北朝鮮や中国に対する日本の地理的な脆弱性の認識がまず重要だ!

・三条 健です。
北朝鮮や中国に対する日本の地理的な脆弱性の認識がまず重要だ!
そして、日本の利益にかなうときには、自衛力を米国とともに集団的に行使する権利といったような、はるかに重要な問題をはっきりさせ、すっきりさせることだ!

・ジェームス・E・アワー氏の以下の記述を良く観なさい。
「対米同盟協力は、北朝鮮からのミサイル攻撃とともに、ますます無謀で攻撃的になっている中国の振る舞いに対して、日本を脆弱(ぜいじゃく)なものにしているその地理的な状況を考慮すれば、抑止のためには絶対に不可欠である。」

民主党の若く、希望が持てる人物たちは、普天間移設にのみ専心するのではなく、自衛隊が日本の国益を守るために武力を行使する権利や、そうすることが日本の利益にかなうときには、自衛力を米国とともに集団的に行使する権利といったような、はるかに重要な問題をはっきりさせ、すっきりさせたいと思っているのである。」

〜〜〜メディア報道の一部<参考>〜〜〜

【正論】ヴァンダービルト大学・日米研究協力センター ジェームス・E・アワー
2010.9.23 02:36
■菅さん、日本の脆弱性認識せよ :

 「民主党の安全保障政策についてどう思うか」。昨年8月の総選挙で民主党が圧勝して政権に就く前後、日本の記者たちから最もよく聞かれた質問である。

 むろん、私は民主党の「マニフェスト」(政権公約)を読んではいた。だが、全体として国の安全保障をめぐる民主党内の見解の相違幅は極めて広く、自民党内のそれより大きいと思った。だから、「民主党とは一体、何なのか」としか返答できなかった。

 9月14日の民主党代表選の数時間後に、代表選とその日米同盟への影響について、米国の首都ワシントンにあるヘリテージ財団が主催したシンポジウムで、(パネリストのひとりとして出席した)私は、「もっと現実的で断固たる防衛政策を支持する若く『希望が持てる人物たち』は民主党のどこにいるのか」と問われた。

 私は、希望が持てる人物たちは実在し、例えば、改造前の菅内閣防衛省一部首脳たちは、日本の国家安全保障と同時に米国との同盟協力に何が必要なのか、非常によく分かっていると答えた。

◆北のミサイルと攻撃的な中国 :

 対米同盟協力は、北朝鮮からのミサイル攻撃とともに、ますます無謀で攻撃的になっている中国の振る舞いに対して、日本を脆弱(ぜいじゃく)なものにしているその地理的な状況を考慮すれば、抑止のためには絶対に不可欠である、と。

 これら民主党の希望が持てる人物たちは、現在、沖縄の普天間飛行場に配置されている米第7艦隊指揮下のヘリコプター部隊を北部の既存の米軍基地(キャンプ・シュワブ)に移転させることしか眼中にないわけではない。

 そうした決定は、ヘリ部隊が名護市内の地理的に遠隔な部分(市の東部)に移ったとしても、騒音や環境被害の影響を何ら受けることのない選挙区民を抱えている地元議員の多数から成る市議会よりも、むしろ、日本国政府によって行われる必要がある。名護市の東部に住む人たちの大半は、ヘリ部隊がキャンプ・シュワブ内にある隣接の海域に移ってくることには賛成しているのである。

◆米国と自衛力の集団的行使を :

 民主党の若く、希望が持てる人物たちは、普天間移設にのみ専心するのではなく、自衛隊が日本の国益を守るために武力を行使する権利や、そうすることが日本の利益にかなうときには、自衛力を米国とともに集団的に行使する権利といったような、はるかに重要な問題をはっきりさせ、すっきりさせたいと思っているのである。

 鳩山前首相や菅現首相が、沖縄の住民感情に神経質になっているのは疑うべくもない。こうした感情はしかし、往々にして、日本のメディアと、米国をはじめとする一部の海外メディアによって、誤って伝えられたり、センセーショナルに描かれたりする。

 理想的な世界においては、飛行場の近くに住んだり、不必要な軍事力を行使したりしたいと願う者はまずいない。しかしながら、われわれは理想的な世界に住んでいるわけではない。日本でも米国でも、スイスのような中立国においてさえも、国内的、国際的輸送のための一定の空港や、国の安全保障をもたらしてくれる一定の軍事基地は必要なのである。

 もし、羽田空港の近くに住む日本人や、サンディエゴ空港のそばに住むアメリカ人が、空港はどこか他の場所に位置している方が良いかと尋ねられれば、多数はまず間違いなく、そうだ、と言うだろう。だが、そのような質問は現実的ではないし、羽田の近辺やサンディエゴ市に住む人たちは、飛行場周辺に居住するという現実にもかかわらず、そこに住むことを選択しているのである。

◆希望持てる若手の登用が重要 :

 名護市民の多数は市の西側の部分に住んでいて、(市の東部に位置している)キャンプ・シュワブに飛来してくるヘリコプター(次世代兵員輸送機、MV−22オスプレー)一機の音を聞くことも、一機の姿を見ることもないのだということを意味する同市の地理を、日本本土や沖縄の日本人たちの多数が分かっているのか。

 そして、名護市東部に住んでいて、多少の迷惑をこうむるかもしれない少数の市民のうちの大多数がその負担を受け入れるのもいとわないということを、日本人の多数が分かっているのか。

 菅首相がそうした現実を承知したうえで、沖縄の枢要な当局者たちや名護市東部住民たちの理解と支持を求めるのであれば、鳩山氏が失敗したところで成功することができるかもしれない。

 だが、それよりも重要なことがある。菅首相は、民主党の希望が持てる若き人物たちに耳を傾けて力を与えれば、国内的にも米国との協力体制においても、非攻撃的ながら現実的な「普通の」国の防衛態勢を採用し、追求することができるという点である。

 北朝鮮や中国に対する日本の地理的な脆弱性が、そうした政策をぜひとも必要としており、名護市東部の地理的な状況と、辺野古、豊原、久志という名護市東部各地区の住民たちの愛国心が、その政策を容認してくれよう。