染した動物を食べても人には影響ない
6.治療法はない

7.ワクチンに100%の効果は無い(口蹄疫問題を考える―危機管理の立場から―vol.5より)

http://news.livedoor.com/article/detail/4821972/

口蹄疫にかかった家畜の殺処分が行われるようになったのは1940年以降でありそれまではFMDに罹患した家畜は治るまで放置されていた。>

日本では、罹患した家畜には経済的な価値はないと信じられているが、これを覆すケースがある。

<1922−24年にイギリスでの流行の際、FMDに罹った牛を介抱し、1923年のRoyal Showでその牛を優勝させたCharles Clover 氏の業績は、罹患した家畜でも商品価値が無くならないことを示す、貴重な症例報告である(“ Old cowmen’s cure served duke’s pedigree herd”, TheDaily Telegraph 12-3-01,p6)。

この事実をみると、何故大量殺処分が必要なのかという疑問がわくが、日本ではこうした議論は全くと言っていいほど起きていない。

その理由として考えられるのは、

(1)FMDには殺処分、とインプットされている
(2)FMDの事をよく知らない
(3)殺処分が有効と主張する獣医師、いわゆる専門家、官僚、政治家達に対して、そうでは無いという勇気がでない

などが挙げられるだろう。

殺処分に関する議論は、2001年イギリスで大流行が起こったときから活発に行われており、mediaも多く取り上げている。

http://www.FMD.brass.cf.ac.uk/FMDreferencesnewspapers.html

日本では「殺す事が最良の方法」以外の意見が報道されないことは、極めて不自然だと感じざるを得ない。

殺処分は、発生のごく初期、バイオテロの可能性も鑑みて行うことは理にかなっていると思われる。しかし、ある程度以上の広がりを見せてからは、殺処分を行うことの方が損失が多くなる。特に、貴重な種牛などを失うことは、経済損失だけでは論じられないおおきなダメージがあるだろう。

現在のFMDにおける対応を診ていると、感染拡大のための殺処分というよりは、殺処分自体が目的となっている感が否めない。これは、かつてFMDで大被害を被ったイギリスの状況と重ねることができる。

もはや、殺処分の有効性の問題ではなく、流れをとめることが出来ないから殺し続けたというのが本当のところであろう。

英国国立農畜産組合(National Farmers Union)のトップだったRichardMacDonaldの、「我々はその科学とやらに行き詰まり、自分たちが信じてやっている事が正しいとする結論に至った」という言葉は、正にこの状況を的確に言い表したものである。

結果として、イギリスは、殺処分の対象を緩和することし、「明らかに健康だと思われる牛に関しては、殺すか殺さないかは農家の決断にゆだねる」との見解を出したのである。

http://www.abc.net.au/rural/news/stories/s284276.htm

10年ほど前、多くの犠牲を払い、損失を生んだ英国の事例でこれだけの議論がなされたのにもかかわらず、日本で何の議論も起こらないのは不思議である。

「殺す事に意義がある」という流れの中で、冷静な議論などは何処かに吹き飛んでいる状況は、2009年に流行したH1N1豚インフルエンザ騒動を思い起こさせる。

日本の悲惨な状況に鑑みてのことと考えられるが、2010年6月28日、オランダ政府は、「今後FMDの流行の際、殺処分は2度と行わない」という声明を発表した。>

http://www.warmwell.com/

<FMDは自然界にごくありふれた病気で自然に回復する。感染経路も複数あり、特効薬や完全な予防法も無い以上、封じ込めは不可能であり、根絶することは不可能である。

そうであれば、ウイルスとの共存をも含んだ議論を行うことが緊急に行うべきことであろう。>

以上のような木村さんの論文を読むと、あの新型インフルエンザ“事件”で、厚労省が行った水際作戦を思い出す。水際作戦は封じ込めは不可能であることが分かっていながら、「国は一生懸命やっています」と国民にアピールするための政治的なパフォーマンスに過ぎなかったことが明らかになっている。

つまり科学的な根拠はなかったというのがいまや専門家の間の定説となっているのである。

口蹄疫殺処分に科学的に根拠はあるのか。この際、改めて冷静な議論か必要だろう。