・米中の宇宙軍事戦略は新たな段階に入っている。

・ 米軍当局は、すでに中国が新しい軍事目的のASAT計画を進め、有事には米側のGPS(全地球測位システム)や軍事、諜報の衛星、通信、航行、ミサイル攻撃照準などの宇宙依存での能力破壊の取得を目指していることを察知している。
・今回の高度2万マイルのKP-7ミサイル打ち上げは、中国軍が「宇宙抑止」と呼ぶ、宇宙を利用して米軍の宇宙資産を破壊する作戦の一部と見られる。
・米中の宇宙軍事戦略は新たな段階に入っている。





〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国がアメリカの人工衛星の撃墜を企図   古森義久  2013.06.06
 中国の宇宙戦略の報告を続けます。
<<米軍の宇宙システムを標的にする中国 高度2万マイルのミサイルを打ち上げる本当の狙いとは>>
中国当局の公式発表とは異なり、このミサイルは、中国側が年来、開発を進めてきた軍事目的の高度衛星破壊兵器の打ち上げ部分の実験である可能性が高い。
・米軍当局は、すでに中国が新しい軍事目的のASAT計画を進め、有事には米側のGPS(全地球測位システム)や軍事、諜報の衛星を破壊できる能力の取得を目指していることを察知している。
・中国はこの新ASAT戦略によって米軍のミサイル飛来の情報取得や、有事の通信、航行、ミサイル攻撃照準などの宇宙依存での能力を破壊することを意図している。
・中国は2007年1月に、以前に打ち上げて老朽化していた自国の気象衛星FY-1Cを破壊するASATを発射した。  これには、米国側の人工衛星をも破壊する能力を開発してきたことを誇示する狙いがあったが、今回の長高度ミサイルの打ち上げも狙いは同じと見られる。
・今回のKP-7ミサイル打ち上げは、中国軍が「宇宙抑止」と呼ぶ、宇宙を利用して米軍の宇宙資産を破壊する作戦の一部と見られる。
中国当局はかねて「宇宙の平和利用」や「宇宙の軍事化反対」を宣言しているが、今回のミサイル発射の意図は明らかに軍事要因が含まれており、中国年来の軍事態勢の透明性欠如のさらなる実例となる。
・ただし、KP-7ミサイルは新たな軌道での機能を開始することはなく、大気圏に再突入した際にインド洋上空で炎上したと見られる。
同報告は以上のような要旨を発表し、米国政府や米国民に警告を発していた。

■米軍の宇宙利用に衝撃を受けて宇宙開発に着手
 こうした中国の宇宙戦略についてはこれまでの背景を説明する必要があるだろう。でないと中国の軍事戦略としての宇宙利用の全体像がつかみにくい。(つづく)