・コミュニケーション機能不全のトップをいただいた国民の不幸と損失は甚大だ!


・国会事故調で、「当時、命懸けで原子炉を守り、必死だった福島第一原発現場にヒアリングする限りでは『どうして必死に取り組んでいるのに、官邸から電話がかかって対応しないといけないのかと感じた』と」
・吉田氏らにしてみれば、菅氏や当時の細野豪志首相補佐官らから繰り返し「つまらない電話」(国会事故調委員の表現)がかかってくるのは、作業の妨げであり、かつ重度のストレスを覚えるものだったことでしょう。
・「その意味では、私は(菅氏に)折檻をしなかったのは私の不徳の致すところだ」と海江田氏 は述べた。
・海江田氏は昔から菅氏の怒鳴り方は普通ではない、尋常ではない、正常ではない……ということを知っていた。
・コミュニケーション機能不全のトップをいただいた国民の不幸と損失は甚大だ!

〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
「折檻」しなかったのは私の不徳と海江田氏
阿比留瑠比   2012.05.19 Saturday
 「さて、17日は東電福島第一原発事故を検証する「国会事故調」が開かれ、海江田万里経済産業相参考人として証言しました。 それについては、18日朝の新聞各紙が取り上げていますね。
 私もインターネット中継を途中から見たのですが、海江田氏は奥歯にものが挟まったような表現で、実に言いにくそうな表情をつくりながらも、菅直人前首相の対応をしっかり批判していました。
 また、委員側がこれまでの現場関係者からのヒアリング結果を踏まえ、菅氏が吉田昌郎所長に繰り返し電話をしたことが、いかに現場の作業にとって邪魔だったかについて、こんな表現を使っていたのが印象的でした。
 「当時、命懸けで炉を守り、必死だった現場にヒアリングする限りでは『どうして必死に取り組んでいるのに、官邸から電話がかかって対応しないといけないのかと感じた』と」
 「まさに飛行機が落ちそうという中で、運転している人たちが、命もなくなるかもしれないと必死にサイトを何とかしようとしているときに、『どうして飛行機が飛ぶのか、落ちるのか』というレベルの質問がきて迷惑だったというニュアンスの発言もあった」

 ……以前のエントリでも触れましたが、吉田氏らにしてみれば、菅氏や当時の細野豪志首相補佐官らから繰り返し「つまらない電話」(国会事故調委員の表現)がかかってくるのは、作業の妨げであり、かつ重度のストレスを覚えるものだったことでしょう。
 いくらアレでも一応、日本の首相なのだから対応しないといけないし、それはきっととても不快な内容だったろうと思います。
 なので海江田氏もこの日の事故調で、「原災本部長(菅氏)は、大変大きな権限を持つので、それは抑制的に使わなければならない」と述べ、菅氏のやり方を批判していました。 また、「大臣として、それを見聞きしたらやめさせないのかという指摘は本当に反省点た」とも語っています。
 ここで私が興味を覚えたのは、中国の古典好きの海江田氏が「その意味では、私は(菅氏に)折檻をしなかったのは私の不徳の致すところだ」と述べたことです。
 手元の岩波国語辞典によると「折檻」とは、「きびしく叱ること。肉体を苦しめてこらすこと」とありますが、もともとは「君主をいましめること」という意味だったのですね。
 ただ、昨年の事故当時、菅氏に怒鳴り散らされた海江田氏が真っ青な顔をうつむかせて官邸を出て行く姿がたびたび目撃されていることを思うと、海江田氏に菅氏を折檻することはもともと無理だったのではないかという気もします。
 事故調では、3月15日早朝に東電本店に乗り込んだ管氏に厳しく叱責された東電側が「違和感があった」と証言したことも質問に出ました。これに対し海江田氏はオブラートに包みながらもこう答えています。
 「初めて菅首相の演説を聞く方は、違和感を感じて当然だ。もう少し、別な表現があるだろうと思う。 私は菅首相とは古い仲でありまして、まあそういうことであります」
 まあ、海江田氏は昔から菅氏の怒鳴り方は普通ではない、尋常ではない、正常ではない……ということを知っていたというわけですね。  いまさらながらにコミュニケーション機能不全のトップをいただいた不幸に思いを致すしかありません。 そもそも折檻を聞き入れるような相手ではないでしょう。

 あと、海江田氏の証言で関心を覚えたのは、?緊急事態宣言の発令が遅れたのは「菅首相の理解を得るのに時間がかかった」→原発周辺住人への事故周知が遅れる
 ?3月12日の菅氏の原発視察の理由について「それは分かりません」→やはり担当相にも意味不明の視察だった?。
 東電がベント(排気)をためらったという当時、官邸がばらまいた情報について「実際はそうではなかった」 → 菅氏とその周囲側の勘違いまたは情報操作だった? 東電側から「全員撤退」という連絡があったかは「全員ということは言葉としては覚えていない。 私は当然、頭の中で全員だという認識をした」 → 早とちりだとの疑惑ぬぐえず……などでしょうか。
 さあ、国会事故調の参考人招致は次は枝野幸男官房長官(当時)、そして本丸の菅氏へと続きます。  2人とも、正直に話すとは思えませんが、厳しい追及で矛盾を暴き、真相に近づいてほしいと期待しています。