アジアの海洋国家群は 長期的政権の構築を急げと 日本に言っているのだ!

・三条 健です。   岡本氏のこの記事は重要だ!  
「長期的な国家戦略を作り、力強い政策を出し、それを内外に毅然(きぜん)と発信し、そして時代的な転換点にたっている日米関係を本来の道筋に戻すこと」と言っている。  揺るがせにできない危機的な状況だ!
アジアの海洋国家群(韓国、台湾、フィリピン、ベトナムシンガポールインドネシア、豪州、日本…など)から日本は退潮国家、後退国家として言及されたということだ。
海洋国家群にとっては、日米安保体制はアジア太平洋地域の公共財としての大きな価値がある。ただし、強固な日米安保体制ならばだ。
日米安保というアジア太平洋安定の枠組みの一角が崩れ去れば、南シナ海から東シナ海にかけての緊張が高まることを懸念しているのだ。
・海外は日本を外交・安全保障も、経済も、がけっぷちにある危険な状況にあると観ている。
・アジアの海洋国家群は 長期的政権の構築を急げと 日本に言っているのだ!


〜〜〜メディア報道の一部<参考>〜〜〜

【人界観望楼】外交評論家・岡本行夫  日米同盟を弱めるな
2010.7.31 03:31

 アジア太平洋地域の専門家が地域の安全保障について議論する会議がシンガポールであった。会議で日本は退潮国家、後退国家として言及された。私は強く反論したが、どこまで届いたか。日本への懸念の多くは、「ザ・フテンマ」が象徴する日米安保体制の運用ぶりに向けられた。

 アジアでは、海洋国家群とも呼べるひとつの輪郭ができつつあるようだ。日本、韓国、台湾、フィリピン、ベトナムシンガポールインドネシア、豪州…。これらの国々や、地域(台湾)の最大の懸念は、中国海軍活動の活発化だ。特に南シナ海。中国海洋戦略への警戒感は、あからさまに表明された。

 海洋国家群にとっては、日米安保体制はアジア太平洋地域の公共財だ。日米連携が海洋における中国のカウンターバランスになる。それなのに日本は日米関係を弱めて地域の安定を危うくしようとしている。何人もがそう言った。

 日米関係の危機は、アジアを揺るがせる。肝心の普天間飛行場移設問題は、日米合意ができたといっても、暗礁に乗り上げたまま。今後の進展は、まず見込めないだろう。県外はダメ、県内もダメ、普天間継続使用もダメとなって、結局、海兵隊が日本の国外へ押し出されるようなことになれば、アジア太平洋安定の枠組みの一角が崩れ去る。そして南シナ海から東シナ海にかけて緊張が高まる。普天間問題の解決が遠のいた今、日本の責任は重い。日米関係が全体として弱体化しつつあるときに、これまで共同して十数年間行ってきた米軍再編が不可能になれば、同盟の中核的部分が崩れてしまう。

 最近のアメリカの有識者調査では、「アメリカにとってのアジアで最重要のパートナーは中国」と答えた人が56%。「日本」と答えた人は、36%に激減した。1990年代央には、「日本が最重要」が79%、「中国が最重要」はわずか12%だった。この完全逆転は、もちろん中国の国力増大が大きな理由だが、日本への信頼感の下落も大きくあずかっている。日本がアメリカの同盟国として一向にリスクを背負おうとはしないこと、日本からの政治的なメッセージの発信がないこと、経済面でも改革路線が放棄されたあとの成長戦略が見えないこと。そうしたことから、「日本はもう頼りにできない」という雰囲気が出てきているのだ。

 日本は外交・安全保障も、経済も、がけっぷちにある。海外の格付け機関は、日本国債のランク引き下げを検討中とか。現在はマネーの避難先として日本国債が買われているが、状況は予想以上に早く悪化する可能性がある。そうなれば日本経済に「サドンデス」が来る可能性だって排除できない。先日、フランスで開かれた経済会議に出席した。多数の経済専門家が集まったその会議では、ギリシャと日本を並置する議論さえあった。

 政局の主導権争いのために政策を作っているときではない。大連立、または思想軸を中心とした再編によって、長期的な国家戦略を作り、力強い政策を出し、それを内外に毅然(きぜん)と発信していくこと。そして時代的な転換点にたっている日米関係を本来の道筋に戻すこと。そうでなければ、日本は単なる中流国家として漂い始めるだろう。(おかもと ゆきお)