・国民に新たな負担を求める以上、まずは政府や国会が自ら身を削る覚悟を示す必要がある!

・徹底した歳出のスリム化が前提
社会保障費は毎年1兆円超のペースで膨張している。基礎年金の半分は国庫負担で賄うことになっており、その分を含めれば毎年4兆円近い財源が新たに必要。
・事情を丁寧に説明し、能力に応じた負担増への理解を求めることが、政権与党の民主党の責務だ!
・国家公務員給与引き下げを恒久化し、地方公務員も削減対象に加えるなど、徹底した切り込みが求められている。 これを国民は監視している。
・国会議員の定数削減も政権公約には載せているが、進んでいない。
・国民に新たな負担を求める以上、まずは政府や国会が自ら身を削る覚悟を示す必要がある!
・ デフレ脱却に向けた明確な成長戦略とその実行こそが求められている。



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消費税の引き上げは不可避か
古森義久
2011.12.05 Monday
 日本国民ならいつかは正面から考えることが避けられないいまの課題の一つに消費税の税率引き上げ、があります。
 日本の財源不足の危機的状況をみれば、歳入を増やす手段で効率が最高なのはやはり増税でしょう。
 もちろん増税の前に可能な歳入増、歳出減の策は多数あります。増税もそうした策と合わせながら、考えることも自明でしょう。
 しかしそれでもなおいまの日本の現状では消費税の増加という選択肢が説得力をもって迫ってきます。
<<【主張】社会保障と税改革 消費増税に柔軟対応を>>:
■「経済好転」へ努力は不十分だ
 社会保障制度を少子高齢化に耐えうる制度へと改め、安定財源を確保することは喫緊の課題だ。そのためには、消費税率の引き上げから目を背けるわけにはいかない。一方で、経済情勢への配慮が不可欠だ。
≪高齢者も能力で負担を≫:
 加えて、徹底した歳出のスリム化が前提となる。忘れてならないのは、社会保障制度を安定的に維持するためには、高齢者を含めた全世代が能力に応じた負担をする必要があることだ。
 民主党は、国民の反発を恐れ、こうした負担増項目については導入を先送りしようとしている。これでは何のために改革するのか分からない。政府・与党は5 日、社会保障と税の一体改革に関する「改革本部」の初会合を開くが、社会の基本である「自助自立」に立ち返った現実的な改革案にまとめ直さなければならな い。
 消費税増税について、野田佳彦首相は1日の記者会見で、引き上げ幅や時期を明示する大綱素案を年内にまとめる考えを示した。歴代内閣が手を付けてこなかった長年の課題である。 具体化には不退転の覚悟が必要だ。
 社会保障費は毎年1兆円超のペースで膨張している。基礎年金の半分は国庫負担で賄うことになっており、その分を含めれば毎年4兆円近い財源が新たに必要だ。消費税増税には与党内から反発も出ているが、赤字国債や「埋蔵金」頼みの予算編成は続かない。
 一方、社会保障制度の維持には世代を超えた国民の幅広い理解の取り付けが不可欠だが、民主党内の議論からは、高齢者への配慮ばかりが目立ち、合意形成への道筋が見えない。
 70〜74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げ、受診時の定額負担など、負担増や給付抑制につながる改革項目は軒並み見送りの方向となった。デフレ経済下で年金額を下げる自動調整機能の仕組みの導入や支給開始年齢の引き上げも避けては通れないはずだ。
 年金受給資格期間の短縮や高額療養費制度の拡充、介護保険料の軽減といったサービスの拡充策ばかりが優先されようとしていることも問題だ。  高齢者にも事情を丁寧に説明し、能力に応じた負担増への理解を求めることが、政権与党の民主党の責務である。
 歳出削減について野田首相が例示した国家公務員給与の削減法案は、2年間の時限措置で約6千億円を減らすものだが、これは復興費用への充当が既に決まっている。国家公務員給与引き下げを恒久化し、地方公務員も削減対象に加えるなど、徹底した切り込みが求められている。
 国会議員の定数削減も進んでいない。民主党衆院80、参院40の削減をマニフェスト政権公約)に盛り込んだが、具体的な法案化作業は先送りされたままだ。
 議員歳費を毎月50万円削減する措置も半年の期限を迎えた9月末で打ち切られた。国民に新たな負担を求める以上、まずは政府や国会が自ら身を削る覚悟を示す必要がある。増税ありきで徹底した無駄排除が乏しいのではないか。
 消費税の増税分がすべて社会保障費に回るわけではない。 現行5%の消費税収の4割以上は地方に配分されている。社会保障財源の確保には、こうした制度の見直しも欠かせない。
≪「弾力条項」を創設せよ≫:
 経済情勢の見極めもポイントだ。「平成23年度末までに必要な税制上の措置を講じる」と定めた改正所得税法の付則では、消費税増税を含む税制改革は「経済状況の好転」が条件とされている。
 政府・与党の6月の一体改革の成案でも、経済状況の好転を盛り込み、政府として強力な政策的努力に取り組むと明記したが、不十分としか言いようがない。
 日本経済はなお大震災の影響下にある。欧州の債務危機は収束の気配が見えず、欧米経済の不透明感が強まる中で円高が進行している。  景気回復は増税による税収確保の前提だ。  デフレ脱却に向けた明確な成長戦略とその実行こそが問われている。
 消費税率の引き上げ時期などを大綱で明示したとしても、実際の引き上げにあたっては、経済情勢などを見極めた柔軟な対応が必要なのは言うまでもない。 引 き上げを延期できる「弾力条項」の創設を検討すべきだ。  政府・与党は日本の将来を見据えた責任ある改革案を示さなければならない。(産経)