バイデン氏は改めて日本の「ポンすけ」政治に落胆して帰国したはずだ!

・5日、中国は国営新華社通信を通じて「最大の債権者として構造的な債務問題対処と中国のドル資産の安全確保を要求する当然の権利がある」と論じた!
オバマ米政権に「借金依存症を改めよ」と直言し、さらには「巨額の軍事費と社会保障費を削減しなければ、一層の格下げを招く」という要求も突きつけた!
・半年ほど前まで、人民元、海洋進出拡大、人権問題などで中国に「責任ある大国」の行動を求めていたのは米国であり日本だった!
・日米同盟にも憂慮すべき流れを生みかねない。日本が警戒すべき点はここにある!
ゲーツ前国防長官やパネッタ国防長官クリントン国務長官らは「アジア太平洋のプレゼンスを削減すべきでない」と口をそろえているが、油断は禁物だ! 民主党政権下の日本は米軍普天間飛行場移設問題で迷走し、米軍再編完了のめどが立たない!
・合理化・削減の波を在日米軍を含むアジア太平洋に至らせ米国のプレゼンス弱体化を図ることが 中国の戦略であり思うつぼだ!
・訪日したバイデン氏と会談した「ポンすけ」の菅直人首相は、そうした危機感も共有できず、同盟強化の具体的討議もできなかった。
バイデン氏は改めて日本の「ポンすけ」政治に落胆して帰国したはずだ!



〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
危険なささやきと同盟危機
論説副委員長・高畑昭男 2011.8.27 03:11

 バイデン米副大統領の中国訪問は7月に予定されていたが、世界を揺るがせた米債務危機のあおりで1カ月近く遅れたという。
 そのせいか、バイデン氏と習近平・中国国家副主席が初の公式会談(18日)で交わした次のような会話にも、債務危機後の両国の力関係の微妙な変化が象徴されていたような印象を受けた。端的にいえば、「守りのアメリカ」と「余裕たっぷりの中国」である。
 「米国にとっては中国との緊密な関係の確立が何よりも大切だ。世界経済の安定が米中協調にかかっていると確信する」(バイデン副大統領)
 「中米は相手の戦略的意図を正確に判断し、絶えず戦略的相互信頼を増進する必要がある」(習近平副主席)−

◆「軍事費を削減せよ」:
 膨脹を続ける中国の外貨準備高は今や3兆2千億ドル(約245兆円)、米国債保有額は1兆1千億ドル(84兆円)超に及ぶ。米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債の格下げに踏み切った5日、その中国は国営新華社通信を通じて「最大の債権者として構造的な債務問題対処と中国のドル資産の安全確保を要求する当然の権利がある」と論じた。それだけではない。
 オバマ米政権に「借金依存症を改めよ」と直言し、さらには「巨額の軍事費と社会保障費を削減しなければ、一層の格下げを招く」という要求も突きつけた。
 唯一の超大国を相手に「そこまで言うか」という気もするが、米国にとって中国が世界最大の債権国であることはもはや「世界の常識」だ。しかも軍事費、社会保障費削減は、米国民の間でも有力な声の一つになりつつある。

米大統領選の争点に :
 米国の草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」なども、軍事費、社会保障費削減を含む「小さな政府」を来年秋の大統領選の主要な争点にしようとしている。それだけに、再選を狙うオバマ大統領も、「勝手なことを言うな」と中国の要求をむげに一蹴できない内政事情を抱えている。
 バイデン氏の訪中はその約2週間後だった。同氏の補佐官は「訪中の主眼の一つは次期指導者(習近平氏)と緊密な関係を築くことだ」と語ったが、現実はそれ以上に中国要人に米経済・米国債の信頼性を説得するほうが切実な任務だったとみるべきだろう。
 巨額債務への対応を求められる米国は、弁明と守りに徹せざるを得ず、中国は余裕で「相互信頼」を売りつける立場だ。それが先のようなやりとりになったのではなかろうか。胡錦濤国家主席温家宝首相との会談でも、バイデン氏は債務問題や米経済の立て直しをめぐり、「米国の責任ある対応」を求められたという。

 だが、ほんの半年ほど前まで、人民元、海洋進出拡大、人権問題などで中国に「責任ある大国」の行動を求めていたのは米国であり日本だった。債務問題を機に、米中の力関係が揺らいでいるとすれば、日米同盟にも憂慮すべき流れを生みかねない。日本が警戒すべき点はここにあると思う。

 米大統領選は実質的に今秋から動き出す。とりわけ軍事費はどの国でも平時の予算削減の標的になりやすい。米議会や世論が内向きに転じて、海外プレゼンスの合理化に走ったらどうなるのか。

 ゲーツ前国防長官やパネッタ国防長官クリントン国務長官らは「アジア太平洋のプレゼンスを削減すべきでない」と口をそろえているが、油断は禁物だ。ただでさえ、民主党政権下の日本は米軍普天間飛行場移設問題で迷走し、米軍再編完了のめどが立たない。

 米議会には、現行計画を見直して嘉手納空軍基地の機能の一部を三沢やグアムに移す構想もある。そうなれば、中国や北朝鮮の脅威に対抗する日米の抑止機能や有事対応も再調整を迫られかねない。何よりも、合理化・削減の波が在日米軍を含むアジア太平洋に至らないことを望みたい。それでは中国の思うつぼになるからだ。

◆危機感が見えない日本 :
 「巨額の軍事費と社会保障費を削減しなければ、一層の格下げを招く」という中国の要求は、米国内の債務削減推進派に向けた誘いであると同時に、日米同盟の弱体化につながる「危険なささやき」でもあるといえるだろう。
 東日本大震災後の復興に加え、巨額の構造的債務や超円高を抱える日本も苦しい。だが、こういうときだからこそ、日米両国が支えあって同盟を強化・充実しなければ中国に対抗していけない。
 それなのに、訪日したバイデン氏と会談した菅直人首相は、そうした危機感も共有できず、同盟強化の具体的討議もできなかった。バイデン氏が改めて日本の政治に落胆して帰国したのでなければ幸いだ。(たかはた あきお)