・政府は増税を避け、「日銀引き受けの復興国債」を発行し、大復興と脱デフレに向け思い切った策に出よ!

9・11後の経済世界は端的に通貨、またはマネーで表される。そうみると、日本は負け組の代表であり、中国が勝ち組の頂点に立つ。
ブッシュ政権FRBグリーンスパン議長は住宅市場に的を絞り、住宅関連の証券化商品に資金を誘導し住宅ブームに火をつけた。
小泉政権ブッシュ政権の同意を得て03年に巨額の円売り・ドル買い市場介入に踏み切り、円安促進政策をとった。円資金は高い利回りを求めて米金融市場になだれ込み、米住宅市況をさらに押し上げた。
・中国は好機とみた。活気づく米消費市場に牽引(けんいん)されて自動車、家電などへの投資が活発化し、生産規模が拡大していく。貿易黒字などで流入するドルに連動させて通貨人民元を刷って国内投融資を活発化させるビジネスモデルを確立した。
・中国は米国からなだれ込んでくるドル資金を人民元に換え、国有商業銀行融資を増やしてきた。この結果、人民元のマネー(現預金合計)量は9・11直前からの10年間で5倍以上増えた。
・日本のマネー量は10年で20%しか増えなかった。「リーマン後」の危機に際しても、日銀はお札を増刷しようとせず、円高・デフレを放置した。国内総生産(GDP)規模は縮小し続け、昨年には中国に抜かれた。
菅直人政権は復興財源確保のために「増税」を真っ先に考える。政府も日銀も「円高・デフレ容認に傾斜する」のだから、民間の消費意欲はますます減退し、企業は投資に尻込みする。
・3・11後の日本の経済の進路は明白だ! 日本経済にとって、3・11の意味はもはや明白だ。9・11後やリーマン後に米国がとった金融・財政政策に倣(なら)うしかない。 日銀はお札を刷って市場から国債を買い上げる量的緩和政策は明日にでも実行可能だ!
そして政府は増税を避け、復興国債を発行し、大復興と脱デフレに向け思い切った策に出ることだ!
・政府は増税を避け、「日銀引き受けの復興国債」を発行し、大復興と脱デフレに向け思い切った策に出よ!

〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
【国際政治経済学入門】9・11後の勝者と敗者 日本のとるべき道は
05/18 12:51
 ウサマ・ビンラーディンの死で2001年9月11日の米中枢同時テロ後の対テロ戦争にひと区切りがついたが、9・11後の世界は何も米国主導の反テロ戦争で埋め尽くされているわけではない。
 9・11後の経済世界は端的に通貨、またはマネーで表される。そうみると、日本は負け組の代表であり、中国が勝ち組の頂点に立つ。米国はその中間に位置し、基軸通貨ドルの増刷により浮揚を図るが、中国の経済力をますます太らせる。
 3月11日に東日本大震災に遭遇した日本はここで思い切った財政・金融政策に打って出ないと、中国に圧倒され暗黒の淵に沈んでしまう。
 ニューヨーク・マンハッタン、世界貿易センターのツイン・ビルがテロ攻撃を受けて潰えたとき、隣接するウォール街は大きく揺れた。
 ウォール街は情報技術(IT)バブルの崩壊や巨大エネルギー会社「エンロン」の不正会計と経営破綻(はたん)の後遺症に苦しんでいる最中で、物理的な衝撃では説明がつかないほどの打撃を受けた。
 米連邦準備制度理事会FRB)のグリーンスパン議長(当時)はすぐさま大量のドル資金供給に踏み切り、以降、金融緩和路線を維持する。当時のブッシュ政権と米議会は翌月には「愛国者法」を制定し、テロ活動を封じるために米国に流入するマネーの監視を強化したが、アラブ産油国などの投資家は身元が米当局にバレるのを恐れ、対米投資を引き揚げる動きをみせていた。
 金融市場にてこ入れし、外部からの資本流入を促さないと、ドルも株も暴落しかねない。株式市場は低調、国債市場も不安定だ。これらに代わって市場をリードする分野はあるか、とワシントン・ニューヨークの要人たちは議論を重ねた。答は住宅市場である。
 ブッシュ政権FRBグリーンスパン議長は住宅市場に的を絞り、住宅関連の証券化商品に資金を誘導し住宅ブームに火をつけた。
 一方、日本では01年3月に日銀がゼロ金利量的緩和に踏み切り、脱デフレをめざすようになっていた。翌月には小泉純一郎政権が発足し、その改革路線がブッシュ政権から全面支援を受けていた。それでも、デフレ不況は改善しない。そこで小泉政権ブッシュ政権の同意を得て03年に巨額の円売り・ドル買い市場介入に踏み切り、円安促進政策をとった。円資金は高い利回りを求めて米金融市場になだれ込み、米住宅市況をさらに押し上げた。

 中国は好機とみた。01年12月の国際貿易機関(WTO)加盟を弾みにして、輸出に加速をかけていた。活気づく米消費市場に牽引(けんいん)されて自動車、家電などへの投資が活発化し、生産規模が拡大していく。貿易黒字などで流入するドルに連動させて通貨人民元を刷って国内投融資を活発化させるビジネスモデルを確立した。

■危機を放置した日銀の無策
 ところが米住宅市場と証券化商品はいずれもバブルとなって膨張し、08年9月に破裂した。 リーマン・ショックである。 米国の武器は連邦準備銀行券(ドル紙幣)だ。 FRBは不良資産化した住宅ローン担保証券、次には米国債の大量買い取りに乗り出した。FRBは結局現在までに約200兆円相当のドル資金を刷って金融市場に流し込んだ。資金の一部は株式に回り株価を引き上げるのに成功し、個人消費を下支えしている。
 中国は米国からなだれ込んでくるドル資金を人民元に換え、国有商業銀行融資を増やしてきた。この結果、人民元のマネー(現預金合計)量は9・11直前からの10年間で5倍以上増えた。北京はお札を垂れ流す一方で、人民元相場を小刻みに切り上げ、インフレ率を最小限に抑え込んで高度成長の持続に腐心している。
 対照的に、日本のマネー量は10年で20%しか増えなかった。「リーマン後」の危機に際しても、日銀はお札を増刷しようとせず、円高・デフレを放置した。国内総生産(GDP)規模は縮小し続け、昨年には中国に抜かれた。

 その最中での大震災である。日銀はひとまず25兆円の資金を金融機関に追加供給したが、ここへ来て回収に転じた。他方で米FRBはドル供給の高水準を保ちながらゼロ金利政策継続を発表した。ドルは円に対して余ると、円高ドル安が加速する。これが最近の円高の真相である。おまけに菅直人政権は復興財源確保のために増税を真っ先に考える。政府も日銀も円高・デフレ容認に傾斜するのだから、民間の消費意欲はますます減退し、企業は投資に尻込みする。
 中国は弱って貧しくなる日本をマネー力にもの言わせて、安く買いたたく。すでに東京都心の一等地などが相次いで中国資本に買収されている。

 日本経済にとって、3・11の意味はもはや明白だ。9・11後やリーマン後に米国がとった金融・財政政策に倣(なら)うしかない。日銀がお札を刷って市場から国債を買い上げる量的緩和政策は明日にでも可能だ。そして政府は増税を避け、復興国債を発行し、大復興と脱デフレに向け思い切った策に出る。まごまごしている場合ではない。
 (特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)