日本が法治国家というのであれば、自分が決めた法律を守って、1年間に1ミリシーベルト以上のところには人を住まわせてはいけない!

・そもそも冷温停止なんていう専門用語が使えるような状況になってない!
・燃料はもう圧力容器を突き破って、恐らく格納容器あるいはその外にもう出ている。格納容器すでに突き破って、下に地面の中にめり込んでいっているという可能性はやはりあるだろう。
・温度計は圧力容器の温度を測っているだけで、融けた炉心の温度を測っているわけでもない。
・日本の国には、普通の人は1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をさせない。させてはならないという法律がある。
日本が法治国家というのであれば、自分が決めた法律を守って、1年間に1ミリシーベルト以上のところには人を住まわせてはいけない!
もちろんそこに今避難している人たちを帰してはいけない!

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神保「あのー、ま、福島の現場について、お伺いしたいんですが。その、今まあ、仕切りと政府は、温度は下がって冷温停止状態に、まあ、1,3号機ではもう100度以下になってると。」
小出「はい」
神保「後2号機は温度が下がれば、っていうようなことをいっていますが」
小出「はい」
神保「まずこれは、その政府のもう言ってる通りに受け止めて大丈夫なんですか?この冷温停止
小出「全く馬鹿げた事を言っています」
神保「はあはあ」
小出「はい。えー、冷温停止という概念は、原子炉という構造物が一応その構造物としては健全な形があるということを前提としています。例えば原子炉圧力容器という鋼鉄製の御釜が健全で、その中に炉心と呼ばれているウランのあるものがですね、とにかくそこに残っていると」
神保「残っていると、はい」
小出「で、そこで熱を出しているときに、なんとか水を入れて冷やして100度以下にすると、いうのが冷温停止なの…私たちが使うテクニカルターム、専門用語なのですけれども。」
神保「はい」
小出「もう東京電力自身が、炉心はメルトダウンしてしまって、圧力容器の底が抜けて、もうないと、その圧力容器の中には、もうかなりの部分がないと」
神保「残ってないと、はい、はい」
小出「ですからもあの、そもそも冷温停止なんていう専門用語が使えるような状況になってない、のです。で、皆さんあの、ちょっと想像して欲しいんですけれども。お釜の中にその発熱体がもし残っていればですね、温度は上がるわけですけれども。発熱体そのものがもう無いとすれば、むしろその温度が上がってはおかしいわけで、100度以下になってむしろ当たり前ということになってしまいます。」
神保「はい。はい。つまり先生これはね」
小出「はい」
神保「ここでいう100度以下とか、冷温停止って呼んでいるものは、すでにもうその核燃料の入っていない圧力容器の温度のこと」
小出「そうです」
神保「を言ってるということなんですね」
小出「そうです」
神保「ね。そもそも燃料はもう圧力容器を突き破って、恐らく格納容器あるいはその外にもう出ているわけなので」
小出「はい、はい」
神保「そこが、何度になっているかを示しているわけではないという事ですね」
小出「そうです。まったくあの意味が無い温度を問題にしています。」
神保「そうすっとまあ、要するにこれで冷温停止と呼んでいるのは、単に間違いっていうよりも、明らかに不誠実というか、ごまかしているというふうに理解していいんですか? これは」
小出「少なくとも専門的にいうならば、ごまかしてる、あるいは不誠実だと私は思います」
神保「なるほど。そこで先生、問題はですね」
小出「はい」
神保「じゃあ、まあこの圧力容器の温度っていうのはそもそも燃料が入っていない温度を言ってるので、もうまた論外だとして。」
小出「はい」
神保「燃料が外に出てるわけですが」
小出「はい」
神保「それは今、どのような、どこにあってどのような状態になっていると考えればいいですか?」
小出「それが私にもよく分かりません。えー、圧力容器からほとんどのものが出てしまっているだろうとは私は思いますけれども。それが格納容器といっているもう一つ外側の容器の中にあるのか、あるいは格納容器をすでに破壊して、地面の下に潜っていっているのかと。いうところに関しては、よく、私にもわかりません。」
神保「わからない」
小出「ただその、格納容器すでに突き破って、下に地面の中にめり込んでいっているという可能性はやはりあるだろうと思います」
神保「うん。ということはまだ外に出ている燃料はかなり高温な状態で、あの、此処で言ってるような100度以下なんてとんでもない」
小出「(咳)」
神保「高い温度で、冷やしきれてない可能性が十分にあるということですか?」
小出「もちろんそうです」
神保「ただそれが温度計で図れていないというだけということですね」
小出「そうですね。温度計は圧力容器の温度を図っているだけですから。えー融けた炉心の温度を測っているわけでもないし、」
神保「なるほど」
小出「地面の下にめり込んでいってる、その部分が何度になっているかなんてことは、全く測れない状況のままいるわけです」
神保「なるほどなるほど。あと、これは是非小出先生に1回聞かなきゃいけないと思ってたんですけどね。」
小出「はい」
神保「先生、1号機については、そのー、まあ水位計というものをつけてみたら、まあほとんどない、あるいは全くないっていう」
小出「はい」
神保「要するに計測限界以下だったので」
小出「はい」
神保「まあゼロ、の可能性が高いです」
小出「はい」
神保「殆ど無いことがわかったと。」
小出「はい」
神保「ただ2号機3号機ってまだ分かってませんよねえ、それが」
小出「そうです」
神保「1号機がまあメルトダウンメルトスルーしたんで多分2号機3号機もしただろうっていう前提で話がすすんでいますが。」
小出「そうです」
神保「まだ、2号機3号機は燃料が実は、半端な形で中に残っている可能性ってのもありませんか」
小出「もちろんあるのです。えー、1号機の場合には原子炉建屋という中に入ることができて、原子炉水位計の調整をし直した結果、水がないことがわかってきてるわけですけど。」
神保「はい」
小出「2号機と3号機の場合にはまだ原子炉建屋の中に入ることすらできてませんので。えー中の状態がどうなっているか正確にはわからないと」
神保「ですよね」
小出「そういう状況で今があります」
神保「ということは今、2号機3号機も、メルトダウンあるいはメルトスルーしたといういことを前提のようにしゃべっているのは、たまたま1号機がそうだったから多分2号機3号機もそうだろうと言ってるだけという理解でいいんですか」
小出「はい。その神保さんが仰っているとおりです」
神保「そこでね、先生、もし中に残ってるとすれば」
小出「はい」
神保「なんかあの政府の感じでは危機的な状況を完全に去ったという印象の発言が多いんですけどもね」
小出「はい」
神保「一番この原発事故で心配な、いわゆる水蒸気爆発のリスクっていうのは、もしまだ中に逆に残っていると…」
小出「はい」
神保「2号機3号機については、十分にその危険性は去ったというふうには言えないんじゃないかというのを」
小出「はい」
神保「心配してんで、そこはどうでしょうか、先生」
小出「それも神保さんのおっしゃるとおりで。私もその水蒸気爆発ということを恐れてずうっときましたし」
神保「はい」
小出「なんとか、そんなことがない、と言いたいですけれども。もう水蒸気爆発はありませんという、ふうに自信を持って断言できない、という状態に私はあります」
神保「だから、ちょっと変な話ですけれども。外に出てくれたほうが…」
小出「(笑)」
神保「水蒸気爆発のリスクは減るっていう…」
小出「そうですね」
神保「おかしな話になっちゃっているわけですね」
小出「はい。あの、もう地面にめり込んでくれるなら、地面の中で水蒸気爆発というのは多分起こらないと思いますので」
神保「起こらない、うん」
小出「むしろそのほうが大量の放射能が大気中に出てくるという意味では、危険が少ないと思います」
神保「なるほどー。あと先生、もう1点なんですけども」
小出「はい」
神保「あのー、再稼働問題について先生のご意見をお伺いしたいんですけどもね」
小出「はい」
(続き)
神保「なるほどー。あと先生、もう1点なんですけども」
小出「はい」
神保「あのー、再稼働問題について先生のご意見をお伺いしたいんですけどもね」
小出「はい」
神保「あのーいよいよまあ、そのー、えー、ストレステストというのを始めるという話になっています」
小出「はい」
神保「んで、ストレステストがひとまず通れば、その燃料注入して、調整運転、いわゆる再稼働のプロセスが始まるということで、ストレステストをやってるようなんですが」
小出「はい」
神保「一方で今の体制っていうのはあれですよね。原子力安全いい…原子力保安院ってのが経産省の中にまだあって、」
小出「はい」
神保「人事的にもその、えー、参加にあるっていうまんまの体制で、」
小出「はい」
神保「今の今回の災害を起こしたとおんなじチェック体制で再稼働のあるいはストレステストの評価を仕様としていますね」
小出「そうですね。はい」
神保「先生、この再稼働の体制、今政府がやろうとしている、事について、先生、どのようにお考えになりますか?」
小出「まあ、その神保さんおっしゃったとおり、その、今のストレステストというのは、これまで続いてきた体制のままやろうとしているわけですから。」
神保「はい」
小出「もう論外だと私は思います」
神保「論外、はあはあ」
小出「はい。でその上で、もう1つ私は言いたいのですけれども。これまでだって様々に、いろいろな計算をしながら、いろいろなテストを繰り返しながら、原子力発電所だけは絶対に壊れませんと言ってきた、のですね。それでもやっぱり、思いもしないような形で壊れて、いるわけで。どんな計算をしてもどんなテスト をしても、やはり壊れる時はあるということを覚悟しなければいけないということを今回の事故は教えてくれたのだと思います」
神保「なるほど。すると先生ね。」
小出「はい」
神保「ちょっと前後しちゃうんですけども。今回冷温停止が、ほぼできたので、避難区域を解除するっていうような話が政府から出ていますが」
小出「はい」
神保「これは先生は、あの、いかがですか。賛成ですか、反対ですか」
小出「えーっとですね、この問題は大変微妙な問題なんですけれども」
(続き)
神保「はい、はい」
小出「えー、今現在、日本の国というものが、避難指示を出してる、というのは、1年間に20ミリシーベルトの被曝を越えるようなところに対してだしている、のですね」
神保「はい」
小出「ただし、20km圏内とかいうところには、えー緊急時避難準備区域というところがあって、そういうところは20ミリシーベルトは超えないだろうと、いう、推定になっているのですね」
神保「はい、はい」
小出「で、そういうところに、今日本の国は、人々を返そうとしてるわけですけども」
神保「ふん、ふん」
小出「もともとその20ミリシーベルトというものは違法なわけです」
神保「あー、基準でね。はい、高すぎると。はい」
小出「はい。えー、日本の、日本というこの国は法治国家と言ってきて、法を破ったらば国家が処罰をすると言ってきた」
神保「はい」
小出「わけですが。この日本の国には、普通の人は1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をさせない。させてはならないという法律がありました」
神保「はい」
小出「要するに国家はそれを定めたわけ、ですが」
神保「はい、はい」
小出「その法律を国家自身が簡単に反古にしてしまって、人々に被曝を強制しようとしている、わけですね」
神保「はい」
小出「もし日本の国が自分で法治国家だというのであれば、自分が決めた法律を守って、1年間に1ミリシーベルト以上のところには人を住まわせてはいけない。もちろんそこに今非難している人たちを帰してはいけないということになると思います」
神保「はい、うーんなるほど。まあそもそも先生ね」
小出「はい」
神保「1ミリシーベルトという基準自体も、原発推進するICRPの基準なわけですからね」
小出「そうです(笑)。そうです。」
神保「それ自体、もともとちょっとあやしいというか、ちょっと心配なところに」
小出「はい」
神保「それを20倍にしたってことですもんね」
小出「そうです」
神保「はい、分かりました。先生どうもありがとうございました」
小出「はい。ありがとうございました」
アナ「はい、この時間は京都大学原子炉助教小出裕章さんにお話を伺いました。一言小出さんのお話を聞いて」
神保「いやあ、もう小出先生と話すとついつい、話しちゃって、まだまだほんとは聞かなきゃいけないこと。でも一番重要なのは、まだ2号機3号機についてはまだわからないんだということが今日の話では一番重要なんだと思います」
アナ「そうですね。まだまだわからないことがたくさんあるということが、深刻な情報ですよね」
神保「はい」
(完)