・共産党独裁の中国は 「海洋に対する国際法的基準からの逸脱」という領有権主張の内容も方法も、乱暴で無法だ!

共産党独裁の中国は 「海洋に対する国際法的基準からの逸脱」という領有権主張の内容も方法も、乱暴で無法だ!

・中国が沿岸から200カイリのEEZ内での外国の軍艦の航行や軍用機の飛行を規制し、禁止する権利があると主張することも国際的に異質だとして批判する。国連海洋法の一般的解釈では沿岸国がEEZ内で規制できるのは外国の経済活動だけだとされているのだという。だが中国の独自の解釈は米国などとの現実の衝突を生んできた。

南シナ海については中国当局中華人民共和国の建国以前からの古い海図を領有権の曖昧だが野心的な根拠として提示する姿勢の矛盾を指摘する。この海図は南シナ海の台湾の東からフィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナムのそれぞれ沿岸部を「途切れた9本の直線」でU形につなぎ、その内側をすべて 中国領海のように描いている。中国は公式ではないとはいえ事実上、その領有権を主張し、その主張は海軍力の強さとともに強くなってきたというのだ。
・中国海軍の増強の目的として従来の「台湾攻略能力の確立」に加えて、「南シナ海ほぼ全体を含む海洋の領有権の防御と拡大」や「EEZ内部での外国の軍事活動の規制」が強調されたうえで、中国の海洋に対する「国際法的基準からの逸脱」

〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国の海洋領有権拡大をアメリカが警戒
古森義久
2011.01.09 Sunday

 中国が南シナ海東シナ海で自国の領土を拡大しようとしていることは周知の事実です。しかもその領有権の主張の内容も方法も、乱暴で無法です。アメリカも中国のこの動向に真剣な注意を向けています。
 ワシントンでの最近の中国研究はますます広く深くなった。
 21世紀の世界で中国という不透明な大国がいったいなにを目指すのか。
 中国とはそもそもどんな国で、外部世界に対しなにを求めるのか。そんな点への米側の関心や懸念が急速に高まり、あらゆる角度から官民での中国点検が進められるようになったのだ。

 その米側の中国研究でも焦点が最も鋭く絞られるのは中国の軍事力増強である。中国はなんのために軍拡を進めるのか。ほんの一例をあげれば、大陸間を飛ぶ 戦略核ミサイルをいま増強するのは公式の核兵器保有国では中国1国である。非核の通常戦力では中国軍の増強はさらに顕著なのだ。そもそも中国への軍事脅威がないとみられる現状でこれほどの軍拡がなぜ必要なのか。

 中国の通常戦力の強化では海軍が最も注視を集める。中国から海洋領有権紛争を仕かけられる日本にも最も気になる動きだろう。

 米国側での中国海軍力の増強についての研究では議会調査局が作成する「中国の海軍近代化」という報告が非常に有益である。連邦議会の上下両院議員の法案 審議資料として、その時点での主要課題について調査や研究をまとめる同調査局の報告は超党派のスタンスからきわめて客観的だといえる。

 中国の軍拡については米国防総省が毎年、議会に送る「中国の軍事力」という表題の報告書が集大成とされてきた。だがオバマ政権になって中国への表面での 配慮からタイトルが「中国に関する軍事、安全保障動向」と変えられた。公表の時期も中国の反応への懸念から法律での規定から半年近くも遅らされた。そのうえに内容にも政治スピン(ひねり)がかかり、脅威の要素が薄められた。

 だが議会調査局の報告はそんなスピンは感じさせない。1990年代に初版が出された同報告は毎年、数回も最新の動きを入れて刷新されていく。昨年後半だけでも8月と12月に更新された。どの報告も近年の中国海軍の空母配備への動きや潜水艦、駆逐艦の大増強、対艦の弾道、巡航両ミサイル、陸上攻撃巡航ミサ イル、海軍航空戦力の拡大などを細かく伝える。米国の軍当局や情報機関からの情報に加え、民間研究機関の調査やメディアの報道までも吸いあげて全体図と部分図を描いていく。

 その議会調査局の最新の報告で初めて重要補足として特記されたのは「中国の海洋領有権主張と排他的経済水域EEZ)での作戦への見解」という章だった。そこでは中国海軍の増強の目的として従来の「台湾攻略能力の確立」に加えて、「南シナ海ほぼ全体を含む海洋の領有権の防御と拡大」や「EEZ内部での外国の軍事活動の規制」が強調されたうえで、中国の海洋に対する「国際法的基準からの逸脱」が詳述される。

 同報告は南シナ海については中国当局中華人民共和国の建国以前からの古い海図を領有権の曖昧だが野心的な根拠として提示する姿勢の矛盾を指摘する。この海図は南シナ海の台湾の東からフィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナムのそれぞれ沿岸部を「途切れた9本の直線」でU形につなぎ、その内側をすべて 中国領海のように描いている。中国は公式ではないとはいえ事実上、その領有権を主張し、その主張は海軍力の強さとともに強くなってきたというのだ。

 同報告は中国が沿岸から200カイリのEEZ内での外国の軍艦の航行や軍用機の飛行を規制し、禁止する権利があると主張することも国際的に異質だとして批判する。国連海洋法の一般的解釈では沿岸国がEEZ内で規制できるのは外国の経済活動だけだとされているのだという。だが中国の独自の解釈は米国などとの現実の衝突を生んできた。

 このように同報告は、米国議会が中国の海軍力増強を南シナ海などでの海洋領有権の拡大と結びつけて重視するようになった例証なのである。