・日本から中国へのODAはいくら巨額が供与されても、日中関係の改善にはまったく役立たなかった!

注目すべき文言は
・日本から中国へのODAはいくら巨額が供与されても、日中関係の改善にはまったく役立たなかった!
・自国の利益を守り、広げるための活動が外交である。とくに自国領土の確保や自然資源の確保、安全保障上の懸案の追及、そして歴史問題での日本側の主張の表明などが重要となる。




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
丹羽中国大使の「経済外交」は外交ではない(完) 
古森義久
2011.02.03 Thursday

 雑誌「SAPIO」最新号に私が書いた丹羽宇一郎中国駐在日本大使論の紹介のつづきです。これで完結です。
 丹羽大使 の「経済外交」という発想にも疑問が提起される。国家と国家の関係では経済の取引はともに利益を目指して自然に機能する活動だろう。
 単なる経済の交流の拡大や発展は外交でもなんでもない。共通の利益への両国間の商業活動の流れだといえよう。その活動に問題が起きたときに対処するのが外交だろう。
 しかも自国の利益を守り、広げるための活動が外交である。とくに自国領土の確保や自然資源の確保、安全保障上の懸案の追及、そして歴史問題での日本側の主張の表明などが重要となる。

 その種の非経済の領域での日本の利益や権益を広げようと努めるのが日本大使の最大の責務だといえよう。

 丹羽大使のこれまでの軌跡には、その種の責務での努力がみられない。それどころか中国への日本のODA(政府開発援助)の強化を日本外務省に具申したという報道が 流れた。
 昨年十二月の同報道によると、丹羽大使は尖閣事件で悪化した日中関係を改善するために日本が中国に対し環境保護や法整備、労使紛争解決などの面で のODA重点供与をするべきだと進言したという。だが日本からのODAはいくら巨額が供与されても、日中関係の改善にはまったく役立たなかった。
 中国政府は日本からの援助の存在さえも国民一般には伝えなかった。 ODAの額と日中関係の状態の間に因果関係がないことは、すでに立証すみなのである。
 しかも中国は外貨保有や貿易黒字の額では世界のトップ、経済大国としても世界第二なのだ。縮小と不況の日本がなぜ朝貢のように援助を与えねばならないのか。
 この報道が事実ならば、丹羽氏の認識を疑わざるをえない。丹羽大使は南京訪問では「日中両国の関係は夫婦以上だ」と語ったという。
 民主主義の自由の国の日本と、共産主義の抑圧の国の中国と、どこが「夫婦」なのか。しかも 日本の尖閣という領土を理不尽に奪おうとする中国なのである。
 利害のぶつかりあうその両国を「夫婦」という情緒的な表現でくくろうとするこの日本大使の中 国観は基本的な姿勢のゆがみを感じさせる。