・中国の意図として究極的には、南シナ海での覇権追求の動きは長期的に第一列島線内での制海権、制空権の獲得を目指す動きだ!

・中国の意図について南シナ海重視の基本は明らかで、まず防衛上の自陣営領域の拡大だ! 安全保障上の緩衝地帯の拡大ともいえる。南シナ海全体の主権を確立することで、他国の軍事関連のプレゼンスを遠ざける。
・第二には南シナ海の自然資源の独占の意図だ!
・第三には地域統合で、南シナ海の制覇により周辺の東南アジア諸国を中国の主導に従う国家群にするという意図だ!
・中国の意図として究極的には、南シナ海での覇権追求の動きは長期的に第一列島線内での制海権、制空権の獲得を目指す動きだ!



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中国の南シナ海での真の意図
古森義久
2011.09.17 Saturday

 中国の海洋戦略をアメリカがどうみるか。私の東京での講演の紹介を続けます。今回は中国が南シナ海での攻撃的で理不尽な行動により、いったい長期にはなにも目的としているのか、についでです。
 では中国は南シナ海でなにを意図しているのか。ちなみに中国当局南シナ海を台湾やチベットと並ぶ「核心的利益」の対象とみなしている姿勢をちらつかせます。
 一部の中国政府高官がそう述べるのです。しかし政府全体としては公式にそう断定したことはありません。
 とはいえ南シナ海重視の基本は明らかです。中国の意図についてアメリカの中国海洋研究所のピーター・ダットン所長はまず防衛上の自陣営領域の拡大をあげています。
 安全保障上の緩衝地帯の拡大ともいえ ます。南シナ海全体の主権を確立することで、他国の軍事関連のプレゼンスを遠ざけるというのです。
 中国軍部は本来、大陸を舞台とする陸軍が主導してきたの で、海洋に対しても輸送路とか交通路としてよりも、自国の領土の延長としてみる意識が強いのだともいいます。

 第二には南シナ海の自然資源の独占の意図だといいます。
 領有権を争う相手国をすべて排除すれば、資源を独占できるというのは、わかりやすい理屈です。そして
 第三にはダットン氏は地域統合という言葉を 使いました。
 これは南シナ海の制覇により周辺の東南アジア諸国を中国の主導に従う国家群にするという意図だそうです。   これはきわめて不吉な分析です。

 海洋の制覇、主権、主導権の確立は中国が近隣諸国を仕切るという展望を示すというからです。国防総省の元中国部長でいまはワシントンの大手研究機関AEIの上級研究員のダン・ブルーメンソール氏は中国の南シナ海での意図として「台湾への攻撃能力を確実にしておくこと」と「南シナ海からインド洋や太平洋に向かってのパワー・プロジェクション(遠隔地への兵力投入)能 力の構築」とをあげました。
 同じく国防総省で中国の軍事戦略を分析したディーン・チェン氏、いまは同じワシントンのシンクタンクヘリテージ財団」の研究員ですが、中国の南シナ海での覇権追求の動きは長期的に第一列島線内での制海権、制空権の獲得を目指す動きだと分析しています。
 第一列島線というのは中国 自身がその海洋戦略に関して使っている用語で、中国本土から南や東へ最大1500キロほど、台湾、フィリピン、沖縄、九州などをおおまかに結ぶ線のことです。
 この海域内での動きをコントロールできる能力を開発するという戦略目標の基盤が南シナ海での動きだというのです。(つづく)