・中国は国際規範を真っ向から無視する「ならずもの国家」だ!

・中国の海洋戦略の大きな特徴は二つ、まず第一は海洋向けの兵器、つまりハードウエアの強烈な増強 = 空母の配備、全世界で最も活発とされる潜水艦の開発と配備、さらに海上の大型艦艇を地上から撃沈するための 射程1500キロの新型中距離弾道ミサイル東風21Dだ!
・第二には中国の海洋への対応が基本的に国際社会では無法性が強いことだ!
・石油の輸入増大が海洋の安全を不可欠とする、同時に海洋経済資源の開発が必要を増す、 さらには領海、領土を守るための海洋戦略強化が欠かせない!
・中国は2006年に新たな声明を出し、海洋法が規定している紛争解決ための国際機関への提訴の義務付けは受け入れないと宣言した!
・中国は国際規範を真っ向から無視する「ならずもの国家」だ!


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国の海洋戦略がなぜ危険なのか
古森義久
2011.09.10 Saturday
 中国の海洋戦略についての古森義久の講演内容の紹介を続けます。日本会議国会議員懇談会での講演です。
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 アメリカのそうした熱のこもった中国軍事研究のなかでもとくに強い関心集めているのが中国の海洋戦略です。中国が軍事や安全保障がらみ で最もダイナミックに、挑発的に、躍動しているのが海洋戦略面であり、アジア・太平洋地域でのアメリカの安保態勢への正面からの挑戦とも映るようになって きたからです。

 中国の海洋戦略は海軍力の大増強と一体であり、アメリカだけでなく日本をはじめとする周辺諸国への影響も重大です。この点へのアメリカの関心は海軍大学校に特別に「中国海洋研究所」という調査研究組織を設立するところまで高まりました。
 さて中国の海洋戦略の大きな特徴は二つ、まず第一は海洋向けの兵器、つまりハードウエアの強烈な増強です。海軍の戦闘能力の強化とし て、日本でも騒がれた空母の配備、全世界で最も活発とされる潜水艦の開発と配備、さらに米側をいま最も心配させる海上の大型艦艇を地上から撃沈するための 射程1500キロの新型中距離弾道ミサイル東風21Dの登場も象徴的です。

 第二には中国の海洋への対応が基本的に国際社会では異質であること、まあ異質と いうのは控えめな表現で、実は無法性が強いことです。

 他方、中国が海洋活動を強めることは自然だという見方もあります。中国当局が昨年、発表した「海洋発展報告」は、中国が貿易依存を高め るにつれ海上輸送路の確保が致命的に重要となり、とくに中東からの石油の輸入の増大が海洋の安全を不可欠とする、同時に海洋経済資源の開発が必要を増す、 さらには領海、領土を守るための海洋戦略強化が欠かせない、と強調しています。

 たしかに中国の最近のグローバルな経済活動が積極果敢な海洋戦略を求めると いう側面があります。リビアの革命では現地で働いていた中国人の労働者、技術者数万人の避難に中国の艦艇が出動しました。アデン湾などでは海賊対策のため の中国艦艇が常時、活動しています。

 しかしそれでもなお中国の海洋戦略にはアメリカを含む他の諸国に脅威を 与える特徴がいくつかある。

第一は国際規範の無視です。

 すでにご存知のように、国連海洋法条約では沿岸から200海里のEEZ排他的経済水域)の域内で は海洋資源の開発は沿岸国の独占的な権利がほぼ主権のように認められていますが、軍艦を含む外国船舶の域内の航行は自由です。
 しかし中国は1996年にこの条約を批准したとき、一方的に自国EEZ内の外国の軍事艦艇の航行は沿岸国である中国の許可を必要とすると宣言しました。EEZ上の空を飛ぶ外国の軍用機も同様だというのです。
 さらに中国は2006年に新たな声明を出し、海洋法が規定している紛争解決ための国際機関への提訴の義務付けは受け入れないと宣言しました。つまり海洋紛争、領土紛争は国際海洋法裁判所国際司法裁判所には持ち込まないし、それら裁判所が裁定を下しても従わない、というのです。だから中国との海洋領有権紛争では国際調停というのは成り立たなくなります。(つづく)