民主党の言う負担軽減とは何か? 具体的な現状条件比較の上で説明を求めたい!

・ 三条 健です。 ジェームス・E・アワー氏はアジア太平洋地域の現在の不安定状況を①、②で具体的に説明している。
① 北朝鮮は、自国民への統制をますます強める一方、短距離ミサイル発射や、未発達ながら核兵器の所有で近隣諸国を脅している。
② 中国の台頭は必ずしも旧ソ連のような、新しい軍事脅威を意味するものではないが、軍事増強の中身は不透明であり、排他的経済水域EEZ)内外での中国の行動は地域に不安を与えている。
・従って、
アジア太平洋地域の経済安定を含めて、地域安全保障の要である日米同盟の必要性が出てきている。防衛の観点のみではなく、世界経済の側面での重要性を説いている。
・10年以上をかけて、「第7艦隊のヘリコプター部隊は普天間空軍基地の北部へ移し、従来の7つの基地は閉鎖する」ことで日米両政府、沖縄県知事キャンプ・シュワブ近くの住民が同意した「魔法」案であったと言っている。
騒音などの名護市東部の辺野古など数カ所の地区では、それでもかなり多くの人がキャンプ・シュワブと、新しく加わるかもしれない飛行機の受け入れを支持している。

従来の7つの基地閉鎖とグアム移転および普天間移転によって 負担軽減を図った訳である。
民主党の言っている負担軽減は これと比較して 具体的に何を軽減し、またアジア太平洋地域の現在の不安定状況に対処するつもりなのか?を説明してもらいたい。 この点について、民主党はこれまで、一度も具体的な説明は実施されていないが?




〜〜〜メディア報道の一部<参考>〜〜〜

【正論】ヴァンダービルト大学 日米研究協力センター ジェームス・E・アワー
2010.7.21 03:41

■ 沖縄県民の「同盟求める心」掴め

 参院選の選挙運動では日米関係についてほとんど言及されることがなかった。それだけに皮肉にも、今後の菅直人政権は、個々の政策ごとに他党との部分(パーシャル)連合で国会運営を進めることにより、日米合意の実現にも能力があることを立証する良い機会が得られるわけだ。

≪地域安全に必要性の増す同盟≫

 冷戦の終焉(しゅうえん)は欧州とアジア太平洋地域では異なる意味をもつ。ソ連崩壊で欧州では地域の安全を損なわずに、15万人以上の米兵力の撤退が可能となった。しかしアジアでは不安定な情勢が続く。北朝鮮は、自国民への統制をますます強める一方、短距離ミサイル発射や、未発達ながら核兵器の所有で近隣諸国を脅している。

 中国の台頭は必ずしも旧ソ連のような、新しい軍事脅威を意味するものではないが、軍事増強の中身は不透明であり、排他的経済水域EEZ)内外での中国の行動は地域に不安を与えている。

 こうした脅威に、世界経済におけるアジア太平洋地域の経済的重要性の増加などがさまざまに混じり合っている。このため日米と、そのアジアの友好・同盟諸国にとっては、国際的に一層意味のある地域安全保障の要としての日米同盟の必要性が出てきた。

≪政権の部分連合で政策実現を≫:
 日米同盟において、米国の貢献の中心となるのは米第7艦隊である。その艦船の多くは米国に基地を置き、各地に出航して海上での活動を行う。横須賀と佐世保を母港とする艦船も海上で活動する場合が多い。しかし、第7艦隊の重要部隊にはこのほか、岩国を基地とする航空団や、密集した沖縄南部に基地のある海兵隊やヘリコプター部隊がある。

 10年以上をかけて日米は、1つの「魔法」案に行きついた。それは沖縄の嘉手納南部にあった7カ所の海兵隊基地(985ヘクタール)全部を閉鎖して土地を返還、8千人の海兵隊員は、アジア太平洋地域での抑止力維持がほぼ同じように可能であるグアムへ移転させる。そして第7艦隊のヘリコプター部隊は普天間空軍基地の北部へ移し、従来の基地は閉鎖する。

 代替する地域は米軍キャンプ・シュワブ基地の陸地と海域を占める部分で密集地帯ではない、というものであった。この案は、日米両政府、沖縄県知事キャンプ・シュワブ近くの住民が同意した「魔法」案であった。

 昨年8月の総選挙に向けて民主党代表、鳩山由紀夫氏は普天間のヘリコプター部隊は沖縄県内から移設させると約束した。この約束は守られず、鳩山氏は辞任に追い込まれた。2006年の日米合意に沿った移設方針のように、ヘリコプター部隊をキャンプ・シュワブに移転するということに同意した数日後の辞任であった。菅総理は約束のように果たして「魔法」を復元できるかどうかを示す課題に直面している。

 政治評論家は06年の日米合意を実施するのはいまや「困難」であると言うが、それは、不可能を意味するのであろう。だが今度の民主党政権運営における部分的連合政策は、もしかしたら、この点について不可能を可能にするかもしれない。それは、日米同盟と沖縄再編計画を支持する自民党との協力体制があること、および日米合意計画は、米国の民主党共和党も支持するからである。

≪誤用が目立つ「地元の不安」≫
 それにしても、沖縄県民のどの程度が06年の合意案に反対なのだろうか。「沖縄の負担」という言葉は誤用されることが多い。普天間内の土地から高い賃借料が入るとき、地主の中には基地閉鎖に反対する人もいるだろう。既存のキャンプ・シュワブ基地の改造の仕事より、むしろ大きく新しい基地を作りたいと思う建設会社は合意案に反対かもしれないし、反日米同盟派の政治家や評論家はもちろん反対するだろう。

 騒音から解放される7カ所の移転基地の近くに住む住民の中にもいろいろな考えがあるだろう。

 今年前半の選挙で名護市長がキャンプ・シュワブへの移転に反対の人々によって選出されたが、その名護市の住民の気持ちについてはいろいろ言われてきている。だが名護市民のほとんどは、キャンプ・シュワブ海兵隊航空機による迷惑をこうむることはない。

 というのも、住民の多くが住んでいる所は、名護市東部にあるキャンプ・シュワブからは山を隔ててかなりの距離があるからだ。しかし名護市東部の辺野古など数カ所の地区では、それでもかなり多くの人がキャンプ・シュワブと、新しく加わるかもしれない飛行機の受け入れを支持している。

 長年傷つけられてきた沖縄県民の気持ちは、特に鳩山政権下での政策の変更によって、さらに傷つけられた。菅総理沖縄県知事および沖縄県民の意見を注意深く聞くことが賢明であろう。だが、彼が理想主義でなく現実主義者であるならば、困難を乗り越えて、沖縄の声なき大衆である住民の愛国心を燃え立たせるだろう。その愛国心とは、日本全体のためとなり、また大多数の国民が支持する同盟を求める心なのだ。