臨界が起きているという状態と、自発核分裂だけだという状態では、生成してきてくるキセノンの量は相当違う

・今現在融けた炉心がどこにあるかすらがわからないというそういう状態…ですから、なかなか、判断するということ自身が難しいと思う。
…臨界が起きているという状態と、自発核分裂だけだという状態では、生成してきてくるキセノンの量は相当違う。…どちらかだということは比較的容易に判断できるはず」
・臨界というのはもう物理学的に明確な定義がある。
核分裂の連鎖反応が続くという、それが臨界です。今回の場合は、……崩れてしまった燃料で核分裂の連鎖反応がもし続いているとすれば、『臨界』あるいは、『再臨界』と呼ぶ。そうではない全く別の物理現象である『自発核分裂』。


〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
2011年11月08日08:51  
東電が『臨界』の判定基準を見直し 2011年11月7日(月)
小出裕章   毎日放送たね蒔きジャーナル
1:小出裕章が語気を強めて批判、東電が『臨界』の判定基準を見直し 11/7(1)
2:小出裕章が語る、福島県チェルノブイリ視察。「農地が汚染されたときにはどれほど回復が困難か。実は歴史的に分かっていた」11/7(2)

水野「えーまずですね。福島第一原発2号機で先週、再臨界の可能性があると東電が発表いたしました。その時に小出先生おっしゃったのは、それは非常に考えにくい、間違いではないか、とおっしゃたら後日、そのとおり再臨界ではなかったと、いう話になりました」
「そこで、なんですが。リスナーのかたがご指摘くださいました。えー……今回のキセノン検出に絡んで、臨界、の判定の基準を見直し再検討するんだそうですね……そんな話が出てきてるんですね、実は。」
小出「はい」
水野「だから今回、再臨界しているのかしていないのかと、いう話になったわけですけれども」
「これ……の、ま、ある種、混乱が起こった原因は、臨界の判定基準にあると、いう事になってきたのだそうです」
「それで、え…この判定基準を変えましょうと、いう話になってるんだ、ですよね」
小出「それはどこでなってるんですかっ?」
水野「うふふ(笑)。これが不思議な話ですけども。えー……これ結局だから、東電…ですよね?」
平野「東電ですねえ。」「あの……東電が判定基準について経産省に、報告したというようなことを言ってますねえ。見直しを含めて」
「そんな、あの……東電にあの見直しするような権限もありませんよねえ、先生」
小出「(笑)そんな基準はもともとありません」
水野「えっ。じゃあね、おろちさんというご質問……もともと専門家の中ではどういうものを臨界と呼ばれてるんですか。国や東電は以前にも『冷温停止』という言葉の定義も都合のいいように勝手に変えてしまったように思います。定義や基準を意図も簡単に変えることには賛成できません。とおっしゃっているのですが、先生のご意見いかがでしょう」
小出「臨界というのはもう物理学的に明確な定義があります」
核分裂の連鎖反応が続くという、それが臨界です。今回の場合は、……崩れてしまった燃料で核分裂の連鎖反応がもし続いているとすれば、『臨界』あるいは、『再臨界』と呼びますし。そうではない全く別の物理現象である、『自発核分裂』。それはもう避けようがなくもう元々から続いてるのですが。え…それを検出したのかというどちらかの可能性しかありません。
それは検出したキセノンの量で、……正確にそれが測定できて、…そしてその物理現象というかその…例えば、検出した場所の体積であるとか、…それが、そうですねえ、格納容器というのは巨大な容器なんですけれども、そのうちのごく一部だけにそのキセノンがたまっているという可能性もあるわけですし。え…そういうプロセス、の過程が信頼性が置けるのであれば、え……臨界状態が起きているのか、自発核分裂なのかということは、判定できます」
水野「判定できるんですか?」
小出「はい」
水野「あの……多分、私、素人なりに、その……情報を読むと、キセノンの濃度でどれだけでたら臨界だという、その基準を変えようという話ではないかと思うんです」
小出「(笑)。それは、あの今ちょっと聞いていただきましたけれども。」
「その、キセノンを検出したと言っている、その、測定点があるのですね。」
「測定点がどういう場所であって、臨界という物理現象がどこで起きていると考えるか。あるいは自発核分裂がどこで起きていると考えるか。によって、……濃度が違ってきてしまうわけで。判定はもちろん、……変わらなければいけないと思います。
ただどこまで正確にその、物理的なプロセスを、う……評価できるかというか、今現在の状態を判断できるかということなのですが。
その…前からお伝えしてきましたように、今現在融けた炉心がどこにあるかすらがわからないというそういう状態なんですね。…ですから、なかなか、判断するということ自身が難しいと思いますが。
…臨界が起きているという状態と、自発核分裂だけだという状態では、生成してきてくるキセノンの量は相当違うと思いますので。…どちらかだということは比較的容易に判断できるはずだと思います」
水野「まあ、私の感想としては、これからキセノンが出てきてもね。一定の量で、しか、臨界……一定の量を、まあ、の、基準をこう、上げると言うんですか? 変えると、これまで発表されたことも発表されないなんてことになったら困るなあと思うんですけど」
小出「まあそうですね。あらゆるデーターは公表しなければいけないわけですから。キセノンの濃度がどれだけだということは、ずうっとこれからも公表してもらわなければいけませんし。
その変化を見ながらそれが自発核分裂なのか、臨界なのかということは、まだそれによって判断出来る状況が出てくると思います。」
水野「はい……。そして細野原発担当大臣は、まあこのような状況でも、やはり原子炉の冷温停止状態……年内に達成という方針を変える必要はないと、おっしゃっております」「これはどうですか?」
小出「愚かなことです」
水野「はい。え……福島県ではですね。福島の皆さん、調査団を組んでチェルノブイリを視察・調査なさったようなんですね。で、その時に、あちらの専門家の皆さんと意見交換をしたら、やはり除染が以下に難しいか、実際上、除染してもなかなかもとに戻らないことが多いのかということを、え……言われて、非常に落胆といいますかショックを受けていらっしゃるというような話が出てきました」