・スペイン政府は、政府が債権者に損失を処理させて銀行の新規資本を用意することを認めるドイツか英国の破綻処理法を真似るべきだ!

・スペイン国内金融機関が少なくとも400億ユーロの資本不足に陥っており、高い借り入れコストに直面するスペインは今、欧州の支援を要請すると見られている。
・スペイン政府は、政府が債権者に損失を処理させて銀行の新規資本を用意することを認めるドイツか英国の破綻処理法を真似るべきだ!
・スペイン政府は一定の条件を受け入れるべきだが、スペインの危機は銀行に限られているため、ほかの被救済国に課された条件ほど厳しくすべきではない。
・救済基金は、政府に負担を負わせるのではなく、銀行に直接資本注入できるようにしなければならない。




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
社説:スペインとユーロを救う最後の戦い
2012.06.08(金) Financial Times
(2012年6月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 スペインのルイス・デギンドス財務相は先月、ユーロを守る戦いはスペインで行われると述べた。 だが、その戦いの結果はまだ分からないものの、最終決戦の時は多分にどんどん近づいてきている。
 今週は最新の兆候が見られた。  スペイン政府がこれまでで最も明確に、自国の銀行部門に対する欧州の支援を求めたのだ。  クリストバル・モントロ予算相の発言はすぐに、正式要請は行っていないと修正されたが、この発言は市場の共感を呼んだ。
 国内金融機関が少なくとも400億ユーロの資本不足に陥っており、高い借り入れコストに直面するスペインは今、欧州の支援を要請すると見られている。
 モントロ予算相の発言は、スペイン政府がコミュニケーションの問題に苦しんでいることを裏づけた。  マリアノ・ラホイ首相や政府閣僚は欧州連合EU)と交渉する際や市場をなだめようとする際に、必要な明敏さを示すことに再三失敗してきた。
 だが、スペイン政府はまだ危機を掌握しているということを示すべきだとはいえ、欧州はスペインの仕事を楽にするためにもっと多くのことができる。

スペインの問題は対処可能、欧州に求められる努力:
 残念なことに、欧州の各種機関の対応は不十分だ。  フランクフルトでは、欧州中央銀行(ECB)が再び、政策金利を据え置くことを決めた。 一方、ブリュッセルでは、欧州委員会が概ね有益な新銀行規制を策定したが、たとえ次の危機に役立つにせよ、現在の危機に対処するものではない。
 政治的な意思さえあれば、スペインの問題に対する解決策は比較的単純だ。 スペイン政府は、政府が債権者に損失を処理させて銀行の新規資本を用意することを認めるドイツか英国の破綻処理法を真似るべきだ。 
 そうすれば、支払い不能状態の銀行が抱える損失に、(スペインの資金であれ、欧州の資金であれ)追い銭を投じる事態は避けられる。
 これで問題が解決されなかった場合には、ユーロ圏は、管理可能な問題に対処するだけの資金を持つ救済基金の活用に抵抗すべきではない。 
 救済基金は、政府に負担を負わせるのではなく、銀行に直接資本注入できるようにしなければならない。
 また、スペイン政府は一定の条件を受け入れるべきだが、スペインの危機は銀行に限られているため、ほかの被救済国に課された条件ほど厳しくすべきではない。
 スペインに関する合意は、ユーロ圏の将来に関する大きな合意にとって不可欠な柱となる。  6月末の重大なサミットに向けて準備する欧州首脳は、かつてないほど大きな利害がかかっていることをはっきり認識しなければならない。