・「無法国家」の小国 北朝鮮に 超大国が翻弄されるという現実だ!

・三条 健です。
・「北朝鮮の高度のウラン濃縮施設の公表は、極めて深刻な事態を意味する。米国や国際社会を油断させ、時間を稼いで、その間に秘密の核兵器を開発しようとする北朝鮮の真の意図」を再度、確認した。
・ウラン濃縮は核兵器の開発に直結しているから、日本にとってより脅威なのは北朝鮮のウラン濃縮新施設だ! 
・「無法国家」の小国 北朝鮮に 超大国が翻弄されるという現実だ!
日本がこれまでよりも独自の政策や対応を考えねばならない局面が生まれてくる。


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
日本にとって危険なのは北朝鮮の砲撃よりもウラン濃縮だ!!
古森義久
2010.11.25 Thursday

 北朝鮮の軍事冒険的な挑発行動が東アジアに危機のような状況を生み出しました。しかし日本にとってより脅威なのは北朝鮮のウラン濃縮新施設の公表です。 ウラン濃縮は核兵器の開発に直結しているからです。
 この北朝鮮のウラン濃縮に悩んでいるのはアメリカも同様です。オバマ政権は激しく揺さぶられました。「無法国家」の小国に超大国が翻弄されるという現実なのです。
 そのへんの実情を記事にしました。日本ビジネスプレスの私の連載「国際激流と日本」からです。

 北朝鮮が秘密裏に最新のウラン濃縮施設を建設していたというニュースは、オバマ政権に衝撃を与えた。11月21日、オバマ政権の北朝鮮担当特別代表のスティーブン・ボズワース氏が直ちにアジアに急派されたことからも、同政権のあわてぶりが分かる。
 このウラン濃縮は言うまでもなく核兵器の製造につながる危険を有するのだが、米国は北朝鮮核武装を阻止するための6カ国協議では、もっぱらプルトニウムに議論の矛先を絞ってきた。
 核兵器にはプルトニウム爆弾とウラン爆弾の2種類の製造方法があるのに対し、米国は前者だけを見てきたのだ。  だから、この突然のウラン濃縮施設の露呈には大きなショックを受ける形となった。
 この結果、オバマ政権の北朝鮮核問題への対応はさらなる後退を余儀なくされた。オバマ政権の「失敗」だとさえ言えるだろう。
 そうなると、日本がこれまでよりも独自の政策や対応を考えねばならない局面が生まれてくることとなる。

ヘッカー氏の報告を受けてオバマ政権は大騒ぎに

 北朝鮮は11月12日に、自国を訪問中の米国核開発分野の専門家、ジークフリード・ヘッカー氏を、従来から核施設のあった寧辺地区に招き、最新のウラン濃縮施設を見せたという。

 北朝鮮側の説明では、濃縮のための遠心分離機は2000基がすでに稼働しているという。これが3000基ほどに達すると、軍事用の高濃縮ウランができるようになるとされる。
 驚いたヘッカー氏は米国に戻ると、すぐにオバマ政権に施設の状況を報告した。北朝鮮はもちろんオバマ政権に伝えるつもりでヘッカー氏に施設を見せたのだろう。
 もっともオバマ政権側も北朝鮮がウランの濃縮に着手しているらしいという情報はつかんでいた。政府当局者がその旨を語っている。
 だが、ここまでの最新のウラン濃縮施設がほぼ完成していたとは知らなかったようだ。だから政権内外は大騒ぎとなった。

 議会では下院外交委員会の共和党側筆頭委員のイリアナ・ロスレーティネン議員が11月21日、オバマ政権と北朝鮮の両方を非難する声明を発表した。
 「北朝鮮の高度のウラン濃縮施設の公表は、極めて深刻な事態を意味する。米国や国際社会を油断させ、時間を稼いで、その間に秘密の核兵器を開発しようとする北朝鮮の真の意図を再度、確認したことになる。(つづく)