・南シナ海の緊迫は中国の最近の攻勢的な主権主張や軍事がらみの行動が原因だ!
・南シナ海の緊迫は中国の最近の攻勢的な主権主張や軍事がらみの行動が原因だ!
・南シナ海は中国の占有物ではなく、アメリカは航行の自由を強く求める。
・アメリカ自体に重大な意味を持つ南シナ海での航行の自由が抑えられる危険への懸念だ!
・南シナ海はマラッカ海峡を通って全世界の総貿易量の三分の一、石油の全海上輸送の二分の一が往来している。
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アメリカが南シナ海をなぜ警戒するか
古森義久
2011.09.15 Thursday
中国の海洋戦略とアメリカの対応についての私の講演内容の紹介を続けます。先月、東京での国会議員懇談会での講演でした。
アメリカがいまなぜ南シナ海での中国の動向を警戒するのか、をこの部分では説明しています。日本にも重大な関連のある状況です。
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さてこうした中国の海洋戦略の展開に対し、いまアメリカが最も懸念しているのは南シナ海です。
この6月にワシントンで開かれた「中国とアジア・太平洋」と題する大きな会議で米海軍太平洋艦隊のパトリック・ウォルシュ司令官が司会役から「いまあなたが日夜、軍事的な警戒を最も絶やさない地域はどこですか」と問われました。
司令官はためらわずに「あまりに多くの領有権紛争が存在する南シナ海です。そこでの不測の軍事衝突という可能性にいつも注意しています」と答えました。
その緊迫は中国の最近の攻勢的な主権主張や軍事がらみの行動が原因だという見解は米側では一致しています。ヒラリー・クリントン国務長官が昨年7月、ベトナムのハノイでの東南アジア諸国連合(ASEAN)の会議で南シナ海での中国の海洋戦略を厳しく批判したことも、米側のこの海域への懸念の高まりの表れです。
同長官は「南シナ海は中国の占有物ではなく、アメリカは航行の自由を強く求める」と述べました。アメリカの歴代政権は他国同士の領有権紛争にはたとえ同盟国が当事者でも原則として介入してきませんでした。
だから南シナ海での紛争にも長い年月、距離をおいてきたのですが、ここへきて不満が高まり、ついに介入を辞さずという構えをみせました。
その理由は先に申したウォルシュ司令官の言のように、実際の軍事衝突の危険への懸念だけでなく、アメリカ自体に重大な意味を持つ南シナ海での航行の自由が抑えられる危険への懸念だといえます。
この点、太平洋統合軍のロバート・ウィラード司令官もトモダチ作戦の総括を説明した最近の演説で南シナ海の重要性を経済安全保障の観点からも力説していました。南シナ海はマラッカ海峡を通って全世界の総貿易量の三分の一、石油の全海上輸送の二分の一が往来している、というのです。(つづく)