胡総書記と温首相は、江氏と彼の昔からの部下に恩を売ったのだ!

・胡総書記と温家宝首相のコンビ、次期指導者となる習近平国家副主席、李克強副首相の4人が賀氏を支持した。
・薄氏の右腕だった公安局長が、今年2月初めに成都の米総領事館に逃げ込む事件が起きた。 それを薄氏と全く関係のない偶発事にしてしまおうとしたのが周氏だった。 政治局常務委員、中央規律検査委員会書記でもある賀氏の薄氏追及の意思を止めることが、周氏にはできなかった。
・アモイの巨額の密輸事件の主犯が昨年7月にカナダから強制送還され、この5月に無期懲役の判決を受けた。  江氏が登用し、重用した政治局常務委員の妻が深いかかわりを持っていたにもかかわらず、事件は闇から闇へと葬られた。  胡総書記と温首相は、江氏と彼の昔からの部下に恩を売ったのだ!
・5月、江沢民氏の長男、江綿恒氏がハリウッドのスタジオ会社と組んで、上海にアニメの新会社を立ち上げた。 「電信大王」と呼ばれる江綿恒氏をはじめ、太子党既得権益者」の面々が、映画産業に進出するというのは、最近の流行だ!
・息子と孫の事業の繁栄を望む江氏の「花道」が、第18回党大会での顧問就任ということだ!




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
権力亡者の芽摘んだ「新四人組」
中国現代史研究家・鳥居民    2012.5.29 03:20 [正論]
 中国南西部、重慶市のトップ、市党委員会書記だった薄煕来氏一家のドラマに、新たな脇役が加わった。 「ダンディー」なフランス人建築家だ。  毒殺されたという英国人と同様に薄夫人と親しく、これまた、薄家の資産の海外移転を手伝っていたといわれる。
≪薄氏と親密キッシンジャー氏≫:
 薄氏のことを述べよう。 彼を高く買った外国人は、何といっても元米国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏だ。 薄氏の前の任地だった大連に2回、重慶にも行き、「紅歌」を合唱する人々と並びもし、薄氏がやがて国家主席になることを期待したのだった。
 キッシンジャー氏は薄氏と「ケミストリー(相性)が合った」と言うに違いない。  その流行(はや)り言葉を、薄氏と自分との親しさの理由として使ったのはNHKの解説委員だった平野次郎氏だ。  薄氏は役所に彼を迎えるのに数十メートルの赤絨毯を敷いてくれたという。
 だが、薄氏は誰に対しても、そのような心遣いをしたわけではない。    2010年4月に、以前、重慶の公安局長だった人物を死刑にした。 12年にわたりその椅子に座り続けた件(くだん)の警察の主は、薄氏の前の2人の重慶市党委書記に仕えた。  俚諺(りげん)に言う通り、主人の前でその飼い犬を叩(たた)くといった仕打ちを、薄氏はしてみせたのである。  撲殺された犬の飼い主の一人は、胡錦濤党総書記の秘蔵っ子、汪洋広東省党委書記であり、その前の飼い主は、現在、政治局常務委員を務める賀国強氏だった。
 薄氏は、共産党の最高指導部である政治局常務委員の多数派が自分を支持していると信じ、軍幹部の中にも自分の支持者が多いと自信を持っていたからこそ、そんな乱暴なことを平然とやってのけたのだが、その政治局常務委員の中で、薄氏の盟友は、中央政法委員会書記の周永康氏だった。

≪社会管理委主任握られたら…≫:
 さて、昨日まで薄氏の右腕だった公安局長が、今年2月初めに成都の米総領事館に逃げ込む事件が起きた。 それを薄氏と全く関係のない偶発事にしてしまおうとしたのが周氏だった。 だが、政治局常務委員、中央規律検査委員会書記でもある賀氏の薄氏追及の意思を止めることが、周氏にはできなかった。 何より、胡総書記と温家宝首相のコンビ、次期指導者となる習近平国家副主席、李克強副首相の4人が賀氏を支持した。
 周氏は「あの新四人組めが」と歯噛(はが)みしたというのだが、彼の完敗で終わった。 3月半ばに、彼は政治局常務委員と中央政法委員会書記の辞任を申し出て、故郷の江蘇省無錫に帰り、やはり政治局常務委員で党内序列2位の呉邦国氏が慰留する一幕があった。
 そして、前は河北省選出としての彼の党大会の代表資格が、今回は新疆ウイグル自治区代表に変わり、何ごとかと思われたとき、新疆を数日にわたって視察する中央政法委員会書記の彼の姿が、中国中央テレビで放映された。    東京で世界ウイグル会議の第4回大会が開かれていた最中だった。
 さて、中央政治局常務委員会の過半数の人々が薄氏の追放に賛成したのはなぜだったのか。
 この秋に、薄氏は周氏の中央政法委員会書記の座を継ぐつもりだといわれていた。  その地位に就けば、中央社会管理総合治理委員会主任も、薄氏が引き継ぐことになる。  「社会治安」を「社会管理」と言い換え、昨年つくられたその機関を、薄氏のような冷酷な算盤(そろばん)ずくの権力亡者が握ることになれば、それを党の最高機関にしてしまうとの深刻な危惧があった。

≪胡−温コンビ、党大会へ順調≫:
 薄氏の配下の米総領事館駆け込み事件がなかったとしても、温首相は薄氏を次の政治局常務委員にすることに絶対に反対したに違いなかった。
 そこで、胡氏の前任の国家主席兼党総書記の江沢民氏が薄氏の側に立って、常務委員の数を9人から11人に増やせと外野から口を出し、薄氏を常務委員会に押し込もうと企てたのだろうか。
 その江氏だが、薄氏の運命が決した後の4月中旬、政治局常務委員会は今秋の党大会に顧問として迎えることを決めたという。
 江氏は85歳になり、健康ではない。  今ごろ、彼の支持と保護を求める若手の党幹部はいない。  アモイの巨額の密輸事件の主犯が昨年7月にカナダから強制送還され、この5月に無期懲役の判決を受けた。  江氏が登用し、重用した政治局常務委員の妻が深いかかわりを持っていたにもかかわらず、事件は闇から闇へと葬られた。  胡総書記と温首相は、江氏と彼の昔からの部下に恩を売ったのだ。

 さらに、この5月のこと、江沢民氏の長男、江綿恒氏がハリウッドのスタジオ会社と組んで、上海にアニメの新会社を立ち上げた。
 「電信大王」と呼ばれる江綿恒氏をはじめ、太子党既得権益者」の面々が、映画産業に進出するというのは、最近の流行である。
 息子と孫の事業の繁栄を望む江氏の「花道」が、第18回党大会での顧問就任ということになる。
 してみると、党大会へ向け胡錦濤温家宝両氏の足取りは、ここまでは順調のようである。(とりい たみ)