・中国ブロックが拡大し、韓国が「ホンコン化」したときにこそ、「サウス・コリア」という土地の経済発展に最も尽くす基盤整備となるであろう!

・ EU(欧州連合)やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、「資本が国家を超えないなら、超えるシステムを作ってみよう」という、新しい定義になり、「何々しよう」という試みなので、戦略を含む。国力の強い国と弱い国が藩主の如(ごと)く集まり、経済諸藩国のようにブロック化する。
・中国とブロック化すれば政治的意図でレアアース(希土類)を止められたりし、過去の歴史から中華思想王国の臣下扱いに甘んじなければなるまい。
・韓国で左派政権が立てば韓国が北を支援、右派政権が立てば中国が援助するという「たかり国家」の体制を北朝鮮は築き上げた。
「たかり国家」の体制が存続する限り北朝鮮が経済破綻で滅亡することはない。
・金総書記の早すぎる死は北朝鮮に中国を呼び込み、経済王国の経済植民地が一つ増える。来年の大統領選で韓国に左派政権が誕生した場合も、近い状況が生まれることが危惧され、左派政権が呼び水になり中国資本がより南下しやすい環境が整う。
・左派政権が呼び水になり中国資本がより多く入ると、「脱南」が発生し、韓国の国家としての意義も次第に失われていくが、そんな危機感を韓国人は肌で感じているから、反日ナショナリズムと韓流フィーバー自賛によって、やり場のない鬱憤を晴らす。
・中国ブロックが拡大し、韓国が「ホンコン化」したときにこそ、「サウス・コリア」という土地の経済発展に最も尽くす基盤整備となるであろう!


〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
中国ブロック朝鮮半島に広がる
筑波大学大学院教授・古田博司 2011.11.8 03:09 [正論]

 「資本は国境を越えるが、国家は超えない」。モダンな時代の古い世界の定義である。だから世界がブロック化すると、一番強い国が盟主になり、経済王国化した。 経済王国たちが争った結果、世界は大戦を経験することになる。
≪新旧ブロック化併存する世界≫:
 今のポストモダンの時代では、「資本が国家を超えないなら、超えるシステムを作ってみよう」という、新しい定義になった。「何々しよう」という試みなので、戦略を含む。 EU(欧州連合)やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)がそれだ。国力の強い国と弱い国が藩主の如(ごと)く集まり、経済諸藩国のようにブロック化する。
 ロシアが提唱するユーラシア共同体は古い経済王国であり、ポストモダンの経済諸藩国のブロック化ではない。今の世界には、古いブロック化と、新しいブロック化が併存しているのだ。ゆえにTPPを作らなければ、中国が古いブロック化を試みてこよう。これを防ぐためにも、環太平洋の国々がこぞって新しいブロック形成へと向かっているのは意味がある。
 中国が参加しなければ外需は取り込めないから、中国を入れてFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)にしようなどというアジア主義者が後を絶たない。だが、中国とブロック化すれば政治的意図でレアアース(希土類)を止められたりし、王国の臣下扱いに甘んじなければなるまい。ポストモダンの新しいブロックに参加しなければ日本は過去に引き戻されることになる。歴史好きの日本人でも、それを良しとしないと信じたい。
 諸新聞が、「かけがえのない隣人」「未来志向の隣国」「世界市場のライバル」と、競って持ち上げる近くて遠い国の韓国は今、FTA(自由貿易協定)で活況のように見える。だが、経済はともかく、国同士の勝負では北朝鮮が圧倒したのを忘れてはならない。
 核をナイフだとすれば、刺す必要はない。ナイフで右頬と左頬をなでられれば手も足も出ない。右頬は昨年3月の韓国哨戒艦撃沈であり、左頬は11月の延坪島砲撃である。今年6月には、韓国政府が北朝鮮の謝罪を穏便にし、首脳会談をしようと金銭で誘ったことを北朝鮮の国防委員会に暴露され、韓国国会は大いに荒れたものの、結局、泣き寝入りに終わった。

≪北は経済王国の植民地化する≫:
 北朝鮮の経済が破綻していることはすでに皆が知っている。1993年には計画経済を放棄し、90年代後半には「苦難の行軍」という飢饉(ききん)の時代で多くの人口を失った。昔の中国の大躍進と文化大革命の時代に似ている。人民を、勝手に食ってろと放り出し、国力を核開発に集中させた。そして核を手に入れた結果、韓国で左派政権が立てば韓国が北を支援、右派政権が立てば中国が援助するという「たかり国家」の体制を築き上げた。もはや、北朝鮮が経済破綻で滅亡することはないのである。
 3代目の継承はうまくいっているとはいえない。20代で若すぎるのである。それが証拠に去年の9月に党規約を改正し、軍の指揮権を国防委員会に移し、老軍人たちに金正恩氏を摂政させた。ことあるごとに中国共産党と中国軍の後ろ盾を強調し、今年2月には、中国の公安相に「朝鮮革命の継承問題は輝かしく解決された」と発言してもらった。だが、重要な接見や基幹的な生産拠点へ、金正日総書記は息子の正恩氏を同行しない。幼く貫禄がないからである。
 この脈絡でみれば、金総書記の早すぎる死は北朝鮮に中国を呼び込むことになろう。経済王国の経済植民地が一つ増えるのである。その結果、中国資本が国境を越える。この予測に基づけば、来年の大統領選で韓国に左派政権が誕生した場合も、近い状況が生まれることが危惧される。左派政権が呼び水になり中国資本がより南下しやすい環境が整うからである。

≪韓国は「ホンコン化」する?≫:
 韓国企業はすでに多くがグローバル化している。韓国に本社がある必要はない。韓国人の米国への脱南移民はすでに推定300万人を超えている。韓国が前述したような環境になれば、さらに多くの「脱南」が発生し、韓国の国家としての意義も次第に失われていくことになるだろう。そうした危機感を韓国人は肌で感じており、ゆえに、反日ナショナリズムと韓流フィーバー自賛によって、やり場のない鬱憤を晴らすのである。
 韓国のFTAの活発化はこのような状況にこそ相応(ふさわ)しいものであり、韓国が「ホンコン化」したときにこそ、「サウス・コリア」という土地の経済発展に最も尽くす基盤整備となることであろう。
 金総書記が予想に反して長生きした場合、3代目は指導者としての実績を持つことができるだろうか。現在、正恩氏が特別に任ぜられている煕川水力発電所建設という課題がある。このため正恩氏はここ数年、足繁(あししげ)く現地に通うが、父の宣伝扇動部門のように課題が大きくないことが彼の器量を予想させる。なお、北朝鮮の「強盛大国」の表現が「強盛国家」に変わったというのは日本の報道の誤りで、現在7対3で併存している。(ふるた ひろし)