東電、原子力安全・保安院の罪は甚大だ! 想定外の天災ではなく、明らかに人災だ!

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 耐震・構造設計小委員会
地震津波、地質・地盤合同ワーキンググループ(WG)(第32回)平成21年6月24日の議事から明白だが、
「今後考えていきます」と簡単に無視! 原子力安全・保安院もこれを追認したということです。
対策を考えることだけでもしておけば、こんなに後手後手にはならなかったはずだ!!
東電、原子力安全・保安院の罪は甚大だ! 想定外の天災ではなく、明らかに人災だ!


・「東電が考え得るあらゆる改善の手を打っていた後なら、津波は「想定外」の規模だったと言っても許されたであろう。危険を予知し、警告する人がいても、意に介さず放置する。破局に至るまで問題を先送りする。これが、日本の指導層のいつもの怠惰、最悪の中の最悪を考えない思想的怠慢の姿である。福島原発事故の最大の原因はそこにあったのではないのか。」
・「福島第1原発の燃料はすでに溶融し、かつ海水に浸っているので、いくら冷却してもこれを中間貯蔵設備に持っていくことはできないようだ。関係者にも未経験の事態が訪れているのである。」
・今後、わが国の原発からの撤退とエネルギー政策の抜本的立て直しは避け難く、原発を外国に売る産業政策ももう終わりである。原発は東電という企業の中でも厄介者扱いされ、一種の「鬼っ子」になるだろう!
・手に負えぬ48個の「火の玉」をいやいやながら抱きかかえ、しかも上手に「火」を消していく責任は企業ではなく、国家の政治指導者の仕事でなくてはならない! の文言に代表される。


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
最悪の中の最悪を考えなかった
評論家・西尾幹二 2011.3.30 03:15

≪許されぬ「想定外」の言い訳≫:
 原発事故下にあえぐ福島県の地域住民の方々、ならびに、原発の現場で日夜を問わず国の破綻を防いでくれている多くの勇敢な方々に、まず、心からの同情と感謝を申し述べたい。これから後は、いよいよ指導者たちが政治的勇気を見せる番ではないかと考える。
 今度の福島第1原発の事故は、原子力技術そのものの故障ではなく、電源装置やポンプや付帯設備(計器類など)の津波による使用不能の事態が主因である。防止策として予(あらかじ)め小型発電機を設置しておくべきだったと批判する人がいたが、福島では非常用ディーゼルが用意されていて、しかも、それがちゃんと動いたと聞く。しかしディーゼルを冷却するポンプが海側にあって流され、冷却できなかった。これがミスの始まりだったようだ。電源が壊れ、原子炉への注水機能がきかなくなった。Aの電源が壊れたらBの電源…C、Dと用意しておくほど、重大な予防措置が必要なはずではないか。
 東北は津波のたえない地域である。設計者はそのことを当然知っていた。東京電力は今回の津波の規模は「想定外」だというが、責任ある当事者としてはこれは言ってはいけない言葉だ。たしかに津波は予測不能な大きさだったが、2006年の国会で、共産党議員がチリ地震津波クラスでも引き波によって冷却用の海水の取水停止が炉心溶融に発展する可能性があるのではないかと質問していた。二階俊博経産相(当時)は善処を約していたし、地元からも改善の要望書が出されていたのに、東電は具体的改善を行わなかった。
原発は原子炉によっては40年たち、老朽化してもいたはずだ。東電が考え得るあらゆる改善の手を打っていた後なら、津波は「想定外」の規模だったと言っても許されたであろう。危険を予知し、警告する人がいても、意に介さず放置する。破局に至るまで問題を先送りする。これが、日本の指導層のいつもの怠惰、最悪の中の最悪を考えない思想的怠慢の姿である。福島原発事故の最大の原因はそこにあったのではないのか。
≪「フクシマ」に国家の命運かかる≫:
 作業員の不幸な被曝(ひばく)事故に耐えつつも日夜努力されている現場の復旧工事は、今や世界注視の的となり、国家の命運がかかっているといっても過言ではない。何としても復旧は果たされなければならない。230キロの距離しかない首都東京の運命もここにかかっている。決死的作業はきっと実を結ぶに違いないと、国民は息を詰めて見守っているし、とりわけ同型炉を持つ世界各国は、「フクシマ」が日本の特殊事情によるものなのか、他国でも起こり得ることなのか、自国の未来を測っているが、日本にとっての問題の深刻さは、次の2点であると私は考える。
 第一は、事故の最終処理の姿が見えないことである。原子炉は、簡単に解体することも廃炉にすることもできない存在である。そのために、青森県六ケ所村に再処理工場を作り、同県むつ市に中間貯蔵設備を準備している。燃料棒は4、5年冷却の必要があり、その後、容器に入れて貯蔵される。しかし、福島第1原発の燃料はすでに溶融し、かつ海水に浸っているので、いくら冷却してもこれを中間貯蔵設備に持っていくことはできないようだ。関係者にも未経験の事態が訪れているのである。
≪見えて来ぬ事態収拾の最終形≫:
 殊に4号機の燃料は極めて生きがよく、いくら水を入れてもあっという間に蒸発しているらしい。しかも遮蔽するものは何もない。放射性物質は今後何年間も放出される可能性がある。長大で重い燃料棒を最後にチェルノブイリのようにコンクリートで永久封印して押さえ込むまでに、放射線出しっ放しの相手を何年水だけを頼りにあの場所で維持しなければならないのか。東電にも最終処理までのプロセスは分からないのだ。
 それに、周辺地域の土壌汚染は簡単には除染できない。何年間、立ち入り禁止になるのか、農業が再開できるのは何年後か、見通しは立っていない。当然、補償額は途方もない巨額となるだろう。
 問題の第二は、今後、わが国の原発からの撤退とエネルギー政策の抜本的立て直しは避け難く、原発を外国に売る産業政策ももう終わりである。原発は東電という企業の中でも厄介者扱いされ、一種の「鬼っ子」になるだろう。それでいて電力の3分の1を賄う原発を今すぐに止めるわけにいかず、熱意が冷めた中で、残された全国48基の原子炉を維持管理しなくてはならない。そうでなくても電力会社に危険防止の意志が乏しいことはすでに見た通りだ。国全体が「鬼っ子」に冷たくなれば、企業は安全のための予算をさらに渋って、人材配置にも熱意を失うだろう。私はこのような事態が招く再度の原発事故を最も恐れている。日本という国そのものが、完全に世界から見放される日である。
 手に負えぬ48個の「火の玉」をいやいやながら抱きかかえ、しかも上手に「火」を消していく責任は企業ではなく、国家の政治指導者の仕事でなくてはならない。(にしお かんじ)
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総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 耐震・構造設計小委員会
地震津波、地質・地盤合同ワーキンググループ(WG)(第32回)平成21年6月24日
以下の配布資料に基づき議論したものと考えられます。
耐震設計審査指針の改訂に伴う東京電力株式会社福島第二原子力発電所4号機耐震安全性に係る中間報告の評価について 原子力安全・保安院
耐震設計審査指針の改訂に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所5号機耐震安全性に係る中間報告の評価について 原子力安全・保安院
この議事録 の関係部分を抜書きした。
16、17ページ
岡村委員
まず、プレート間地震ですけれども、1930年代の塩屋崎沖地震を考慮されているんですが、御存じだと思いますが、ここは貞観津波というか貞観地震というものがあって、西暦869年でしたか、少なくとも津波に関しては、塩屋崎沖地震とは全く比べ物にならない非常にでかいものが来ているということはもうわかっていて、その調査結果も出ていると思うんですが、それに全く触れられていないところはどうしてなのかということをお聴きしたいんです。
東京電力(西村) 貞観地震について、まず地震動の観点から申しますと、まず、被害がそれほど見当たらないということが1点あると思います。あと、規模としては、今回、同時活動を審議会委員からのコメントを考慮した場合の塩屋崎沖地震マグニチュード7.9相当ということになるわけですけれども、地震動評価上は、こういったことで検討するということで問題ないかと考えてございます。
○岡村委員 被害がないというのは、どういう根拠に基づいているのでしょうか。少なくともその記述が、信頼できる記述というのは日本三大実録だけだと思うんですよ。それには城が壊れたという記述があるんですよね。だから、そんなに被害が少なかったという判断をする材料はないのではないかと思うんですが。
東京電力(西村) 済みません、ちょっと言葉が断定的過ぎたかもしれません。御案内のように、歴史地震ということもありますので、今後こういったことがどうであるかということについては、研究的には課題としてとらえるべきだと思っていますが、耐震設計上考慮する地震ということで、福島地点の地震動を考える際には、塩屋崎沖地震で代表できると考えたということでございます。
○岡村委員 どうしてそうなるのかはよくわからないんですけれども、少なくとも津波堆積物は常磐海岸にも来ているんですよね。かなり入っているというのは、もう既に産総研の調査でも、それから、今日は来ておられませんけれども、東北大の調査でもわかっている。ですから、震源域としては、仙台の方だけではなくて、南までかなり来ているということを想定する必要はあるだろう、そういう情報はあると思うんですよね。そのことについて全く触れられていないのは、どうも私は納得できないんです。
○名倉安全審査官 事務局の方から答えさせていただきます。
産総研の佐竹さんの知見等が出ておりますので、当然、津波に関しては、距離があったとしても影響が大きいと。もう少し北側だと思いますけれども。地震動評価上の影響につきましては、スペクトル評価式等によりまして、距離を現状の知見で設定したところでどこら辺かということで設定しなければいけないのですけれども、今ある知見で設定してどうかということで、敷地への影響については、事務局の方で確認させていただきたいと考えております。多分、距離的には、規模も含めた上でいくと、たしか影響はこちらの方が大きかったと私は思っていますので、そこら辺はちょっと事務局の方で確認させていただきたいと思います。あと、津波の件については、中間報告では、今提出されておりませんので評価しておりませんけれども、当然、そういった産総研の知見とか東北大学の知見がある、津波堆積物とかそういうことがありますので、津波については、貞観地震についても踏まえた検討を当然して本報告に出してくると考えております。以上です。

○岡村委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、海溝型地震で、塩屋崎のマグニチュード7.36程度で、これで妥当だと判断すると断言してしまうのは、やはりまだ早いのではないか。少なくとも貞観の佐竹さんのモデルはマグニチュード8.5前後だったと思うんですね。想定波源域は少し海側というか遠かったかもしれませんが、やはりそれを無視することはできないだろうと。そのことに関して何か記述は必要だろうと思います。