・海洋国家、日本の国境は、石垣島のような国境地域の島で暮らす人々に支えられている。  国境地域の島の人々が安心して豊かに暮らせる現地社会を作ることこそ、日本の海洋権益確保につながるのだ!

・中国では近年、交通インフラが整備され、魚食文化が内陸部まで普及するようになってきた。 13億人の胃袋を満たすとなれば、魚はあればあるだけ売れる。
東シナ海での日本の海洋権益の確保に向け、領海、排他的経済水域EEZ)の基点となる離島の管理を強力に進めることが肝要だ!
石垣市民は迫り来る中国の脅威を感じて、尖閣諸島の管理の見直しを求めている。  周辺海域は豊かな漁場であり、海底資源が埋蔵されている可能性も高い。にもかかわらず、政府は無能にも尖閣無人島のまま放置し続けている。
・海洋国家、日本の国境は、石垣島のような国境地域の島で暮らす人々に支えられている。  国境地域の島の人々が安心して豊かに暮らせる現地社会を作ることこそ、日本の海洋権益確保につながるのだ!
政府は尖閣無人島のまま放置し続けるな!

〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
尖閣無人島のまま放置するな
東海大学教授・山田吉彦 2012.1.23 03:12 [正論]
 尖閣諸島を抱える沖縄県石垣市は昨年、その領有が1895年に閣議決定された日である1月14日を「尖閣諸島開拓の日」と条例で定め、この14日、記念式典と「東シナ海八重山の振興」をテーマにしたシンポジウムを催した。
≪「開拓の日」に漁業監視船≫ :
 当日、まるで日本側の動きを偵察するように、中国の漁業監視船が尖閣諸島海域に姿を現した。  だが、昨年8月には領海を侵犯した漁業監視船も、今回は接続水域を通過しただけで退去している。
 昨秋の東アジアサミットで、海洋問題を協議する場の創設が検討され、以来、フィリピン、インドネシアベトナムなどのアジア諸国は、米国のアジア回帰の方針にも後押しされて、中国の海洋侵出を警戒する共同歩調を取るようになってきた。  これに対して中国は、「核心的利益」と位置づける南シナ海には侵出してベトナム、フィリピンとの小競り合いを続けているものの、東シナ海での行動は自重している傾向がみえる。
 昨年12月に野田佳彦首相が訪中した際、海洋にかかわる重層的な危機管理メカニズムの構築が必要であるとして、国境協議も含めた「日中高級事務レベル海洋協議」設置の提案がなされた。  中国側は東シナ海ガス田の開発をめぐる条約交渉の再開、日中海上捜査・救助協定の合意など、海洋問題解決に向け融和策も提示してきた。
 中国漁民が韓国の海洋警察官を刺殺した事件でも、韓国側の処置を無条件に受け入れている。  背景には、日韓両国に「低姿勢」に転じることでアジアにおける四面楚歌状態を脱し、南シナ海に重点を絞るとの思惑も見え隠れする。  東南アジア諸国連合ASEAN)と日本の分断や、東シナ海海底熱水鉱床や海底油田などに関し日本が持っている海洋情報の入手を目論んでいるとも考えられる。
≪自制利かぬ中国漁民の拝金≫ :
 だが、そうした中国側の姿勢も一時的なものに過ぎないだろう。  南シナ海での支配を固めたら、東シナ海でも牙を剥いてこよう。  海軍力の増強も背景にあるが、何より、警備艇や調査船とは違って漁船には自制など利かない。
 中国では近年、交通インフラが整備され、魚食文化が内陸部まで普及するようになってきた。13億人の胃袋を満たすとなれば、魚はあればあるだけ売れるのである。   拝金主義に染まった中国人漁師たちは、他国の領海だろうと、カネになる魚がいる限りは拿捕も覚悟で密漁し、中国政府はこれまで通り黙認することになるだろう。
 ただ、中国が侵出攻勢を緩めたようにみえるこの機を逃す手はない。  まず、東シナ海での日本の海洋権益の確保に向け、領海、排他的経済水域EEZ)の基点となる離島の管理を進めることだ。
 尖閣諸島でいえば、領有決定11年前の1884年、福岡県八女市の企業家、古賀辰四郎氏が東シナ海に浮かぶこの島々を発見し、探検隊を派遣した。 その後の調査の結果、無人で他国により支配されていないことが確認され、国土に編入された。 そして、古賀氏による島の開拓が始まり、1909年には99世帯248人が暮らし、アホウドリの羽毛採取、海鳥の剥製や鰹節製造などを行っていた。
 尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に体当たりした2010年の事件を機に、石垣市民は迫り来る中国の脅威を感じて、諸島の管理の見直しを求めている。周辺海域は豊かな漁場であり、海底資源が埋蔵されている可能性も高い。にもかかわらず、政府は尖閣無人島のまま放置している。
≪島や岩の活用と管理を進めよ≫ :
 政府は尖閣諸島の現状を把握する調査を実施し、諸島を有効活用して、実効支配を強めなければならない。  魚釣島久場島、南小島、北小島で政府が借り上げている民有地と、国有地である大正島の利用を進めるとともに、「岩」と呼ばれている飛瀬、沖の南岩、沖の北岩を、「島」としての名称に変えて管理する必要がある。
 土地の登記も重要である。 国連海洋法条約によると、岩ではEEZ設定の主張が認められないので、人が居住し、あるいは経済活動を行う島にする必要がある。  管理が行き届いていない岩を「中国漁民」が占拠すれば、フィリピンが領有権を唱えるスプラトリー(南沙)諸島のミスチーフ岩礁のように中国に奪われかねない。
 先のシンポジウムでは、東シナ海の海洋開発、海洋環境保全、水産振興などの議論に200人もの市民が真剣に耳を傾けていた。   海洋国家、日本の国境は、石垣島のような国境地域の島で暮らす人々に支えられている。  島の人々が安心に、そして豊かに暮らせる現地社会を作ることこそ、日本の海洋権益確保につながるのである。(やまだ よしひこ)