・フィリピン海プレートに起因する南海トラフ巨大地震は大阪、名古屋、東京までの第1国道沿いの東名高速ベルト地域を同時に襲うので、太平洋プレートの東北仙台、ユーラシアプレートの日本海側の新潟、北米プレートの北海道の札幌に首都機能代替都市を複数保有することが急務だ!

・三条 健です。
・従来の「防災」とは異なる対策が求められており、その一つとして現実味を帯びてくるのが、想定被災地からの事前疎開、つまり「地方分散」という考え方だ!
南海トラフ巨大地震が大阪、名古屋の両都市圏をはじめ全土の4割もの都市機能が集中する太平洋ベルトの諸都市を襲いかかるのだ!
 迫り来る巨大地震は、日本経済に壊滅的打撃を与え得るリスクを帯びている!
・このまま放置すれば、日本国家が「近い将来」に、安寧ある繁栄を続けられない状態に陥ってしまうことは、残念ながら避け難いのだ!
フィリピン海プレートに起因する南海トラフ巨大地震は大阪、名古屋、東京までの第1国道沿いの東名高速ベルト地域を同時に襲うので、太平洋プレートの東北仙台ユーラシアプレート日本海側の新潟、北米プレートの北海道の札幌に首都機能代替都市を複数保有することが急務だ!



〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
巨大地震に備え「地方分散」せよ
京都大学大学院教授・藤井聡  2012.10.8 03:12 [正論]
 南海トラフ地震や首都直下地震への対策が必要であるとの認識は国民的に共有されつつあるように思う。  それとともに、その対策である「国土強靱(きょうじん)化」の重要性も徐々に認識され始めているようだ。  例えば、この度の自民党総裁選でも、国土強靱化は重要な論点の一つとして報道されている。
≪防災とは違う考え方が必要≫ :
 しかし、「強靱化」の考え方や具体的方針は、一般には十分に理解されていると言い難い。  大手メディアでは「財政が厳しい今、強靱化対策なんて無理だ」などと伝えられることもしばしばである。 が、それは完全な誤解だ。
 そもそも、財源が乏しい中で超巨大地震対策を図ろうというのが「強靱化」である。 「強靱」とは強くしなやかな様を言う。
 巨大災害でも、何とか致命傷を避けて被災を最小化したうえで、迅速に回復することを見通しつつ、限られた財源の中で最善を尽くそうとするのが「強靱化」なのだ。
 十分な財源があるのなら、「強靱化」ではなく災害を完全に防ぐ「防災」を志せば良い。 が、それは現実的には不可能だ。  例えば、首都圏の十分な耐震補強には1000兆円が必要だともいわれている。  その財源の確保は今の日本の国力からいって不可能だ。  さらにいえば、科学的に危惧される「富士山大噴火」には、効果的対策が見当たらないのが実情だ。
 だからこそ、従来の「防災」とは異なる対策が求められているのであり、その一つとして現実味を帯びてくるのが、想定被災地からの事前疎開、つまり「地方分散」という考え方なのである。
 我が国の人口や都市機能の3割は、首都圏に集中している。  そして、そこを直撃するのが首都直下地震だ。
 南海トラフ地震が襲いかかるのも、大阪、名古屋の両都市圏をはじめ全土の4割もの都市機能が集中する、(首都圏を除く)太平洋ベルトの諸都市だ。
 迫り来る巨大地震は、日本経済に壊滅的打撃を与え得るのである。
≪地方主要都市の「温存」を≫ :
 こうした国土の構造上の脆弱性を克服して、国土構造そのものを「強靱化」していくためには、想定被災地に過度に集中した都市機能を、日本海側や北海道、中国、四国、九州といった地方部へ分散(つまり、事前疎開)させることが急務となるのである。   そして、「地方分散化」は、様々な意味で日本の強靱化に貢献する。
 第一に、分散化することによって、災害の一次被害がその分、減少する。
 第二に、仮に、太平洋側の諸都市が「破壊」されたとしても、分散化していれば、地方都市が「温存」されて、日本全体が致命傷を負うことは避けられる。
 第三に、災害を無傷か軽傷で生き延びた地方都市は、被災地「救援」を行うことも可能になる。
 地方分散がうまくいけば、巨大な自然災害が発生しても、「致命傷を避け、被害を最小化し、迅速に回復できる」のであり、国土全体が強くしなやかなものとなる。
 これこそ、想定被災地における直接対策を上回る重大な意味を持つ「国土そのものの強靱化」なのであり、これによって、日本は「亡国」の危機を免れ得る。  今や、単に防災や減災にとどまらない「国土強靱化」という言葉が、国会などでも盛んに使われだしているのも、そのためだといえる。
 むろん、ここまで一極集中が進んだ今日の日本で、時計の針を巻き戻すような地方分散化は必ずしも容易ではないだろう。  しかし、例えば、全国知事会が目下、主張している「日本海軸」や「第二太平洋軸」(四国新幹線)といったインフラ投資を軸とした地域の経済成長策が地方分散化をもたらすことは間違いないだろう。
≪新幹線などへの投資で誘導≫ :
 近年の国土の歴史的な変遷を見ても、それは一目瞭然だ。
 例を挙げると、かつて北陸の中心都市だった「加賀百万石」の金沢を抜き去って、新潟市日本海側唯一の政令指定市になった背景に、「上越新幹線」の開業があったことは確実だ。
 最近でいえば、九州新幹線開業に伴う熊本市政令指定市化が記憶に新しい。    さらには、出遅れたその金沢でも、北陸新幹線計画が決定された結果、現在、駅前の投資が大きく進展していることはよく知られている。
 新幹線を中心にした交通インフラへの投資は、10年、20年という歳月を経て、沿線諸都市の飛躍的な発展を促してきたのである。
 こうした次世代投資を国家プロジェクトとして展開していくと同時に、地方分散化へと誘導する税制優遇策などの各種ソフト施策を展開していくことこそが、過度な一極集中を是正し、都市機能を分散させて、国土を抜本的に「強靱化」させる、最も効果的かつ現実的なシナリオなのである。
 こうした強靱化の基本的な思想と方針を十全に理解した政権が「近いうち」に我が国に誕生することを、是非とも祈念したい。
 万が一にもその願いが叶(かな)わないのなら、日本国家が「近い将来」に、安寧ある繁栄を続けられない状態に陥ってしまうことは、残念ながら避け難いのである。(ふじい さとし)