・5、6年以内に、中国という恐しい龍が暴れたあと、「ユーロ圏解体」、「アラブ民主革命」に次いで、3つ目の世界である中国が崩壊するのか! 

アメリカの経済社会学碩学のベブレン(没1929年)が、学者バカを「エジュケイテッド・インキャパシティ」(教育を施されるほどに、無能になる)の罠にはまる者だといって、警告した。
・通貨単位が母音で終わる民族は子音で終る国に対して、生活態度が放縦で、規則を蔑(ないがし)ろにしてきた。  民族や国の行方を勘案する時には、宗教や、歴史がどう民族性を形成してきたのか、学ぶことが重要だ!
・トルコは第1次大戦に敗れると、初代大統領となったムスタファ・ケマルによる革命が起こり、欧米諸国を手本とする世俗的な共和国に生まれ変わった。 ケマルは皇帝(スルタン)が退位後も、イスラム世界の最高宗教指導者のカリフだったのを廃止し、学校で『コーラン』を教えることを禁止し、婦人に参政権を与え、非イスラム化を進めた。
・1970年代の石油ショックによって原油価格が暴騰すると、西側諸国がアブラ欲しさのために、イスラム産油諸国を拝跪したのが、転機となり、 イスラム圏は、突然、自信を回復した。 
イスラム圏は西洋を模倣することをやめて、イスラム教が力を回復した。  日本をはじめとする石油消費国が、抑えつけられていたイスラム原理主義という妖怪を呼び出した!
・5、6年以内に、中国という恐しい龍が暴れたあと、「ユーロ圏解体」、「アラブ民主革命」に次いで、3つ目の世界である中国が崩壊するのか! 





〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
二つの世界が壊れつつある   
加瀬英明   2012.08.02 Thursday
 いま、2つの世界が大きな音をたてて、壊れつつある。まずヨーロッパだ。 ユーロ圏が解体しつつあって、世界不況をいっそう深刻なものにしようとしている。
 もう1つが、北アフリカからペルシア湾岸までひろがる、イスラム圏である。  私は2001年に統一通貨ユーロが登場した時に、かならず失敗すると予測した。
 あの時は、日本経済新聞が手本とするイギリスの『ファイナンシャル・タイムズ』紙が、ユーロの前途が洋々たるものだといって、祝福した。  日本の専門家がこぞって『ファイナンシャル・タイムズ』に追従して、ユーロが世界の基軸通貨として、やがて米ドルを凌ぐことになると、予想した。
 私はユーロ加盟国が通貨を統一しても、それぞれ勝手な財政政策をとるのでは、10年以内に破綻せざるをえないと、予見した。
 ほとんどの場合、専門家がいうことを鵜呑みにしないほうがよい。

ソ連や中国の社会主義の目指す道とは> :
 つい最近まで、マスコミや、弟子たちが崇めた大儒たちが、ソ連や、中国などの社会主義諸国を地上の理想郷として、さかんに称えたものだった。
 これらの腐儒は狭い視野しかもてなかったので、身勝手な研究に没頭するうちに、何とも間が抜けた結論を引き出した。
 昼と夜を研究する。昼もどこかに暗いところがある。 昼の暗がりの研究に打ち込むかたわら、夜の薄明りの研究に熱中して、夜のほうが昼より明るいという学説を完成する。
 私のように童心を失わない者は、そのような過ちを犯さない。 アンデルセンの『裸の王様』の寓話の子どもは、常識人である。  きっと、あの子は高等教育を欠いていたにちがいない。  専門分野にのめり込むと、しばしばつまずくものだ。

<エジュケイテッド・インキャパシティ> :
 アメリカの経済社会学碩学のベブレン(没1929年)が、学者バカを「エジュケイテッド・インキャパシティ」(教育を施されるほどに、無能になる)の罠にはまる者だといって、警告した。
 もし、専門家の最終学歴が中学までだとしたら、したり顔をして理屈をこねることなく、昼と夜を区別することができるはずだ。

<ユーロ挫折の別なる要因> :
 私がユーロが挫折するほかないと考えたのには、もう1つ根拠があった。
 通貨が母音で終わる国は、財政規律を欠いていた。 ギリシアドラクマ、スペインのペソ、ポルトガルエスクワド、イタリアのリラがそれぞれaooaで、それに当たった。 きわめつけは、ユーロも母音oで終わっていた。
 通貨単位が母音で終わる民族は子音で終る国に対して、生活態度が放縦で、規則を蔑(ないがし)ろにしてきた。民族や国の行方を勘案する時には、宗教や、歴史がどう民族性を形成してきたのか、学ぶことが重要である。

ギリシアの再選挙の行方> :
 ギリシアで再び議会選挙が行われ、ユーロ圏に辛うじて踏み止まったが、ギリシアに対する救命装置がうまく働くものだろうか。
 ギリシアのGDP(国内総生産)はユーロ圏の2%にしかすぎないが、1997年に始まったアジア経済危機は、タイが引き金を引いてアジア圏に拡散し、先進諸国にも及んだ。
 昨年1月にチュニジアの「ジャスミン革命」によって、ベン・アリ独裁政権が倒れ、エジプトに飛び火した。  リビアでも独裁体制が崩壊し、アラブ・イスラム圏に広がった。

<改革とは克己心と現実克服の理想> :
 欧米のマスコミは「アラブの春」とか、「アラブ民主革命」といって、喝采した。  イスラム圏で立ち上った民衆たちが、アメリカ民主主義の父のトマス・ジェファーソンであるかのように、囃し立てた。
 いつものように、日本のマスコミが追従した。  私は民主革命とはしゃぐのは誤っており、状況が革命前よりも悪くなると予見した。
 一昨年まで、アラブ世界はすべて独裁体制のもとにあった。  今日に至るまで、民主主義国があったためしがなかった。  独裁政権はみなイスラム原理主義を敵視して、弾圧した。

 トルコは第1次大戦に敗れると、初代大統領となったムスタファ・ケマルによる革命が起こり、欧米諸国を手本とする世俗的な共和国に生まれ変わった。 ケマルは皇帝(スルタン)が退位後も、イスラム世界の最高宗教指導者のカリフだったのを廃止し、学校で『コーラン』を教えることを禁止し、婦人に参政権を与え、非イスラム化を進めた。

<イランの国の成り立ち> :
 イランでも、1921年にコサック旅団長だったレザー・ハンが武力によって政権を奪い、26年にバーレビ王朝を創建した。  その子のレザー・シャーが近代化を進め、国民にメッカ巡礼を禁じ、イスラムの戒律(シヤリーア)に代わる民法を定めた。  女性が顔を隠すローブを着るのも禁じて、巡回する兵士がそのような女性を見つけると、ローブを切り裂くなど、強引に非イスラム化をはかった。

 エジプトは1952年に、陸軍の自由将校団のナセル中佐が、クーデターによって王制を倒してから、一貫して軍事政権のもとにあった。
 ナセルはイスラム教を後進的なものとしてみて、「反封建革命」と「アラブ社会主義」の建設を推進した。

1960年代にシリアとイラクにおいて、バース党が政権を握った。

バース党は地歩を保ったが> :
 バース党は1930年代に、2人のシリア人教師によって社会主義を掲げて結党された。  政教一致イスラム政治を否定して、政教分離をうたって、イスラム教を近代化を妨げるものとして、排斥した。
 「バース」はアラビア語で、ルネッサンスを意味する。

 63年にシリアで、バース党が政権を握った。  今日のシリアのアサド大統領の父アサド政権は、元首がイスラム教徒でなければならないという、憲法を改めた。  イラクでも68年にバース党が、政権を握った。  サダム・フセイン政権は、バース党だった。

イスラム原理主義の治政とは>
 イスラム原理主義は、イスラム教の政教一致の厳しい戒律による政治を行おうとするものである。 今日のイランと、タリバン政権下のアフガニスタンがそうだった。
 イスラム原理主義政党が合法化されたために、チュニジアとエジプトで行われた議会選挙によって最多議席を獲得し、エジプトでムスリム同胞団の大統領が登場した。
 砂漠の民は、つねに専制をとってきた。   イスラムはモハメッドの死後180年以内に、ヨーロッパのイベリア半島から、インドに至る大帝国を築いた。   征服者は被征服者を力づくで抑えてきたから、イスラム専制政治が好都合だった。
 イスラム社会は、今日でも対立する部族と宗派が、社会の基本単位となっている。  中東の地図を見れば、国境線が直線に引かれている。  第1次大戦後に、ヨーロッパ列強が中東を分割した線だから、国家意識が培われるわけがない。

<力は力によって抑えられる> :
 日本のマスコミは、「シリアで市民への迫害・虐殺が止まらない」と説いているが、多くの部族や、宗派が入り乱れて殺し合っているのであって、もともと市民などいない。  国民にとって独裁政権のもとにあるほうが、まだよかった。
 リビアカダフィ政権は、140以上の部族に分かれて、抗争していた国を1つにまとめていた。  今日、世界の関心がシリアに奪われているが、リビアでいまでも毎日、銃声や爆裂音が絶えない。
 かつてイスラム文明はキリスト教圏より、はるかに前を進んでいたというのに、16世紀に入ると、ルネッサンスによって生れ変ったキリスト教圏によって、大きく追い抜かれた。  そして、第1次大戦後にヨーロッパの支配下に入ると、深い劣等感に責なむようになった。

<石油は力の源となった> :
 ところが、1970年代の石油ショックによって原油価格が暴騰すると、西側諸国がアブラ欲しさのために、イスラム産油諸国を拝跪したのが、転機となった。
 イスラム圏は、突然、自信を回復した。 イスラム圏は西洋を模倣することをやめて、イスラム教が力を回復した。  日本をはじめとする石油消費国が、抑えつけられていたイスラム原理主義という妖怪を呼び出したのだった。
 もしかすると5、6年以内に、3つ目の世界である中国が崩壊する可能性がある。 その前に、中国という恐しい龍が暴れることになるのではないか。