・Samsung社は、Apple社の戦略を模倣して、Android携帯『Galaxy S』の高性能な主力製品ラインで消費者を魅了している。

・2012年第1四半期の出荷数は、Nokia社が8,300万台だったのに対し、Samsung社は9,200万台だった。
Nokia社は、2002年に最初の『Symbian S60』搭載スマートフォンを消費者にもたらした、スマートフォン市場におけるパイオニアだった。
・2007年に、Apple社が『iPhone』を出した。iPhoneスマートフォンの定義自体を変えたが、Nokia社はそれに対応することに失敗した。
Apple社の『iPhone』を見て、Samsung社はすばやくスマートフォン市場に参入した。
Samsung社は、単に動きが速かっただけでなく、複数のプラットフォームに力を注いだ。『Android』だけでなく『Windows』端末にも対応し、さらには、独自のプラットフォーム『Bada』も開発した。
Nokia社は最近Microsoft社とようやく提携を結ぶまで、Symbianにこだわりすぎた。
Samsung社は、Apple社の戦略を模倣して、Android携帯『Galaxy S』の高性能な主力製品ラインで消費者を魅了している。
Samsung社は、ハードウェア製造プロセスでも優位に立っている。「ほかのメーカーとは異なり、Samsung社は、独自のディスプレイ、プロセッサー等を作る垂直構造の企業だ」




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
なぜノキアが失敗し、サムスンが成功したのか 5つのポイント
2012.5.29 13:30 [携帯電話・スマートフォン
 携帯電話の売り上げでSamsung社がNokia社を抜き、14年にわたるNokia社の首位が終わった。Nokia社はなぜ失敗し、Samsung社はなぜ成功してきたかの理由を分析。
 IHS iSuppli社とStrategy Analytics社が5月24日(米国時間)に発表した報告書によると、携帯電話の売り上げにおいてSamsung社がNokia社を抜いたという。  事実上、世界最大の携帯電話機メーカーとしての14年にわたるNokia社の地位に終止符が打たれたわけだ。
 そして翌25日には、Standard & Poor社がNokia社の格付けを、BB+とBに引き下げた。
 IHS iSuppli社の報告によれば、2012年第1四半期の出荷数は、Nokia社が8,300万台だったのに対し、Samsung社は9,200万台だった。      Strategy Analytics社の報告でも、Nokia社が合計で8,270万台、Samsung社が9,350万台となっており、IHS iSuppli社の数字との差異はわずかだ。
 14年にわたってモバイル市場をリードしてきたことは、間違いなく印象的なことだ。  しかしここ数年というもの、Nokia社は次第にその勢力を減じてきていた。  以下、その理由についてまとめてみよう。  Nokia社はなぜ失敗したのか。  逆にいえば、Samsung社はなぜ成功してきたのだろうか。
Nokia社の動きは遅すぎた:
 Nokia社は、2002年に最初の『Symbian S60』搭載スマートフォンを消費者にもたらした、スマートフォン市場におけるパイオニアだった。 その後5年にわたり、Symbian搭載端末は、ほとんど問題なくスマートフォン市場をリードする地位を維持していた。
 しかし2007年に、Apple社が『iPhone』を出した。iPhoneスマートフォンの定義自体を変えたが、Nokia社はそれに対応することに失敗した。
 それに比べて、Samsung社はすばやくスマートフォン市場に参入した。「市場でリーダー的地位にあるときは、変化にすばやく対応することがより難しくなる」と、Strategy Analytics社のアナリスト、アレックス・スペクターは述べる。
AndroidWindows Phone:
 Samsung社は、単に動きが速かっただけでなく、複数のプラットフォームに力を注いだ。『Android』だけでなく『Windows』端末にも対応し、さらには、そのいずれもがうまくいかなかった場合に備え、独自のプラットフォーム『Bada』(日本語版記事)も開発したのだ。
 「Samsung社はAndroidを適切なときに選択したため、Android市場の成熟から得られる利益も大きい」とスペクター氏は説明する。
 一方、Nokia社は最近Microsoft社とようやく提携を結ぶまで、Symbianにこだわっていた。 同社の第1四半期業績を見るかぎり、同社のフラッグシップ機である『Windows Phone』の『Lumia』はまだ大きな利益を生み出す状態ではない。
 「よい提携なのだが、遅すぎた。 2年以上前にiPhoneAndroidが、市場のストリームを奪っていた」と、IHS社の上級アナリストであるウェイン・ラムは述べる。
低価格帯でも打撃:
 Nokia社はスマートフォン市場での動きが遅すぎただけでなく、モバイル市場の低価格帯における競合でも先手を打たなかった。 HTC社やHuawei華為技術)社、ZTE(中興通訊)社などのメーカーが、中国など開発途上の市場において、低価格製品でNokia社を攻撃した。
 「競合メーカーのそれぞれは小さくても、集合すると脅威になる」とスペクター氏は言う。
「新しい魅力」の問題:
 特に開発途上国のユーザーたちは、Nokiaという名前を「別の時代の技術」という感覚でとらえている。  現代では、最新でピカピカのデヴァイスが重要なのだ。
 「Nokiaというブランドは古い感じがあり、新しい魅力に欠けている。それに対してSamsung社は、イノヴェーターととらえられている」とラム氏は指摘する。
Appleに学んだ戦略:
 Samsung社は、Apple社の戦略を模倣して、Android携帯『Galaxy S』の高性能な主力製品ラインで消費者を魅了している。
 「Apple社の戦略を観察してみると、製品群をiPhoneブランドのもとにまとめている。 これはブランドとして印象深いうえに認知しやすく、消費者はそれを待ち望む」と、Strategy Analytics社のスペクター氏は説明している。「Samsung社は主力携帯端末において、非常に似たアプローチを採用してきた。消費者はGalaxy Sの新版が毎年登場することを理解している。 これは期待を構築し、消費者需要を促進するのに役立つ」
 だがSamsung社はその一方で、幅広いスマートフォン製品群も抱えている。 その一部は契約なし200ドル以下の端末で、Galaxy SiPhoneのような高性能携帯電話を必要としない(あるいは買う余裕がない)消費者をターゲットにしている。
 また同社は、ハードウェア製造プロセスでも優位に立っている。「ほかのメーカーとは異なり、Samsung社は、独自のディスプレイ、プロセッサー等を作る垂直構造の企業だ」とIHS社のラム氏は説明する。[Apple社も垂直統合型企業だという日本語版記事はこちら]
今後:
 Nokia社がWindows Phoneで復活する可能性が無いわけではない。  Nokia社とMicrosoft社はともに十分な資産を持っており、提携を通して今後成功する可能性がある。  しかし一方でNokia社は、少なくとも短期的には、コストを大幅に削減し、事業を整理し集中するプロセスが必要になるだろう、とラム氏は語っている。