・1年間1ミリシーベルトという一般人被曝限度基準の法律を作ったが、今回の事故発生の途端に国はさっさと決めた法律を反古にして、1年間に20ミリシーベルトの被曝まで我慢をしろとした!

・私が心配してるのは2つです
・1つはまだ原子炉の炉心というものが原子炉圧力容器の中に融けずに残っていて、それがある段階で冷却に失敗して溶け落ちるというようなことになると、その時点で水蒸気爆発という巨大な爆発を引き起こす可能性があります。
・もう1つはその東京電力と国が言っているように、すでにもう原子炉(※炉心の誤りか)が溶け落ちてしまっていると。少なくともどうも1号機に関してはそうらしいのですが。そうだとすると、溶け落ちた炉心は地面の中、地面を溶かしながらめり込んでいってると私は思います。」 地面には地下水が流れているから、地下水に接触して、放射性物質が外部に汚染を広げていくということになってしまいます。
・1年間1ミリシーベルトという一般人被曝限度基準の法律を作ったが、今回の事故発生の途端に国はさっさと決めた法律を反古にして、1年間に20ミリシーベルトの被曝まで我慢をしろとした!





〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
2011年08月25日08:27
「本当はもっともっと深刻な汚染なんだと国はまずは言わなければいけない」
小出裕章

「あのー小出先生、伺います。東京電力福島第一原子力発電所では、今、何が起きているんでしょうか」
小出「えー、大変申し訳ございませんが、正確にはわかりません」
「はい…」
小出「えー、それは東京電力や国が公表するデータ自身が、えー、信頼性がないから、です。えーそれは1つには国や東京電力がデータを隠しているということもあると思いますし、もう1つには国や東京電力自身が、正確なデーターを知ることが出来ないほど困難な状況にあるということです」
「うーん。ということは今、私どもは報道によって知るんですけれども。」
小出「はい」
「危機を脱する方向に向かっていて、収束のステップ1、2というところに向かっていると考えておりますが。これは向かっているんですか」
小出「えー、向かっていないです」
「いない?」
小出「はい。もともと東京電力がえー収束をさせるための工程表というものを公表した」
「しました」
小出「ね。4月の中頃17日だったと思いますが。えーその段階だと、原子炉のウランの燃料が炉心という部分はまだ形を保っているというそういう前提のもとに、その工程表自身が作られました。」
「はい」
小出「ただし5月になりまして、えー東京電力が原子炉の水位計という計器の調整をし直した結果、もう直ぐに炉心は溶け落ちてしまっていて、元の場所にないと言い出した、のです」
「はい」
小出「えー、溶け落ちてしまいますと原子炉の炉心を入れてる原子炉圧力容器という鋼鉄製の容器の破損、破損をしているはずで。炉心自身がもう圧力容器からもすでに溶け落ちてしまっている、状態だと私は思います」
「はい」
小出「多分東京電力も国もそれをある程度認めていると思いますが。そうであるともう当初東京電力が示した工程表そのものが全く意味がありません」
「あのー、そうしますとー、これから先に起こるかも知れないと、考えられる点というのはどういうところにありますでしょうか」
小出「はい。えーっと。今現在の状態がハッキリわからないという現在の中で、私が心配してるのは2つです。」
「2つ。はい」
小出「はい。1つはまだ原子炉の炉心というものが原子炉圧力容器の中に融けずに残っていて、それがある段階で冷却に失敗して溶け落ちるというようなことになると、その時点で水蒸気爆発という巨大な爆発を引き起こす可能性があります。」
「はい」
小出「それが起きてしまいますと、圧力容器という鋼鉄製のお釜も壊れてしまいますし、放射能を閉じ込める最後の防壁である格納容器も壊れてしまって、大量の放射性物質が空気中に吹き出してくるという、事になる可能性がある、あります。」
「はい」
小出「私はそれを恐れていますし、東京電力が今現在も原子炉の中に水を入れ続けているということは、その可能性を彼らも認識していて、そうならせないようにという苦闘が現在も続いているということです。」
「うーん」
小出「それが1つです」
「もう1つです」
小出「もう1つはその東京電力と国が言っているように、すでにもう原子炉(※炉心の誤りか)が溶け落ちてしまっていると。少なくともどうも1号機に関してはそうらしいのですが。そうだとすると、溶け落ちた炉心は地面の中、地面を溶かしながらめり込んでいってると私は思います。」
「はい」
小出「そうなりますと、えー、地面には地下水というものが流れているわけですから、地下水に接触してしまいますと、放射性物質が外部に汚染を広げていくということになってしまいます」
「はい」
小出「それは何としても防がなければいけませんので、私は地下に、えー、防壁を張り巡らせるということが必要だという提案をすでに2月くらい前からして、います」
「はい」
小出「えー、多分融けた炉心自身は5メートルとか10メートルぐらい、とき、地下を溶かしていってどこかで止まると私は思っているのですが。えー、その5メートルか10メートル下まで潜った炉心が地下水と接触しないようにそれなりの深さの防壁を張り巡らせるということをやらなければいけないと思います」
「それが2つ目ということになるんですね」
小出「そうです、それが2つ目です」
「で、我々は、政府は徐々にですね避難勧告を解除しようとしているということを知っていました。」
小出「はい」
「しかし、昨日、今日のニュースではですね、えー、小出先生、新聞を読みます。『福島第一原発3キロ圏居住禁止長期化へ、土地国有化も視野』というふうに出ています。」
小出「はい」
「で、この禁止措置は数十年続くとの見通しもある、ということなんですけれども」
小出「はい」
「これ、3キロ圏、だけで、済むことなんですか?」
小出「全くすみません」
「逆に言うと、あの、小出先生、何キロ、ぐらい外だと、ま今の段階で比較的、例えば安全だとかいうそういう距離的なものはあるんでしょうか」
小出「えー、まず基本的なことをお伝えしたいと思いますが、」
「はい」
小出「被曝というものはどんなに微量でも危険を伴います」
「はい」
小出「はい。えーそうであるがゆえに日本の国は、えー普通の一般の方々は1年間に1ミリシーベルトという被曝を超えて被曝してはいけないし、させてはいけないという法律を作った」
「はい」
小出「のですね。で、日本が法治国家だというなら、国がその法律を守るということは最低限の義務なはずなん、ですが。今回の事故が起きた途端に国はさっさとその自分が決めた法律を反古にしてしまいました。」
「うん」
小出「そして1年間に20ミリシーベルトの被曝まではもう我慢をしろという、ことで、今避難区域を決めている、わけです。ですから現在避難、をさせられている区域というのは、例えば飯舘村という村は原子力発電所から50キロも離れて、いますけれども。そういうところまでが1年間に20ミリシーベルトの被曝をしてしまうということになっている、わけです」
「はい」
小出「えーそういうところには到底人が戻っていいとは思いませんし、えーそういう地域はこれから何十年何百年とわたって無人地帯にしなければいけないと私は思い、ます」
「うーん」
小出「えーそして更に国が自分が法治国家だと言って、1年間に1ミリシーベルトという基準を守るのであれば、福島県全域に匹敵するくらいの土地を無人地帯にしなければいけません」
「うーーーーん」
「これやはり3キロ圏というのは、小出先生のお考えの中ではあまり、意味のないというか」
小出「まったく、馬鹿げた話であって、えーそういうところに人が戻れないなんてことは当たり前な、当たり前だし。そんな事はずうっと前に言わなければいけなかったし。本当はもっともっと深刻な汚染なんだということを国はまずは言わなければいけないんだと思います」
「あのー今入ってきましたニュースでみなさんにもお伝えするところなんですけれども」
小出「はい」
「このー、一部で長期化するという見通しになるということを受けて、菅総理大臣が今月の27日も福島県を訪れて、今後の見通しなども説明すると、いうことなんですが。もっと早くすべきだったということですね」
小出「当然です。で、今現在避難所に避難をされている方々は政府が本当の説明をしないがために、いつか自分たちが帰れるんではないかとそういう期待を持た、もたれてる方がほとんどだと思います。ただ私自身もこんなことをお伝えするのは大変心苦しいですけれども。もうすでに変えることは出来ないのです。」
「うーん」
「あのー、こないだもニュースでですね。」
小出「はい」
「福島の子供たちの45%が、ま、あの影響はないという風に言われながら内部被曝があのー、確認されたというニュースが入ってきてたんですけれども」
小出「はい」
「これから未来、ずっと生きてく、特に子供たちへの影響というのも心配をなさってる親御さん多いと思うんですが」
小出「はい」
「いかがでしょうか」
小出「必ず影響があります。」
「はい」
小出「はい。被曝というのはどんなに微量でも危険があると、いうのが現在の学問の到達点でして。えー、もうすでに子供たちを含めて被曝をしてしまったものは、これから将来長い年月の間に、えー何がしかの危険として現れてくることになります」
「えー今日のSTVラジオ、牧とのりおのスーパースクランブルは京都大学原子炉実験所の小出裕章助教にご出演いただいてお話を伺っています。原発放射線の危険性について伺っていますが。小出先生。あのー、泊原子力発電所というのは私ども北海道にあります。」
小出「はい」
「営業運転を再開しました」
小出「そうですね」
「これについて、先生のお考えを伺いたいのですが」

小出「(苦笑)。まあ私は全ての原子力発電所を即刻止めろというふうに求めてきた人間、ですので。えー、特に今回のような事故を経験した以上は、もちろん止まるものだと思っていましたし、止まっていたものがまた動くなんてことは私からみると、想像を絶すること、です。えー、それを許可した国というのも、随分非情な国だと思いますし、北海道、という自治体も、まあ国から色々な甘い汁をちらつかされたのだと、思いますけれども。えーそんなものを受け入れずに踏みとどまって欲しいと。私は願っていました。大変残念です。」
「はい。あのー、問題点はどこにあるかという質問を先生にしていいですか」
小出「はい。えーともちろん原子力発電所というそのもの自身が今回の福島原子力発電所の事故が示したように膨大な危険物、なのです。」
「はい」
小出「もちろん私は事故を起こし、起こして欲しいなどと思ってるわけではありませんし。今回の事故も本当に無念だ、だと私は感じていますけれども。泊の原発にしても、ひょっとしたらば事故を起こすという可能性はある、わけです。」
「はい」
小出「ですからいかなる原子力発電所もすぐに止めて欲しいというのが私の願いですし。特に泊の3号機という原子炉は、えー、プルトニウムという猛毒物質を燃料に混ぜて燃やすというそういう特殊な原子炉ですので。そんな原子炉は、動かしてほしくないと思い続けていました。」
「先生の、本、『放射能汚染の現実を超えて』という中にですね、命が大事、ということであれば原子力を推進している人たちにも否定しない、しかし決定的に大切な事は自分の命が大事であると思うときには他者の命も大事であると、こう考えるべきだとあります。ここに立たなければいけないということですね」
小出「そう思います」
「うーん。つまり我々の石狩川の水はですね、セーヌ川につながってるかも知れないとか、私たちが吸う空気はもしかしたらモスクワの方達が出すため息かも知れない、というそういう考え方をこれから我々は持たなければいけないということになりますか」
小出「はい。そうして欲しいと思います」